新4K8K衛星放送が始まって、早1年。現状、民放の番組編成は、その多くがHD(2K)制作からの4Kアップコンバート番組で占められている。4K独自編成のNHK頼みの状況は変わらないが、民放でも「ラグビーW杯2019」や映画「ブレードランナー2049」(いずれもBS日テレ)のような見ごたえのある4K制作番組が徐々に増えている。
テレビも43V型以上の大画面となると、フルHDの4倍の画素数を誇る4Kテレビが主流だ。しかも、その多くがHDR(明暗差の大きい映像を表示できるハイ・ダイナミック・レンジ)に対応。市場には4Kチューナーを内蔵しない4Kテレビも存在するが、10年前後使うことを考えると、4Kチューナー内蔵機がおすすめだ。注目の4Kテレビを取り上げ、その実力を検証、採点していく。
別記事:【BDレコーダーのおすすめ】4K対応機が激増!主力8モデルを徹底比較はコチラ→
- 今、テレビを買うなら4Kで決まり。地デジもネット動画もキレイに見られる!
- 4K放送には、2種類の電波がある。受信用機器は「右左旋対応」を使おう
- パラボラアンテナがなくても4K8K衛星放送を見ることができる!
- 液晶パネルか、それとも有機ELか?最新4Kテレビはこう選ぼう!
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❶】ソニー「KJ-49X8500G」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❷】東芝「49Z730X」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❸】パナソニック「TH-49GX855」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❹】シャープ「4T-C50BN1」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❺】三菱「LCD-A50RA2000」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❻】LG「OLED55B9PJA」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❼】シャープ「4T-C55BL1」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❽】ソニー「KJ-55X9500G」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❾】ソニー「KJ-55A9G」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❿】東芝「55X830」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓫】ハイセンス「55E8000」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓬】パナソニック「TH-55GZ1800」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓭】シャープ「8T-C60BW1」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓮】東芝「65X930」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓯】パナソニック「TH-65GZ2000」
- 主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編】まとめ
今、テレビを買うなら4Kで決まり。地デジもネット動画もキレイに見られる!
最新トレンドと選び方のポイント
4Kテレビは、4K放送の視聴以外でも少なからずメリットがある。まず注目されるのが、次々に話題作を送り出す「Netflix(ネットフリックス)」、映画の大作も多い「Amazonプライムビデオ」、多彩な動画が無料で見られる「YouTube」など、ネット動画の世界でも4K化が進んでいることだ。
インターネット対応の4Kテレビであれば、こうした良質な高解像度作品が手軽に楽しめる。ただし、機種によって視聴できるサービスが異なるため、テレビ購入時にはその内容を慎重にチェックすることをお忘れなく。
地デジを4Kにアップコンバート
また、最新の4Kテレビは総じて2K/4K変換処理の性能が上がり、地デジ、BSなどのHDコンテンツを鮮明な画質で楽しむことが可能だ。先進的なモデルではAIや超解像処理を駆使し、逐次変化していく絵柄を見極めながら、高度な画像処理で4K変換を行う。ただ、これは機種により性能が異なるため、ぜひ、今回の評価を参考にしていただきたい。
4K放送には、2種類の電波がある。受信用機器は「右左旋対応」を使おう
従来のBS/110度CS放送は右旋円偏波(右旋)という電波が使われているが、新4K/8K衛星放送ではこれに加え、同帯域で偏波が逆となる左旋円偏波(左旋)も活用するようになった。
右旋による4K放送(NHKと民放5局)については、既存のBS受信システムがそのまま使用可能、しかも、すべて無料だ。
新4K8K衛星放送のチャンネル
110度CSの「J SPORTS」や「スターチャンネル」など、そしてBSの「ショップチャンネル」「QVC」など、さらにはNHKの8K BS放送を見る場合は、右左旋両対応でSHマーク付きの新たな受信機器が必要になるので、注意しよう。
衛星放送受信用の機器
アンテナや分配器は右左旋両対応のものを使おう。
パラボラアンテナがなくても4K8K衛星放送を見ることができる!
