【電動車の選び方】EVか?ハイブリッドか?次のクルマ選びを徹底指南

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ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたハイブリッド方式のHV、エンジン+外部からの充電を可能にしたPHV、バッテリーを電源として電動モーターで走行するEV、化学反応により電力を取り出すFCVと、クルマの電動化の流れが加速しつつある。その現状を解説していこう。

日本では2030年代半ばに新車のすべてを電動車とする目標

国内外でクルマの電動化に関する話題が注目を集めている。

今年に入り、EU(欧州委員会)が2035年までに新車のゼロエミッション(二酸化炭素の排出100%削減)化を提案する方針を、アメリカも2030年までに販売される新車の半数を電動車とする目標を、さらに日本も2030年代半ばには新車のすべてを電動車とする方針を発表したことなどが背景にある。

これらのプランが現実的かどうかは意見が分かれるが、いずれにしろクルマがゼロエミッションに向かっているのは間違いない。

ただ、日本ではEU諸国が規制の対象とするハイブリッド車(HV)も含んで電動車としており、その中には、排出ガス量の多い低電圧のマイルドハイブリッドまでも含まれる。現実的な対応とはいえるが、グローバルな視点で見れば、より脱炭素に向けた方針へ変更される可能性もある。

2020年にホンダ、2021年にマツダと、メーカー初のEV乗用車が相次いで登場(写真はマツダ・MX-30 EV)。

電動車は大きく4種類に分かれる

名称 解説 採用車種の例
HV(HEV) ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせて走行する。エンジンは発電のみに使う車種もある。外部からの充電には対応していない。 トヨタ・プリウス、日産・ノートなど多数
PHV(PHEV) 外部からの充電を可能にしたハイブリッド方式。バッテリーがHVよりも大容量化され、EVとして走行できる距離もHVより長い。 トヨタ・RAV4 PHV、三菱・アウトランダーなど
EV(BEV) 車載バッテリーを電源として使い、すべて電動モーターで走行する。エンジンを使用しないので、走行中に二酸化炭素は排出されない。 日産・リーフ、ホンダ・Honda eなど
FCV(FCEV) 水素と酸素の化学反応により電力を取り出す発電機構で得た電力を使い、電動モーターで走行する。走行中は二酸化炭素を排出しない。 トヨタ・MIRAI

ハイブリッド車といっても、実はいろいろな方式がある!

一口にHVといっても、その方式はさまざま。日本で最も多く売れている方式は「ストロングハイブリッド」と呼ばれるタイプで、現在はトヨタ「THS II」、日産「e-POWER」、ホンダ「e:HEV」の三つに集約される。

THS IIはエンジンとモーター駆動を併用するもので、現状で最も優れた燃費数値を記録している。e-POWERとe:HEVは、発電機を作動させて電気を蓄え、その電力でモーター走行する。ただ、e:HEVは高速道路の巡航など、燃費効率が落ちるシーンではエンジンが直接駆動する制御も行う。

一方、「マイルドハイブリッド」はモーター機能を備えた発電機が減速時などに発電し、エンジン駆動の支援やアイドリングストップ後の発進を支援する。欧米では電圧を48ボルトとした高効率型が主流で、低負荷時はエンジン停止を実現する車種も登場している。

そして、エンジンを備えながら自宅や充電スタンドなど外部からの充電を可能にしたのが、「プラグインハイブリッド(PHV)」だ。近距離はモーターで、長距離ではエンジン併用のHVで走行する使い方ができるのだ。

