液晶テレビをひたすら追いかけてきたシャープ。東京オリンピックを見据えて、他社に先駆けて、8K 液晶テレビを作りました。今年は、価格のこなれたモデルを中心にラインナップしているのですが、大きくちがつたところが1つ。「液晶」ではなく、自発光のOLED(オーレッドと発音。別名、有機EL)にシャープの誇りだった「AQUOS(アクオス)」の名を冠してきたのです。

テレビが誇りだった時代

平面テレビは、その生まれからビジネス戦争を予感させるものがありました。ビデオと同じように、主流になりそうな方式が幾つかあったからです。一つはそれまでのブラウン管と全く違う透過光を用いる「液晶」。もちろん雄はシャープです。シャープは液晶に関して強いメーカーです。エレクトロニクス製品も、ことあらば、液晶パネル(今と違って小さいのですが)を使えないかという感じでした。一番有名なのは「液晶ビューカム」という8mmのビデオカメラ。ファインダーではなく、今のスマートフォンのように画面を見ながら撮る撮影方法を、提案したのは、シャープでした。

そして、21世紀に入ると、いよいよという感じで、液晶テレビを出します。じりじりっとサイズを上げていきます。当時の液晶パネルのネックは、パネルサイズと、透過型なので黒が出ない(=色が白っぽい)そして速い画へ追従性がなかったこと、視野角が狭いことなどです。ほとんどが、自発光でないために発生している問題です。

一方の雄は「プラズマ」。こちらは自発光なので、黒描写が抜群にイイ。速い画の追従性がある。視野角も広い。が、欠点もあります。一番の問題はサイズ。大画面しか作れないのです。しかし当時のユーザーは、まだ、大画面に慣れていません。そして、価格も高いし、消費電力も食います。そして発熱が並ではありません。冬でも暖房要らずというと大袈裟ですが、そんな感じです。

そして液晶の雄は「シャープ」、プラズマの雄は「パイオニア」。当時のパイオニアは、日本で有数のオーディオメーカーで、映像系への進出は悲願でした。そしてこれに、松下(現パナソニック)がプラズマ側で参戦します。

ビデオ戦争で、ベータの雄が「ソニー」、VHSの雄が「ビクター」。そして、松下がVHS側で参戦。最終的に、ビデオのデフォルトフォーマットがVHSになったことがありました。1980年代の話です。それから20年ほぼ同じ様相を呈したわけです。

これにデジタル放送への切り替えが加わります。ここで全メーカー、ブラウン管から平面テレビへの切り替えを決意します。有利なのは、液晶です。なぜなら、液晶は発熱を最小に抑え込めます。このためパソコンのディスプレイとしても大量に使われたのです。こうなると量産効果で液晶の方は、どんどん勢力を拡大します。参加メーカーが多いことは、知恵を出す人が多いことと同意味。弱点もどんどん克服して行きます。ついにプラズマ勢は負けます。

テレビが花形であり、日本家電の象徴とされた時代でもありました。

2011年以降、地に落ちた栄光

最後に平面テレビが輝いたのは、2011年地デジ切り替え。2011年は、どのメーカーも通年の数倍量のテレビを売りました。テレビの正式名称は「テレビ波受信機」。テレビ波がアナログ波から、デジタル波に変わると、アナログテレビは用をなしません。このため、2nd テレビも含め買い替えが行われたからです。

当然、翌年から、一気に売りは下がります。事業としてやっていけないメーカーが続出。事業を中止するメーカー、規模を縮小するメーカー、他社に事業譲渡するメーカー、資本提携するメーカーが続出しました。

シャープも、その例に漏れません。現在では台湾の鴻海精密工業(フォックスコングループ)傘下です。しかし、それでもシャープは、NHKと組んで、先端技術、高解像度を極めようとします。それが他社にない、東京五輪をターゲットに作られた8Kテレビです。

また、他メーカーも開発を怠りません。プラズマの後を継ぐと目されていた自発光素子「OLED(有機EL)」をモノにしたのは、韓国のLGでした。日本メーカーが、開発で韓国メーカーに後塵を拝したのです。私は、IFA(毎秋ベルリンで行われる、世界最大級の家電ショー)で、LGの勝利宣言を聞きましたが、どこを切っても「俺たちは勝ったんだ!」感に溢れたすごい発表でした。

以降、OLEDは自発光、色がキレイということで、液晶テレビより高いポジションに位置づけられます。液晶技術は、OLEDができない高解像度:8Kを先にモノにすることで、技術のトップポジションを持続します。

一度はOLEDを突っぱねたAQUOSブランド

総合家電メーカーの特徴は「総合」ということにあります。要するに、売れるものは基本全部ラインナップするのが当たり前です。時には、他社から購入し、自分のブランドを冠して販売することもします。

OLEDが実用化されたのですから、日本の総合家電メーカー、ソニー、パナソニックなどは、ラインナップに入れます。そうでないとLGが日本市場ですごく強くなる可能性があるからです。シャープも例外ではありません。OLEDテレビをラインナップします。しかし、面白いのは、シャープのテレビブランド「AQUOS」を冠しなかったのです。

「シャープの液晶テレビは、OLEDテレビより優れているんだ」と言わんばかりです。シャープの矜持を見る思いでした。まだ「液晶テレビで、テレビ分野を引っ張るんだ!」。そんな思いが込められていたのかも知れません。

そんな中、2021年についにシャープはOLED 4Kテレビにも「AQUOS」のブランドを冠しました。これが意味することはどういうことでしょうか?