新4K8K衛星放送は、パラボラアンテナによる個別受信が基本だが、CATVや光回線(フレッツ・テレビなど)でも、同放送の視聴サービスが始まっている。内容的には、専用のSTB(セットトップボックス)を利用する「トランスモジュレーション方式」と、手持ちの4Kチューナー内蔵テレビなどを使って視聴する「パススルー方式」に分けられる。
前者の場合、対応チューナーが必要なく、ほとんどの4K対応テレビで視聴が可能だ。また、ブースター、分配器などの既存の機器を4K8K放送対応に交換する必要もない。「J:COM」や「ひかりTV」のような大手が運営するケースが多く、放送に加え、VOD(ビデオオンデマンド)や「YouTube」も楽しめる。
後者は、個別受信と同じように新4K8K衛星放送の視聴が可能。同チューナー内蔵テレビで4K放送が見られるし、同チューナー内蔵のBDレコーダーも使える。いずれも、現段階ではBS右旋波のみというケースが多いが、「フレッツ・テレビ」は左旋円偏波対応が進み、8K放送や有料の4K放送も楽しめる環境が整いつつある。
アンテナなしで視聴可能なサービス
サービス名 | 条件 | 方法 |
J:COM | CATVのJ:COM に加入すること |
4K J:COM BOXをレンタル (右旋全チャンネルおよび左旋の 一部チャンネルが視聴可能) |
ひかりTV | IPTVのひかりTV に加入すること |
チューナーのST-4500を レンタルまたは購入 (右旋の全チャンネルが視聴可能) |
フレッツ | NTTのフレッツ 光回線が利用で きる住宅である こと |
ONU(モデムの一種)とアダプター で右旋・左旋の放送波をネット経由 で受信(※) |
※視聴には4K/8Kチューナーと対応テレビまたは4K/8Kチューナー内蔵テレビが必要。
液晶パネルか、それとも有機ELか?最新4Kテレビはこう選ぼう!
4Kテレビの購入を考えているなら、4Kチューナー内蔵は外せないポイント。使い勝手もスペース的にも内蔵型が有利だ。
表示パネルについては、有機ELか、液晶から選ぶことになるが、画質重視なら有機ELで決まりだ。まだまだ高価なイメージがあるが、55V型については高級液晶と変わらない価格で購入できる機種も登場している。
有機ELは黒の締まった映像が特徴的
有機ELパネルを採用したテレビだと、黒の締まった色鮮やかな映像が楽しめる。
液晶の強みは、求めやすい価格と画面サイズの選択肢が多いこと。特に画面サイズについては、有機ELが55V/65V/77V型に限定されるのに対し、液晶は43V~80V型まであり、さまざまなケースに対応できる。また、8Kが選べるのも液晶の強みだ。
8Kチューナー非搭載の8Kテレビ
8Kテレビはかなり高価になるが、8Kチューナー非搭載のシャープ・8T-C60BW1(36万2890円=右の写真)なら比較的求めやすい。
今回の「○×採点簿」では市場で評価の高い15製品を取り上げ、サイズ別の「ベスト機」を選出する。4Kテレビ購入時の参考にしていただければ幸いだ。
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❶】ソニー「KJ-49X8500G」
エントリー機だが、動きボケを低減し、色再現も華やかさがある
4Kダブルチューナーを搭載したソニー・液晶ブラビアの49V型スタンダードモデルだ。液晶は倍速駆動のVAパネルで、エッジ配置のLEDバックライトとの組み合わせ。絵柄に応じて部分的にLED光量を制御して高コントラスト化を図る部分駆動には非対応だ。
ソニー
KJ-49X8500G
実売価格例:15万1120円
発売年月:2019年6月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/147kWh
●サイズ/幅109.8cm×高さ70.3cm×奥行き27.9cm(スタンド含む)
●重量/13.7kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×2 | BS/110度CS×2 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
ブラビア
KJ-49X8500G
映像エンジンは標準グレードの「HDR X1」だが、広色域パネルを意味するトリルミナスディスプレイや、液晶特有のホールドボケを低減するモーションフローXR240など、基本的な部分は押さえている。
4Kチューナー内蔵の入門機だが、高コントラスト調の厚みのある絵作り、華やかさを感じさせる色再現は、まさにブラビアの血統。映像の質感にもう少し繊細さが欲しいところだが、動きに対する反応は良好。輪郭の色にじみも気にならない。
地上/BS放送などの2K収録素材の再生では、輪郭が太く、ディテール描写も甘い。音声は比較的聴きやすいが、画面下から聴こえる違和感が残る。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3 | 音質 | 3 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❷】東芝「49Z730X」
地デジは全録が可能。2K→4K変換の画質は高く評価できる
新世代の画像処理技術、AI超解像対応レグザエンジン Professionalを投じた49V型モデル。地デジ/BS/110度CSチューナー3基とは別に、6基の地デジチューナーを装備し、最大6チャンネルを丸ごと録画できるタイムシフトマシン機能(全録)を備える。
東芝
49Z730X
実売価格例:16万3870円
発売年月:2019年5月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/150kWh