ハイブリッドは3タイプに分かれる

ストロングハイブリッド

トヨタ ヤリス

日本で最も多いHV方式。高電圧でクルマを走らせ、エンジンを切って電気モーターのみでも走行できる。充電はエンジンによって行い、外部充電には非対応。

マイルドハイブリッド

マツダ CX-30

オルタネーター(発電機)をモーターとして使い、低電圧(12/48ボルトなど)で走行。大容量バッテリーや高電圧モーターは不要だが、環境性能は高くない。

プラグインハイブリッド

三菱 アウトランダー

自宅や充電スタンドなど外部電源からの充電が可能。バッテリーに電力が残っていればEVとして、なくなったらエンジンを併用したHVとして走行できる。

主なメーカーのハイブリッド方式と概要

トヨタ
THS II
エンジンとモーターの動力を走行状況に応じて双方の出力を調整するスプリット方式を採用。発進・低速域ではモーター、高負荷領域ではエンジンとモーターを併用して同時に発電も行う。
ホンダ
e:HEV
市街地などの低中速走行時はモーター走行が基本。その上で、EVが苦手とする高速領域の効率を改善するため、エンジンの駆動力を直接駆動輪に伝える機械式駆動系を併用する。
日産
e-POWER
駆動や回生を行うEV相応の能力を持ちつつ、電気が不足するとエンジンで発電するシリーズ方式を採用。アクセルのみで加速・減速コントロールができる「ワンペダル操作」も搭載する。
マツダ
M ハイブリッド
オルタネーターを補助モーターで使う24ボルトマイルドハイブリッド方式を採用。発進時、一瞬落ち込むトルクをモーターでカバーし、停止に向けての減速時も早めにモーターに切り替える。
スバル
e-BOXER
減速時の回生エネルギーを利用して発電し、加速時にはその電力を生かしてエンジンをアシストするマイルドハイブリッド方式を採用。バッテリーを高容量化して瞬発力を高めている。

日産・e-POWERのエンジンは発電専用

エンジンで発電した電力を使いモーターで走行する方式を採用。最小限のバッテリーで済むうえに、4WDも駆動モーターの追加で対応できる。

ホンダ・e:HEVはモーターでの走行が基本。高速巡航時はエンジン走行も

低中速走行が主体の日常シーンのほとんどをEVで走行する一方、高速道路などでエンジンがホイールを直接駆動する機能も備える。

従来の2倍も高出力な次世代型ニッケル水素電池が登場!

トヨタの新型アクアでは、駆動用バッテリーとしては世界初となる、「バイポーラ型」と呼ばれるニッケル水素電池を採用した。

従来型ではセルモジュール間をコネクターで接続していたが、バイポーラ型ではモジュールどうしを直接つなぐことで、セルモジュールを小さくできることに加え、大電流をモジュール内に一気に流せるというメリットをもたらした。

具体的には、セル当たりの出力を従来比約1.5倍とし、システムのコンパクト化によって約1.4倍ものセルを搭載。これにより、バッテリー全体では従来型アクアと比べ約2倍もの高出力を達成したという。

その結果、市街地でのEV走行領域が大幅に増え、アクセルペダルだけで速度調整を可能にする“快感ペダル”の搭載にもつながっている。

従来型ニッケル水素電池とバイポーラ型の構造の違い

従来型ニッケル水素電池はセルモジュールごとにコネクターで接続していたが、バイポーラ型ではモジュールを直接接続しているため、大電力を一気に流せる。

新型アクアはバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載!

横浜で超小型EVなど、各地でEVのレンタルサービス

2021年7月より横浜市でトヨタの超小型EV、C+podを使ったレンタルサービスが始まっている。

C+podは定員2名で最高速度が60キロという新しいカテゴリーのクルマで、満充電で約150キロの走行ができる。サービス提供車両は4台で、すべてが観光スポット周遊バス「あかいくつ」に模したデザインでラッピングされている。

また、さいたま市では、2021年3月からENEOSなどとともに、超小型EVを活用したシェアサービスの実証実験を実施中。使われているFOMM ONEは軽自動車規格のEVで、満充電で約160キロの走行が可能。

そのほか、福井県や神奈川県小田原市などでも同様のサービスが始まっており、今後も脱炭素社会の構築に向けてこのような取り組みが全国で実施されていきそうだ。

全国各地でEVレンタルやシェアサービスの取り組みが進む

横浜市:C+podを使用

さいたま市:FOMM ONEを使用

■解説/会田 肇 (自動車評論家)

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