クリプトンは、わが国を代表するスピーカーメーカー。ワイヤレス・コンパクトオーディオ「KS-33」と一般的なアクティブスピーカーとの大きな違いは、音の安定感、剛性感、わかりやすくいうと「しっかり感」だ。こんなに小さいのに、”ミニクリプトンサウンド”と表現ができるほどの、明晰な音が聴けるのである。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
ワイヤレス・コンパクトオーディオ
クリプトン「KS-33」
今、このキーワードに注目!
【アクティブスピーカー】
アンプやDAC、ネットワーク機能を内蔵したアクティブスピーカーが旬だ。ワイヤレスでスマホからの音源を聴く、デスクトップでPCオーディオを聴く、といった用途に最適だから、製品開発も活発。これまでは利便性がメインだったが、音質にこだわるモデルも登場している。
便利さとクオリティは、反比例することが多い。流行のアンプやDAC、ブルートゥースを内蔵したアクティブスピーカーの大多数は、利便性や設置性が優先され、音質はいまひとつ。だが、中には例外的に格段の高音質で聴かせるアクティブスピーカーも存在する。クリプトンの一連の製品がそれだ。
クリプトンは、わが国を代表するスピーカーメーカー。その優秀な技術を活用したアクティブスピーカー作りは2010年に始まり、これまで14機種も世に送り出してきた。その代表が、ここに紹介する「ワイヤレス・コンパクトオーディオ KS-33」だ。
192kヘルツ/24ビットのハイレゾ音源対応のDAC、aptX HDのブルートゥースコーデック、35ワット×2のデジタルアンプを内蔵し、64ミリのフルレンジが鳴る。その音は、スピーカー専門メーカーが本気を出して作ると、これほどのものができるのだというお手本だ。
ユニットやインシュレーターなど、こだわりも満載
一般的なアクティブスピーカーとの大きな違いは、音の安定感、剛性感、わかりやすくいうと「しっかり感」だ。KS-33は、大地に足を踏ん張るような安定感の上に、情報量の多い、そしてナチュラルな質感のサウンドが乗る。こんなに小さいのに、”ミニクリプトンサウンド”と表現ができるほどの、明晰な音が聴けるのである。
デンマークの伝統あるTymphany(ブランドはPeerless)製の64ミリ・フルレンジユニットを使いこなし、エンクロージャーの全面にアルミの押し出しという音響的な贅沢を与え、インシュレーターには同社アクセサリー製品で振動除去に活用されている「ネオフェード」を提供と、こだわりを述べるには、紙幅がいくらあっても足りない。
KS-33は、スマホのワイヤレス再生、PCオーディオ、テレビ音声の同軸デジタル再生など、多方面に活用できる高音質モデルといえよう。また、同社のアクティブファミリーとして、ハイコストパフォーマンスの「KS-11」、DSD再生も可能にした「KS-55Hyper」にも注目したい。特に、後者の雄大な低音再現は刮目だ。
ワイヤレス・コンパクトオーディオ
クリプトン「KS-33」
実売価格例:8万7780円
【SPEC】
●スピーカーユニット/64mmフルレンジ型
●出力/35W×2
●DAC対応ファイル形式/最大192kHz/24bit PCM(WAV、ALAC、AIFF、FLAC)
●入力端子/USB2.0、アナログ(ステレオ3.5mmミニ)、光デジタル
●Bluetooth/SBC、AAC、aptX、aptX HD
●本体サイズ/幅89mm×高さ176mm×奥行き105mm
●重量/1.6kg(×2)
デンマーク・Peerlessブランドの64ミリ・フルレンジユニットを上手に使いこなし、サイズを超えた音楽再生を可能にした。エンクロージャーはオールアルミにて制振。USB入力では、192kヘルツ/24ビットのハイレゾ再生が可能だ。
KS-11は、192kヘルツ/24ビット再生、高音質なブルートゥース再生が可能なコンパクトモデル。KS-55Hyperは、同社の高音質技術を結集させたハイエンドモデルで、DSD5.6Mヘルツの再生に対応する。
■解説/麻倉怜士(デジタル・メディア評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。