●サイズ/幅107.4cm×高さ70.5cm×奥行き23.5cm(スタンド含む)
●重量/16.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×9 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon | アクトビラ |
REGZA
43Z730X
液晶は、視野角による画質への影響が少ない倍速駆動のIPSパネルで、パネル直下に配置されたLEDバックライトの部分駆動により、IPS液晶のコントラスト不足を補う。その映像は明るく、すっきりとして、鮮やかだ。
高く評価できるのが、地デジ/BSの画質のよさ。2K→4K変換にもかかわらず、精細感に富んだ、すがすがしい映像を描き出す。今回、AI超解像が加わったことで、動きに伴うノイズが目立たなくなった。
明かりを落とした視聴環境で4K/HDR収録の映画作品を見ると、白ピークの伸び、黒の締まりなど、ダイナミックレンジ不足が気になりやすい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4.5 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 4 |
操作性 | 4 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❸】パナソニック「TH-49GX855」
明るさ重視で、見た目のフォーカスが鋭い。地デジ画質は甘め
ビエラ初の4Kチューナー内蔵機となったGX850シリーズの後継機で、吸着機能を持つ転倒防止スタンドも搭載されている。前シリーズから基本画質、音質には大きな変更はないようだが、4Kダブルチューナーとなり、マイク内蔵リモコンが装備された。
パナソニック
TH-49GX855
実売価格例:17万5780円
発売年月:2019年10月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/162kWh
●サイズ/幅109.9cm×高さ69.4cm×奥行き24.8cm(スタンド含む)
●重量/20.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon | アクトビラ |
VIERA
TH-49GX855
倍速仕様のIPS液晶にエッジ配置(画面下)のLEDバックライトを組み込み、絵柄に合わせてLED照度をユニット単位で制御する部分駆動も搭載している。
4K放送は明るさ重視の絵作りで、見た目のフォーカスが鋭く、細部までスッキリと描き出す。フェーストーンはやや黄色に振られる傾向だが、グラデーションの描写は滑らかだ。
HDR10、HLG、ドルビービジョン、HDR10+と、4K/HDR対応は万全。
4K放送のクオリティからすると、地デジなどの2K放送のフォーカスが甘い。もう少し緻密に、きめ細かな描写を期待したい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3 | 音質 | 3 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 4 |
操作性 | 4 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❹】シャープ「4T-C50BN1」
鮮やかさと自然な人肌を両立。苦手だった地デジの画質も改善
4Kアクオスの最上位、AN1シリーズの後継となるBN1の50V型モデル。4Kダブルチューナーをそのまま引き継ぎ、新世代の映像エンジン「アクオス4K スマートエンジン PROII」を投入。プラットホームもAndroid TVの最新版、「Android 9」に進化。
シャープ
4T-C50BN1
実売価格例:16万9800円
発売年月:2019年7月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/145kWh
●サイズ/幅112.6cm×高さ73.9cm×奥行き25.3cm(スタンド含む)
●重量/23.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
AQUOS
4T-C50BN1
液晶パネルは、従来どおり倍速駆動のVAタイプで、エッジ配置のLEDによる部分駆動は行わない。正面から見ると、黒が締まり、白がスッキリと伸びて、キリッと引き締まった、見栄えのする絵作りが確認できる。
特にリビングのような明るい場所でのコントラスト感が良好で、鮮やかさと自然な人肌を両立させている。従来、苦手としていた地デジも、解像感、S/Nともに改善。輪郭が細く、ディテールも自然に浮き上がる。
視野角による色調の変化が大きく、色ズレも目につく。音声は声の明瞭度が高く、聴き取りやすいが、画面の下から聴こえるという違和感は残る。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 4 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❺】三菱「LCD-A50RA2000」
4K対応BDレコーダーを内蔵。画質は色鮮やかで、音もいい
いち早く4Kチューナーを内蔵し、その使いやすさ、省スペース性、そして音のよさでも高い評価を得た三菱のRA1000シリーズ。その後継機がRA2000だ。4Kダブルチューナーの搭載に加えて、4K対応BDレコーダーを装備したのが最大の注目ポイント。
三菱
LCD-A50RA2000
実売価格例:28万円5780円
