2021年も、オーディオ界ではさまざまな動きが見られた。新製品や新機能から、メーカーやショップの旬の話題まで、いま気になる最新トレンドを解説していこう。ここでは国産オーディオメーカーの「デノン」や「マランツ」、「ラックスマン」、「アキュフェーズ」のルーツにふれる。
創業100年を超えるブランドもある
1960~1980年代のオーディオ全盛期。大手電気メーカーがこぞってオーディオに参入したが、現在も、ひときわ伝統の輝きを見せる国産オーディオブランドがある。デノン、ラックスマン、そしてアキュフェーズなどだ。それぞれのルーツを紹介しよう。
デノンは、日本最古のブランドだ。1910年、日本コロムビアのブランドとして誕生した日本電気音響=デンオンから名称変更したもの。局用のカートリッジやターンテーブルの開発を手がけ、PCM録音の先駆けでもある。音楽ソフトとオーディオ、ホームシアターを融合した形態がデノンブランドの強みであり、2020年に110周年を迎えた。
●デノンは110周年記念モデルも登場
2020年、デノンの創業110周年を記念する4製品が登場した。SACDプレーヤー、プリメインアンプ、MCカートリッジ、AVアンプだ。
ちなみに、デノンと同じD&Mグループのマランツは、1953年創立の米国ブランドだ。フィリップス・マランツの時代を経て、現在に至る。2023年の創立70周年に向かい記念モデルや新製品も続々登場している。
ラックスマンは、まもなく100周年を迎える由緒正しいブランド。高級トランスと真空管アンプを得意とし、アナログプレーヤーもラインアップする。トランジスタと真空管の両方を手がけるブランドは世界的にも珍しい。音や品質と同時にデザインや操作フィーリングまで一流を目指しているのが同社のポリシーだ。
●トランスや真空管アンプが得意なラックスマン
ラックスマンは1925年の創業。トランスや真空管アンプを得意とし、現在もトランジスタアンプと合わせて製造、販売している。
アキュフェーズの創業はCD登場より10年前の1972年。「アキュレート(正確)なフェーズ(位相)」を意味するブランド名で、少数精鋭により量より質を追求。音質第一でいいものを長く作り続けようというコンセプトで、世界でも有数の高級アンプ専門メーカーとなった。
国産オーディオメーカーのすごい歴史を知るのも楽しいものだ。
■解説/林正儀 (AV評論家)
この記事は『大人のオーディオ大百科2021』(マキノ出版)に掲載されています。
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