塩はすべての味つけの基本となる調味料です。調理する前に食材になじませると、旨みを引き出します。大事なのは適切な量と、タイミング。余計なものはできるだけ加えず、食材の味を生かすような塩のおかずレシピについて、著者の飛田和緒さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
飛田和緒(ひだ・かずを)
2011年刊行のロングセラー『常備菜』(主婦と生活社)をはじめ、著書は100冊以上。誰でもおいしく作れる素材を生かしたシンプルなレシピが、幅広い世代から支持されている。味つけのベースとなっているのは、生まれ育った東京や、高校三年間を過ごした長野の味。現在は夫、娘とともに湘南で暮らし、地元の新鮮な食材を各地で出会ったお気に入りの調味料を使って料理する毎日。人柄やライフスタイルにもファンが多く、娘の日々のお弁当などを紹介するインスタグラムも人気を集めている。
▼インスタグラム
本稿は『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
撮影/公文美和
●大さじ1は15㎖、小さじは5㎖です。
●1合は180㎖です。
●電子レンジの加熱時間は600Wの場合を基準にしています。機種によって加熱時間が異なるので様子を見て加減してください。
●レシピにある「油」は炒める用の油です。好みの植物油を使ってください。レシピでは「米油」をメインに使っています。
●塩は天日塩を使っています。しょうゆとみそは特に指定がない場合、濃口しょうゆ、米みそを使っています。
●だしは「かつお昆布だし」を使っています。
●レシピの下にある「代替食材」は、同じ作り方をするとおいしくできる食材の例です。レシピに書いてある食材がないときや別の食材で作ってみたいときの参考にしてください。
塩のおかず
塩はすべての味つけの基本となる調味料です。
調理する前に食材になじませると、旨みを引き出します。
旨みを引き出した食材には、仕上げにパラッとふるだけでも、おいしい塩味のおかずになります。
大事なのは適切な量と、タイミング。
余計なものはできるだけ加えず、食材の味を生かすようなレシピを紹介します。
レモンや梅干し、練り物、漬け物との組み合わせもおすすめです。
塩だけでつけるまっすぐな塩味に、自然な酸味や食材の塩けが加わると、料理の味に奥行きが生まれます。
塩だけ鶏ささみの酒蒸し
酒蒸しにすると塩分が抜けてしまうので、塩の分量はややきつめに。
フライパンで作ると手軽にふっくら仕上がります。
▼[材料]
作りやすい分量
鶏のささみ 6本(300g)
塩 6g(小さじ1・肉の重量の2%)
酒 50㎖
▼[作り方]
(1)鶏のささみは筋をとって、水けをふきとり、塩を両面にすり込み、10分おく。
(2)フライパンに(1)を重ならないように並べ、酒を入れ、ひたひたになるまで水(分量外)を注ぐ。
(3)火にかけ、沸騰したらふたをして火をとめ、そのまま冷ます。
POINT
酒蒸しにした鶏のささみは、煮汁ごと保存容器に入れて冷蔵庫へ。
保存期間は3〜4日間。煮汁はペーパータオルでこしてアクをとり、スープなどに使いましょう。
▼代替食材
とんカツ用の豚肉(沸騰しない程度の火加減で、しっかり中まで火を通すこと)
本稿は『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
アレンジ 鶏ささみの酒蒸しごま油がけ
塩をきかせた鶏ささみにごま油を合わせれば中華風、ポン酢しょうゆなら和風で楽しめます。
▼[材料]
2人分
鶏ささみの酒蒸し 3本
青ねぎ 1本
ごま油またはポン酢しょうゆ 適量
▼[作り方]
鶏ささみの酒蒸しはひと口大にさいて、器に盛り、小口切りにした青ねぎを散らす。
好みで塩(分量外)をかるくふり、ごま油をまわしかける。またはポン酢しょうゆをかける。
アレンジ 鶏ささみの酒蒸しサラダ
野菜はお好みのもので。生でもゆで野菜でも合います。
▼[材料]
2人分
鶏ささみの酒蒸し 2本
きゅうり 1/2本
ロメインレタス 3〜4枚
紫たまねぎ 少々