発売年月:2019年10月
●HDMI入力×3
●年間消費電力量/134kWh
●サイズ/幅112.8cm×高さ79cm×奥行き33.4cm(スタンド含む)
●重量/26.4kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube |
BDレコーダーが4K対応へと進化し、内蔵HDD(2Tバイト)で録画した4K番組がそのままディスクに残せるようになった。もちろん市販のCD、BD、UHD BDソフトの再生も可能だ。
液晶は非倍速のVAタイプで、エッジ配置の広色域LEDバックライトを備える。画質は高コントラスト調の絵作りで、色鮮やかに見せるタイプ。
独自のNCVスピーカーは前作のマイナーチェンジだが、音の抜けが向上し、映像との定位もより自然に感じられるようになった。
視野角による画質への影響が大きい。2K→4Kへの変換は、輪郭が太く、ディテールの描写も甘くなる。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3 | 音質 | 4.5 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 2.5 |
操作性 | 4.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❻】LG「OLED55B9PJA」
最新有機ELパネルを採用しながら20万円前後という価格を実現
充実したラインアップを誇るLGの有機ELテレビシリーズにあって、本機は液晶からの買い替えを想定した4Kチューナー内蔵モデルだ。映像エンジンは、旧モデルと同等のα7 Gen2 インテリジェントプロセッサーで、4Kチューナーはシングル仕様としている。
LG
OLED55B9PJA
実売価格例:20万円9580円
発売年月:2019年4月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/208kWh
●サイズ/幅122.8cm×高さ74.4cm×奥行き24.6cm(スタンド含む)
●重量/19.9kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×1 | 地デジ×2 | BS/110度CS×2 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon | アクトビラ |
55V型 4Kチューナー内蔵 有機EL テレビ
OLED55B9PJA
有機ELテレビの入門機という位置づけだが、心臓部の有機ELパネルは、ホワイトバランスや経年変化を改善した最新版で、輝度レベル、コントラストも遜色ない。
実際、引き締まった黒、スッキリ伸びる白、そして艶っぽい色再現は最新の有機ELならでは。憧れの有機ELテレビが20万円前後で手に入るのは魅力だ。
最新の映像エンジン、α9 Gen2 インテリジェントプロセッサーを搭載した同社の有機ELテレビ(55C9PJA)に比べると、ノイズの粒子が粗く、グラデーションの描き分けもやや大味に感じられる。
特に、圧縮ノイズが目立ちやすい地デジで画質差が大きい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3.5 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 4.5 | ネット対応 | 4 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❼】シャープ「4T-C55BL1」
ダブル録画時の制約が少ないのが魅力。残像が目につきやすい
4KアクオスのエントリーとなるBL1シリーズの55V型モデルだ。VA液晶は低反射タイプのノーマル駆動で、LEDバックライトはエッジ配置とし、部分駆動は行わない。映像エンジンには、上級機と同じアクオス 4K スマートエンジン PROIIを奢っている。
シャープ
4T-C55BL1
実売価格例:15万円5720円
発売年月:2019年7月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/148kWh
●サイズ/幅124cm×高さ80.6cm×奥行き29cm(スタンド含む)
●重量/27kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
AQUOS
4T-C55BL1
4Kチューナーのダブル仕様は珍しくないが、本機は地上/BSを含めた同時動作時の制約が少ない。例えば、外付けUSB HDDに4K&2K同時録画が可能で、4K放送の裏番組も見られる(4K放送のダブル録画は不可)。
画質面では、N-Blackパネル、倍速駆動ともに非対応だが、明るさを大切にした、色鮮やかに見せる絵作りは悪くない。地上放送などの2K収録素材も、輪郭が細く、きめ細かな描写が楽しめるようになった。
液晶独特のホールドボケが生じ、動画部分の輪郭に赤の残像が目につきやすい。VA液晶ということもあるが、視野角による画質への影響は少なくない。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3.5 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 3.5 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❽】ソニー「KJ-55X9500G」
液晶ブラビアの最高峰で、高画質。チューナー2基は物足りない
