ユニバーサル ミュージックと日本ビクター(当時) の共同開発による「SHM-CD」や日本コロムビアの「UHQCD」などは定評があり、最近ではソニー・ミュージックが、「極HiFiCD」を完成させた。ここでは、ハイレゾ級の情報量をCDで実現する「MQA-CD」(ハイレゾCD)の違いも解説する。
素材や製法を工夫して音質向上をねらう
CDでは、規格に基づきながら素材や製法を工夫することで物理特性を向上させ、音質向上をねらう「高音質CD」が各社から発売されている。ユニバーサル ミュージックと日本ビクター(当時) の共同開発による「SHM-CD」や日本コロムビアの「UHQCD」などは定評があり、最近ではソニー・ミュージックが、「極HiFiCD」を完成させた。
一方で、ハイレゾ級の情報量をCDで実現する「MQA-CD」(ハイレゾCD)も注目を集めていて、これは、普通のCDプレーヤーで再生すれば普通のCDとして再生、MQA対応CDプレーヤーなどで再生すればハイレゾにと、CDという器を大きく使おうとする技術。両者は似て非なるものだ。
●ハイレゾ品質で再生できる「MQA-CD」
MQA対応システムで再生するとサンプリングレートが最大192kヘルツ相当のハイレゾ音質で再生できる。通常CDとしても再生できる。
特に、MQAは空気感の再現性に優れる
CDはデジタルだから、エラーがなければ音は同じと思われがちだが、製造品位の差が音質に現れる。同じCDでも、プレスを続けていると金型がへたり、データの元であるピットの形も不鮮明になることはご想像いただけるだろう。プレスが一定数に達した金型を新しいものに交換するのもそうした理由からだ。
CDにはエラー訂正機能が備わっているので、データの読み出しには一定の許容範囲があるが、訂正を行うには電力を消費し、また、訂正が追いつかない場合は再度、ピックアップ部を移動して同じ部分を読み取るため、少なからず消費電力の起伏が生じる。こうした変動が音質に悪影響を及ぼすと考えられていて、物理特性上、高品位なCDは高音質と考えられる。
また、MQA-CDはサンプリングレートが最大192kヘルツで、再生可能な周波数特性は約100kヘルツに達する新しいシステム。MQAは、A/D変換およびD/A変換にも工夫を加えているが、空気感の再現は、通常CDに対してアドバンテージを感じるものだ。
●金型と成型条件を見直した「極HiFi CD」
金型と成型条件を見直すことで、情報を記録するピット(凸部)をより高精度に成型。レーザー反射膜に反射率の高い銀合金を採用。
■解説/鴻池賢三 (AV評論家)