アンプはここ最近、少し事情が変わってきた。デジタルアンプの高音質化だ。究極といえるのが、フルデジタル。入力したデジタル信号をそのままアナログを介さずに増幅するので、ソースのデジタル化時代にふさわしく鮮度の高さも期待できる。また、プレーヤーを搭載したり、ネットワーク機能に対応したりといった、小型の複合機という発想の製品が話題だ。

本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

アンプの基本とトレンド

各社が独自色の強い機能や特徴を売りにしている

アンプは、アナログやデジタルといった違いだけでなく、回路構成に設計思想が反映され、また、回路に設計者の名前を冠することもある。ここが、製品選びの楽しい部分だ。最近のキーワードとして、「ローインピーダンス」や「ハイカレント」いったワードを目にするが、これは瞬時に大きな電流を取り出して駆動力が高いという意味だ。

スピーカーに内蔵、プレーヤーと一体など合体モデルが増加

ハイエンドのコンポ機器は、従来どおり、役割ごとに分離するのが基本だが、ユーザー数は減少傾向にある。そんな中、近年のメディアの変化や住宅事情からか、複合機ともいえる合体モデルが増加傾向にある。往年のオーディオファンには少し違和感がありそうだが、使い勝手のいい新時代の製品として受け入れるのもいいだろう。

「ボリューム」は音質を左右する重要なパーツだ!

ボリュームは音声信号に触れるので、音質を大きく左右する。最新のボリュームはデジタル方式が主流で、アナログ式に比べると経年劣化やギャングエラー(左右のバラつき)の心配がない。また、音量調整においては、増幅した信号をあとから絞るのではなく、前段でゲイン調整をすることで、小音量時の音質向上をねらう製品も多い。

デジタル入力搭載やネットワーク対応がさらに進んでいる

PCオーディオやネットワークオーディオ、および音楽配信の普及で、アンプにもデジタル入力やD/Aコンバーターを内蔵する製品が増えている。最近では、AVアンプのように、HDMI端子を搭載するモデルも登場している。新しいモデルほど、対応できるデジタル信号のスペックも高くなる傾向があり、製品選びのポイントになる。

アナログを介さずに増幅するフルデジタルアンプが話題

アンプの役割は、プレーヤーなどのソース機器から受け取った微弱な音楽信号を、スピーカーが駆動できる大電力に増幅すること。ソースの切り替え機能も担い、オーディオシステムの中では中心的な存在だ。

従来、アンプといえば増幅だけが仕事で、アナログアンプならA級やB級、出力(ワット)、出力インピーダンスなどが、製品選びの主なポイントだった。

もちろん、音質を左右するアンプは、各社の思想に沿って回路構成や設計などがなされるため、ブランドも非常に重要な選択のポイントとなる。気に入ったブランドのラインアップの中から、予算に応じて選ぶのが実情かもしれない。

しかし、ここ最近は、少し事情が変わってきた。デジタルアンプの高音質化だ。

登場当初のデジタルアンプは、低消費電力・低発熱など、音質よりも合理性を訴える製品が目立っていた。だが、現在では弱点を克服しつつ、さらに次のステージを目指したデジタルならではの進化が続いている。

デジタルの究極といえるのが、フルデジタル

D級と呼ばれるデジタルアンプの多くは、デジタル入力も一度アナログに変換し、再度A/D変換して増幅している。一方で、フルデジタルアンプは、入力したデジタル信号をそのままアナログを介さずに増幅するので、ソースのデジタル化時代にふさわしく、鮮度の高さも期待できる。

フルデジタルアンプでは、パナソニック/テクニクスの「JENOエンジン」やクアルコムの「DDFA」などが有名だ。

HDMI端子の搭載も新しい潮流として注目

また、機能面では、デジタル入力の充実が挙げられる。見た目には普通のプリメインアンプでも、USB入力やWi-Fiなどのネットワーク機能に対応した製品が増えていて、メディアや音源の変化が反映されている。

新しい潮流としては、HDMI入力端子の搭載。これは、テレビとの組み合わせを想定したものだ。HDMI端子があれば、テレビとHDMIケーブル1本で接続ができ、電源操作の連動、音量調整もテレビリモコンで行えるなど、使い勝手が飛躍的に向上する。

HDMIはAVアンプの機能と考えられてきたが、マランツがHDMI搭載のプリメインアンプを発売して大ヒット。追随するメーカーも増え、今後のトレンドになることは間違いなさそうだ。

また、音源のデジタル化、アンプのデジタル化といった流れは、使い勝手の工夫へとつながり、ミニコンポの代替ではない小型の複合機という発想にもつながった。CDプレーヤーを搭載したり、ネットワーク機能に対応したりといった製品が話題だ。

もう1つ、真空管アンプへの回帰もおもしろいトレンドだ。音質やデザインを継承しつつ、使い勝手を向上させた、モダン真空管アンプともいえる流れにも趣がある。

今、注目したいアンプ

マランツ
MODEL 40n

実売価格例:27万1700円

画像: マランツ MODEL 40n

HDMI入力端子を搭載し、ネットワーク再生機能も備えるハイエンドモデル
HDMI入力端子を搭載したハイエンドプリメインアンプだ。ネットワーク再生機能も搭載し、リビングのすべての音を高品位化するというコンセプトが新しい。デザインもモダンで、リビングを美しく飾りたいという人にも好適。

デノン
PMA-900HNE

実売価格例:11万8800円

画像: デノン PMA-900HNE

ネットワーク再生機能やブルートゥース送受信機能も備えるプリメインアンプ
見た目はトラディショナルなフルサイズのプリメインアンプだが、ネットワーク再生機能やブルートゥース送受信機能も備える最新モデルだ。音質面ではデノンのノウハウを投入し、MM/MC対応フォノイコライザーも搭載。

テクニクス
SA-C600

実売価格例:11万円

画像: テクニクス SA-C600

ネットワーク再生機能、CDプレーヤー、フォノイコを内蔵する高度な複合機
ネットワーク再生機能だけでなく、CDプレーヤーやMM対応のフォノイコライザーも内蔵する高度な複合機。アンプはフルデジタルの「JENOエンジン」を搭載し、部屋に合わせた音質チューニング機能も利用可能。

ラックスマン
SQ-N150

画像: ラックスマン SQ-N150

コンパクトサイズで家庭へ導入しやすい長寿命設計の真空管アンプ
設置スペースがA4用紙サイズというコンパクトな真空管アンプ。見た目にも音質面でも暖かみのある真空管を生かしつつ、一般家庭での導入のしやすさがポイント。信頼性の高い真空管を採用し、長寿命設計だ。趣味性の高い逸品。

■解説/鴻池賢三(AV評論家)

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。



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