「ソニーのテレビ史上最高画質」(ソニー資料より)を標榜したZ9Dシリーズが生産終了となり、実質的な液晶ブラビアの最高峰となったX9500Gシリーズの55V型モデル。映像プロセッサー「X1 Ultimate(アルティメット)」の搭載は、ソニー高級テレビの証だ。
ソニー
KJ-55X9500G
実売価格例:22万円7310円
発売年月:2019年6月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/212kWh
●サイズ/幅122.8cm×高さ77.6cm×奥行き27.4cm(スタンド含む)
●重量/19.1kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×2 | BS/110度CS×2 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
ブラビア
KJ-55X9500G
被写体に適した処理を施すオブジェクト型超解像処理が特徴の映像エンジン、X1 Ultimateが搭載されたこともあって、4K素材、2K素材を問わず、輪郭を立てて細部までクッキリ描き出す。
部分駆動で黒を引き締め、同時に、明部に電流を集中させて白を伸ばす高コントラスト調の絵作りで、明るく、華やかな色再現も見ごたえがある。
ラグビーやバスケットなど、激しい動きが伴う被写体も、比較的、残像感が気にならない。
独自の広視野角技術、X-Wide Angle(エックス ワイド アングル)は非搭載。内蔵チューナーは、4Kが2基、地上/BSデジタルが2基で、高級機としては物足りない。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4 | 音質 | 4 |
4K放送画質 | 4 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❾】ソニー「KJ-55A9G」
メリハリの利いた絵作り。独自の音声再生は自然な音色になった
オブジェクト型超解像、デュアルデータベース分析など、高度な画像処理が可能なX1 Ultimate(アルティメット)を搭載した55V型有機ELテレビだ。画面を振動させて音声を再生する独自の音響システム、アコースティック サーフェス オーディオプラスを備える。
ソニー
KJ-55A9G
実売価格例:34万円1000円
発売年月:2019年6月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/148kWh
●サイズ/幅122.6cm×高さ71.4cm×奥行き25.5cm(スタンド含む)
●重量/22.3kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×2 | BS/110度CS×2 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
ブラビア
KJ-55A9G
鮮やかな色遣いで、メリハリの利いた高コントラスト調で魅せる絵作りは健在。ただ、従来の55A9Fに比べると、暗部の情報を丁寧に拾い上げ、グラデーションの再現性も向上している。
画面を振動させて発音する独自のスピーカーシステムも、前作に比べると、周波数バランスが整い、自然な音色が得られるようになった。
X1 Ultimateの搭載で、より高度な表現が可能になったが、画面サイズからすると、もう少し効きめを抑えたほうが好ましい。地デジの画質は大幅に改善されたが、絵柄によって見た目のフォーカス感が変わってしまうのも気になる。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4 | 音質 | 4.5 |
4K放送画質 | 4.5 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編❿】東芝「55X830」
有機ELを採用しながら自然なタッチの絵作り。映像の質感が高い
「プロ用モニターとして通用するディスプレイ」というコンセプトで開発されたX830ラインの55V型有機ELテレビ。最大の注目点は、深層学習などの人工知能を取り入れた最先端の画像処理技術、レグザエンジンProfessionalの投入にある。
東芝
55X830
実売価格例:26万円
発売年月:2019年6月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/168kWh
●サイズ/幅122.6cm×高さ75.1cm×奥行き20.3cm(スタンド含む)
●重量/23.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×9 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon | アクトビラ |
REGZA
55X830
黒の締まりのよさ、ダイナミックレンジの広さが有機ELの持ち味だが、それを強調するのではなく、あくまでも自然なタッチ、滑らかなグラデーションを重視した絵作り。
輪郭は細く、ディテールは強調することなく、自然に浮き上がる。この艶っぽさ、質感の高さは有機ELと高性能エンジンのたまもの。
水平方向の解像度が1440ドットに制限される地上/BS放送についても、緻密で繊細。アップコンバート処理の副作用をほとんど感じさせない。
独自のスピーカーシステムによるサウンドは、明瞭度は高いが、開口部が下向きのため、どうしても声が画面下から聴こえやすい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 5 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 4 | ネット対応 | 4 |
