ホンダは2020年度中に発売する新型「レジェンド」に、自動運転「レベル3」の型式指定を国土交通省から取得した自動運転システム「トラフィック・ジャム・パイロット」を搭載すると発表。レベル3の型式指定は世界初。この「自動運転」は、どこまで自動なのか解説する。
世界初! ホンダが自動運転レベル3のレジェンドを今年度内に発売へ!
ホンダは今年度中に発売する新型「レジェンド」に、自動運転「レベル3」の型式指定を国土交通省から取得した自動運転システム「トラフィック・ジャム・パイロット」を搭載すると発表した。レベル3の型式指定は世界初のことである。
ホンダ
自動運転レベル3
2020年度中に次期レジェンドに搭載
●トラフィック・ジャム・パイロットの概要
道路状況 及び 地理的状況 |
高速自動車国道、都市高速道路 など。ただし、急カーブ、サー ビスエリア・パーキングエリア 、料金所などを除く。 |
環境条件 | 強い雨や降雪による悪天候、濃 霧、強い逆光などの状況ではない こと。渋滞または渋滞に近い混雑 状況であることなど。 |
走行条件 | 自車の速度が自動運行装置の作動 開始前が約30キロ未満、開始後は 約50キロ以下であることなど。 |
この世界初の「自動運転」は、どこまで自動なのか。対象としているのは高速道路の渋滞時のみで、時速30キロ未満でレベル3での自動運転が可能となり、50キロを超えると自動運転は終了する。
この自動運転中、ドライバーは操舵を含む一切の操作をシステムに委ねることができる。テレビなど動画映像を見てもいいし、スマートフォンの操作をしてもかまわない。
ただし、そのサポートは限定的。なぜなら、レベル3ではシステムが対応できなくなったとき、直ちにドライバーが運転を引き継ぐ必要があるからだ。
●自動運転のレベル(国土交通省の資料を基に作成)
そこで、レジェンドには、ドライバーが運転を引き継げる状態にあるかを監視する仕組みが搭載される。引き継げない状態と判断されると、警報を発して10秒後には運転を停止する。
そのため、例えばノートパソコンを開いて仕事をするといったことは不可能と思われる。さらに、暴風雨や降雪時、視界が確保できない悪天候下では作動しない。
「これで自動運転なのか?」といわれそうだが、これは将来の自動運転へ向かう一里塚と考えたい。欧州勢は、2021年にもレベル3に対応した新型車を、国産勢も、レベル2となるがハンズオフ(手放し)運転を実現した新型車を相次いで投入予定。
自動車保険では東京海上日動がレベル3運転中に発生した事故に対して等級減の対象にしないと発表した。レベル3をスキップする動きもあるが、今後は自動運転技術の高度化がさらに進んでいくものと予想される。
TEXT●会田肇(自動車評論家)