画像: 4KAQUOS OLED DS1ライン jp.sharp

4KAQUOS OLED DS1ライン

jp.sharp

シャープの2021年モデルで買うならOLEDモデル

今年、シャープが用意したのは、大別すると3つのモデルです。「8K液晶」「4K液晶」「4K OLED」です。

まず、東京五輪をコンテンツの目玉とした「8K液晶」ですが、五輪がこの調子ですので、私的に全くおすすめしません。要するに買ってもロクに見るコンテンツがないからです。出来は素晴らしいです。しかし、宝の持ち腐れ。昔のテレビは、「同じ番組をより面白くられるので買う」という判断だけで良かったのですが、今は違います。「何を見るのか」を決めた上で買うべき時代です。8Kのコンテンツもすぐ増えるとされていますが、今はまだ、昔の映画がゆっくり4K化されリバイバルされている状況。コンテンツはそう簡単には増えません。

では、残ったOLEDと4K液晶、どちらを買うべきか。これは予算が許すなら「OLED」です。画の色がかなり違います。OLEDを長時間見た上で、液晶を見ると「白すぎ」「明るすぎ」ます。ただし、それは比較した時、単独で見て液晶テレビで不満を覚える人は少ないと思います。それ位のレベルの差ですが、私は、五感の喜びは、正しいものを味わってこそと思っています。その点から、OLEDを推したいと思います。

画像: 4KAQUOS OLED DQ1ライン jp.sharp

4KAQUOS OLED DQ1ライン

jp.sharp

リモコンが指し示すテレビの未来

文中、テレビは「テレビ波受信機」と書きましたが、実は、今、見られているのは「放送」ではなく「ネット」の方です。ネットフリックス、アマゾン・プライム・ビデオ、YouTubeなどなど。今回のシャープのデモの中に、YouTubeの4K映像が入っていたほどです。

そして新型のリモコンは、「ネットフリックス」「アマゾン・プライム・ビデオ」「U-NEXT」「hulu」「ABEMA」「Paravi」「YouTube」「アプリ」と書かれた単独ボタンが!

画像: jp.sharp
jp.sharp

東京での地上波は「NHK総合」「NHK教育」「日テレ」「TBS」「フジ」「テレ朝」「テレビ東京」の7チャンネルですから、肩を並べたとも言えます。

もう「テレビ波(放送)」だけの時代ではないことがわかります。

あと、もう一つ面白いのはサイズです。50型以下にも焦点を当てています。今まで、大型こそ正義と言わんばかりに売ってきた、テレビメーカーですが、考えも変わったようです。

今までよりだいぶ腑に落ちる方向性を打ち出しています。

シャープは発表時、「なぜOLEDにAQUOSを冠したのですか?」という質問に対して、「そういう時になりました」と答えました。
それはテレビがテレビでない時代になった。その中では、液晶もOLEDもないという意味ではないでしょうか?

最後に

画像: 今テレビを買うなら4K?8K?注目は「AQUOS」を冠したシャープのOLED(有機EL)DS1ライン・DQ1ライン
シャープ 55V型 有機EL テレビ アクオス 4T-C55DQ1 4K チューナー内蔵 Android TV (2021年モデル)
本体:幅 122.8×奥行26.3×高さ77.1(cm) 質量約26.5kg
解像度:3,840×2,160 (4K)
チューナー:BS4K・110度CS4K×2 地上デジタル×3 BS/CS×3
端子:HDMI×4 USB×3
スピーカー:最大出力50w 2.1ch 3ウェイ 6スピーカー
¥308,000
2021-04-26 17:44

トップであり続けるということは、ある意味傲慢でもあります。今までは、大きいテレビ、高性能のテレビが一番でした。しかし技術が飽和に近くなった今、皆横並び。シャープもAQUOSをOLEDに冠しました。その位、テレビは均一化されて来たとも言えます。

それに「テレビ波」は一つの選択でしかない時代に突入しています。誰が強弁はっても、「テレビはテレビでない時代」になっています。そうですから放送側、特に国民から視聴料を取っている某社の動きは、全くおかしいことがわかります。また放送業者をチヤホヤする理由はないです。

今後、「テレビでない時代のテレビ」をご購入をお考えの皆さんが、店頭でチェックすべきは、画質でなく、今はリモコン(音声入力が当たり前になるとリモコンさえなくなる未来が来ますが…)を見るべきかもしまれませんね。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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