操作性 | 4.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓫】ハイセンス「55E8000」
明るく、華やかな雰囲気の画質。人物の顔の色調描写は甘め
東芝のテレビ事業を買収し、傘下に収めた中国企業、ハイセンスが日本市場向けに開発した初めての4Kチューナー内蔵の有機ELテレビだ。映像エンジンには東芝レグザの有機ELテレビ(旧モデル)でも実績のあるレグザエンジンNEO plus(ネオ プラス)を投じている。
ハイセンス
55E8000
実売価格例:21万円7800円
発売年月:2019年4月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/非公表
●サイズ/幅122.6cm×高さ75.4cm×奥行き27.2cm(スタンド含む)
●重量/22.7kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
55V型 有機ELテレビ
55E8000
基本画質は、有機ELパネルの持ち味を生かしたメリハリ調の見せ方だが、輪郭の補正にしても、ディテール描写にしても、極端な味つけはなく、明るく、華やかな雰囲気に仕上げている。地デジ/BSなどの2K収録素材についても、輪郭がすっきりして、見た目のS/N感も良好。2K→4K変換の精度の高さは、レグザ譲りだ。
画質面で気になったのが、人物の顔の描写。総じてやや黄色に振られ、ハイライトの色調、階調の描写が甘い。レグザでおなじみのタイムシフトマシン機能、解像度・ピーク輝度など細かなデータがリアルタイムで掌握できるメタデータ表示も非対応だ。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4 | 音質 | 3.5 |
4K放送画質 | 4 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓬】パナソニック「TH-55GZ1800」
映像は明るく、操作性も快適。2K→4K変換の表現力は高くない
4Kダブルチューナーを搭載したパナソニック・ビエラの55V型有機ELテレビ。有機ELパネルの独自制御に加えて、明るさと色の情報を個別に制御するDot Contrast(ドット コントラスト)パネルコントローラーを新たに投じている。3ウエイシステムを別筐体に収めたスピーカーも特徴的だ。
パナソニック
TH-55GZ1800
実売価格例:33万円7300円
発売年月:2019年7月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/148kWh
●サイズ/幅122.8cm×高さ78.5cm×奥行き33cm(スタンド含む)
●重量/29kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
VIERA
TH-55GZ1800
世代を追うごとに有機ELパネルの使いこなしがうまくなり、より明るく、透明感に富んだ映像が楽しめる。4K映像はノイズの粒子が細かく、明るい部分、暗い部分を問わず、S/N感が良好。
中間調の明るさに余裕が感じられ、人肌の描き分けも安定感が増している。キビキビと反応する操作性も快適だ。特に、電源オン時の出画までの待ち時間の短さでは、ライバルを圧倒している。
4K映像と比べると、2K→4K変換時の表現力が見劣りする。別筐体スピーカーの優位性はあるが、後付けのスピーカーでもいいなら、画質が同等の下位モデル、50GZ1000(25万円前後)をおすすめしたい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 3.5 | 音質 | 4 |
4K放送画質 | 4 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 4.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓭】シャープ「8T-C60BW1」
凝縮感のある明るい映像。視野角による画質への影響が大きい
8Kチューナー非内蔵の8Kテレビ、AW1の後継となる60V型8Kアクオス。本機は4Kダブルチューナーを内蔵しつつ、将来発売されるHDMI2・1対応の8Kチューナーとの接続にも対応。2K/4K放送を8K変換して楽しむ8Kレディのテレビという位置づけだ。
シャープ
8T-C60BW1
実売価格例:36万円2560円
発売年月:2019年11月
●HDMI入力×5
●年間消費電力量/290kWh
●サイズ/幅135.6cm×高さ87.1cm×奥行き29cm(スタンド含む)
●重量/36.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
AQUOS Android TV
8T-C60BW1
「Medalist (メダリスト)Z1」という新映像エンジンを搭載しているが、内容的には現行の8Kテレビ、C60AX1をベースに8Kチューナーを4Kチューナーに入れ替え、既存の回路を集約、ブラッシュアップさせたモデルと見ていい。
VA液晶と直下型LEDバックライトの組み合わせで、凝縮感のある明るい映像を描き出す。2K/4Kともに8K変換で視聴することになるが、細部の描写が緻密で、発色に深みがある。
VA液晶で、視野角による画質への影響が大きい。8Kチューナーを追加すれば8K放送の視聴が可能だが、同社の現行機は接続できず、現段階ではこの機種で8K放送が見られない。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4 | 音質 | 4 |