にんじん 1/4本
レモン果汁 レモン1/4個分
塩 ふたつまみ
黒こしょう 少々
オリーブ油 大さじ1と1/2
▼[作り方]
(1)各野菜は食べやすい大きさに切り、鶏ささみの酒蒸しはひと口大にさいて合わせる。
(2)(1)に塩、黒こしょう、レモン果汁をふり、オリーブ油をまわしかける。
本稿は『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
アレンジ 鶏ささみの酒蒸しサンド
鶏ささみをたっぷり挟んだ、さっぱり風味のチキンサンド。
大人にはマスタード多めがおすすめです。
▼[材料]
2人分
鶏ささみの酒蒸し 3本
サラダ菜 4枚
食パン(サンドイッチ用の薄切り) 4枚
A
バター、マスタード、マヨネーズ 各適量
▼[作り方]
食パン2枚にAを順に塗りA、残りの2枚にサラダ菜と、細くさいた鶏ささみの酒蒸しをのせる。2枚の食パンを合わせて、3等分に切って盛る。
A
マスタードとマヨネーズの酸味が鶏ささみの酒蒸しの塩けを引き立てますのでたっぷりと。
本稿は『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
塩だけぶりの塩こしょう焼き
脂ののったぶりは、まず塩で。黒こしょうを少しふることで味にメリハリがうまれます。
▼[材料]
2人分
ぶり 2切れ(200g)
塩 2g(小さじ1/3・魚の重量の1%)
粗びき黒こしょう 少々
油 小さじ1
甘酢しょうが 適量
▼[作り方]
(1)ぶりに塩をひとつまみ(分量外)ふって10分おき、表面の水けをしっかりとふきとるA。塩と黒こしょうを両面にふる。
(2)フライパンに油を熱して(1)を入れ、弱めの中火で4〜5分かけて両面を焼く。トングなどでつかんで皮目もしっかりと焼きつける。器に盛り、甘酢しょうがを添える。
A
ここで塩をふることでまずは魚の臭みを抜きます。このひと手間で、2回目にふる塩の味が際立ちます。
POINT
魚焼きグリルや網で焼いてもよいです。魚は肉よりも火が通りやすいので焼きすぎないこと。
本稿は『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
塩だけきゅうりの塩炒め
きゅうりと豚肉の両方にあらかじめ塩味をつけておくと、あとから加える調味料も少なく、味がしっかり決まります。
▼[材料]
2人分
きゅうり 2本
豚こま切れ肉 80g
きくらげ(水でもどしたもの)※または生きくらげ。 大2枚
塩 適量
黒こしょう 少々
油 大さじ1
▼[作り方]
(1)きゅうりは縦半分に切って種をスプーンでかき出す(きゅうりの種をとると水っぽくならない)。1cm厚さの斜め切りにしてボウルに入れ、塩ふたつまみを加えてからめておくA。
(2)豚こま切れ肉は大きければひと口大に切り、塩ひとつまみをもみ込んでおく。
(3)きくらげは食べやすい大きさに切る。
(4)フライパンに油を熱し、(2)の豚肉を中火で炒め、ほぼ火が通ったらきゅうりの水けをかるくきって加え、(3)のきくらげとともに炒め合わせる。味をみて塩でととのえ、黒こしょうをふる。
A
炒める前に塩で味つけしておくことで、塩がしっかりなじみます。
▼代替食材
うり、ゴーヤ
POINT
かき出したきゅうりの種は捨てずにそのまま食べるか、おみそ汁やスープ、サラダなどに入れて食べましょう。
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なお、本稿は書籍『塩、しょうゆ、みそで飛田式おかず』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。人気料理家 飛田和緒さんのシンプルでおいしい料理の極意「調味料が少なくても味は決まる!」。それは、塩、しょうゆ、みそを使いこなすこと。「肉・魚が1番おいしくなるのは1%の塩」「しょうゆは最後にさっとで香りを生かす」「みそは炒め油に溶かして食材になじませる」などのコツをわかりやすく紹介しています。おかずのレパートリーがどんどん増える、毎日の料理に役立つレシピ本です。