CATVの伝送には、もともとは同軸ケーブルが使われていたが、今では光ファイバーが使われている。さらに近年始まった新4K8K衛星放送についても、大手CATV会社を中心に、再送信サービスが始まっている。
あなたの疑問にズバリお答え!
CATVはどんな技術を使っている?
読者から質問
CATV(ケーブルテレビ)は、テレビの多チャンネル放送以外に、VOD(ビデオオンデマンド)やインターネット、電話まで一本のケーブルでやり繰りしていますが、そもそもどういう技術なんでしょうか? 昔のケーブルテレビ は、映像の劣化もありましたが、今では4Kもキレイに受信できます。アナログな印象のケーブルテレビですが、どのような進化があったのでしょうか?(U.Tさん 大阪府 39歳)
専門家の回答
編集部:
この質問は、AV評論家の藤原陽祐さんに聞きましょう。
専門家:
「もともと地上テレビ放送の難視聴解消を目的に誕生したCATVですが、1980年代以降、アナログ電話のサービスやCS/BSの専門チャンネルなどによる多チャンネル化がスタートしました。
CATVでは当初、一般的な同軸ケーブルが用いられていましたが、電気信号をそのまま扱うため伝送ロスが大きく、数百メートルおきに増幅器を挿入しなければならず、そのため、保守点検が大変でした。
その後、一定の規模のCATV施設では、送り出し基地近辺には光ファイバーを配置し、最終的な受信地近辺に同軸ケーブルを用いる光・同軸ハイブリッド型が使われるケースが多くなってきたようです。
光ファイバーは同軸ケーブルに比べて、伝送損失が小さいため、増幅器を挿入しなくても長距離の安定した伝送が可能。伝送の幹の部分になる幹線系が長距離化できるため、エリアが広い大規模なCATV施設に適しているというわけです。
そして最近は、大手CATVを中心に、VODやインターネットサービス、さらにはIP電話を手がけるケースが増えています。
この場合、CATVの基地から加入者宅まで、光ファイバーだけで伝送するシステムが採用されているようです。
異なる波長の光信号を重ねて伝送する多重化技術を駆使することで、多彩な情報を1本の光ケーブルで伝送でき、しかも、双方向の通信を可能にしているというわけです」
編集部:
CATVの伝送には、もともとは同軸ケーブルが使われていたけど、今では光ファイバーが使われているということですね。
専門家:
「そのとおりです。ちなみに、インターネットサービスでは、通常のテレビ放送と異なり、下り(送信局から加入者へ)と上り(加入者から送信局へ)の伝送が必要になります。これがどういう仕組みになっているか、説明しましょう。
まず、下りの情報は、光信号によってすべての加入者側の端末に届けられ、それを受け取った加入者側の端末が、自分宛ての情報だけを選び出して表示します。
一方、加入者側から出力された上りの情報は、これも光信号によって送信局にそのまま送り出されますが、このとき、それぞれの加入者に割り当てられたタイミングで各光信号が送り出されるので、送信局はそれらを一括して受信しても、誰からの情報なのか、正確に把握できる仕組みになっているそうです。
さて、近年始まった新4K8K衛星放送についても、大手CATV会社を中心に、再送信サービスが始まっています。
ただ、専用のSTB(セットトップボックス)が必要な『トランスモジュレーション方式』と、個別受信同様、4Kチューナー内蔵テレビでそのまま見られる『パススルー方式』とで視聴スタイルが変わってくるため、自分の居住地域で契約可能なCATV局がどちらの方式なのかしっかりと確認して契約するようにしましょう」
編集部:
光ファイバーの採用のほか、さまざまな技術や要素によって、CATVは支えられているということですね。了解しました!
文/特選街編集部
イラスト/はやし・ひろ