4K放送画質 | 4 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 3.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓮】東芝「65X930」
2K→4K変換はアップコンバートであることを忘れるほどの再現性
深層学習などの人工知能を取り入れたレグザエンジンProfessionalを投入したレグザの有機ELテレビ。X930は人気のタイムシフト機能(全録)を備えた上級ラインで、地デジ/BS、BS4Kと、放送画質の改善に向けた超解像処理が搭載された。
東芝
65X930
実売価格例:53万円9800円
発売年月:2019年7月
●HDMI入力×7
●年間消費電力量/252kWh
●サイズ/幅144.7cm×高さ84.6cm×奥行き26.7cm(スタンド含む)
●重量/47.5kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×9 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
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REGZA
65X930
黒の締まり、艶、ハイライトの輝きと、有機ELならではの表現力をしっかりとアピールしながら、細かなノイズを丁寧に抑え、微小信号を描き出す。
ノイズ感、階調性、そして映像の質感と、一皮むけた印象で、黒の中のディテールが無理なく浮かび上がる。
2K→4K変換の精度の高さは定評のあるところだが、65V型の有機ELとの組み合わせで、その持ち味がより明確になる。
細かな部分の発色、キレなど、アップコンバートであることを忘れてしまいそうなほどの再現性だ。
全録は便利だが、チャンネルは地デジ限定。せめて1~2チャンネル分でいいので、BSも選べるようにしてほしい。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4.5 | 音質 | 4 |
4K放送画質 | 4.5 | ネット対応 | 4 |
操作性 | 4 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編⓯】パナソニック「TH-65GZ2000」
自社製パネルを搭載。4Kは高画質だが、2K→4K変換は弱い
“ビエラ史上最高画質”を標榜するパナソニック・ビエラの有機ELテレビの最高峰だ。有機ELセル(表示部分)を部品調達し、独自設計のパネルを開発。同時に、パネル駆動、色調制御にも、これまでにない高度な技術を投じ、その潜在能力を最大限に引き出す
パナソニック
TH-65GZ2000
実売価格例:64万円2870円
発売年月:2019年7月
●HDMI入力×4
●年間消費電力量/242kWh
●サイズ/幅144.6cm×高さ90.7cm×奥行き31cm(スタンド含む)
●重量/40kg(スタンド含む)
搭載チューナー | ||
BS/110度CS4K×2 | 地デジ×3 | BS/110度CS×3 |
4Kネット動画 | |||
YouTube | Netflix | Amazon |
4K/2K収録映像とも、ダイナミックレンジが広がり、階調性も豊かで、手前から奥行き方向への自然な広がりが表現できる。
黒はよく締まり、加えて、黒の中のディテール描写が意欲的で、ローライトのグラデーションも滑らか。輝度変化による色調の描き分けにも安定感がある。
ドルビーアトモス対応のスピーカーを内蔵しているのも魅力。
ディスプレイとしての表現力は間違いなくトップレベルだが、地デジ/BSなどの2K収録素材の再生では、その優位性が生かしきれていない面もある。
2K→4K変換にまつわる問題だと思うが、輪郭のタッチが太く、ディテールの描き分けも甘い。
採点 各5点満点 | |||
---|---|---|---|
地デジ画質 | 4.5 | 音質 | 4 |
4K放送画質 | 4.5 | ネット対応 | 3.5 |
操作性 | 4.5 |
主要機種 ○× 採点簿【4Kテレビ編】まとめ
50V型以下では東芝・49Z730X、55V型はソニー・55A9G、 60V型以上ならパナソニック・65GZ2000がいい
まず43V~50V型だが、画質や充実した機能で存在感を示したのが東芝・49Z730Xだ。特に、地デジの画質はライバルを寄せつけないレベルの高さで、タイムシフトマシンの価値がいっそう際立つ。単独で4K録画、BD化が可能な三菱・LCD-A50RA2000もなかなか魅力的だ。
続いて、激戦の55V型。有機ELの低価格化が進み、液晶にとっては厳しいサイズだが、採点も有機ELが優勢。液晶に比べると画質差は小さく、実力的にはソニー・KJ-55A9Gと東芝・55X830の争いとなったが、イチ推しは僅差でソニー。コスパ重視なら、LG・55B9PJAがいい。
60V型以上では、パナソニック・TH-65GZ2000。表示パネル部を自社で設計・製造し、その表現力は唯一無二。
将来的に8Kも、と考えるならシャープ・8T-C60BW1という選択もある。
東芝
49Z730X
IPS液晶を生かした緻密で繊細な絵作りが魅力的。地デジ画質もいい。
ソニー
KJ-55A9G
メリハリある映像はソニーテレビの伝統。画面から出るサウンドもいい。
パナソニック
TH-65GZ2000
白ピークの伸びた映像は自社開発パネルのたまもの。黒も美しい。
※価格は記事作成時のものです。
解説/藤原陽祐(AV評論家)