筆者の住む北海道のように降雪地帯でクルマに乗る人なら、1台の1本は持っているであろうスノーブラシ。絶対必要な必須アイテムなのですが、壊れたときや無くしたときに、なにも考えずに近くのホームセンターで購入するため、なんのこだわりもありませんでした。しかし、キャンプ・アウトドアブランドとして有名なキャプテンスタッグのアイテムにも2種類のスノーブラシがあったのです。そこで、どうせ買うならアウトドアイメージの強いキャプテンスタッグ製と考え、クルマ2台分と考えて2種類をそれぞれ導入してみました。その結果、意外な盲点が明らかになったので、みなさんにご報告します。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
有名メーカー製スノーブラシがほとんどない
アウトドアメーカー・キャプテンスタッグのスノーブラシ
筆者の住む北海道のように雪国でクルマを使う人なら、必ず持っているアイテムのひとつがスノーブラシでしょう。降雪地帯に住んでなくても、クルマで雪国に行く人なら持っていないと雪の降った朝などにクルマの上に雪が積もって大変なことが起きるので必携のアイテムと言えます。
一家に1本どころか、クルマ1台ごとに1本用意しているのが、雪国では当たり前でしょう。当然、筆者も数本持っているのですが、無くしたときか、壊れたときになって、やっとあまり考えることなく、近くのホームセンターで特にこだわりもなく購入するので、どこのメーカーのものを所有しているかすら、筆者自身も不明瞭。しかも、ネットなどで検索しても誰もが知っているブランドはほとんど出てこないのですが、筆者は見つけたのです、キャプテンスタッグの2023年新製品のなかに「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」(キャプテンスタッグ公式オンラインストアにて税込1,848円)「木柄調スノーブラシ」(同税込638円)がラインアップされていることを。送料が別なこともあるのでしょうが、かなり安い。ちなみにアマゾンなどからも購入できます。こちらは送料込みのようです。
せっかくならブランドイメージのよいキャプテンスタッグを導入
筆者のなかでスノーブラシは、どうしても必要だから壊れたり、無くしたりしたときに仕方なく買う必須の消耗品。自分で積極的にセレクトして導入したことはありません。筆者にしては珍しい受動的なガジェットといえるのです。しかし、あまり知らないようなブランドやノーブランドなどの製品と大差のない価格でキャプテンスタッグのスノーブラシが購入できることに気が付いた瞬間「ほしくもないスノーブラシを惰性で買うよりも、アウトドアブランドイメージが好印象なキャプテンスタッグを導入する方がかなりいい」と思ったのです。どうせ、いままで使っていたスノーブラシはかなり痛んできていますし、壊れる前に新規導入とはじめてスノーブラシを能動的にセレクトしました。
普段乗っている小型SUV用には「木柄調スノーブラシ」、背の高いキャンピングカーに使うのは「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」と考えています。
キャプテンスタッグだから、特別な機能が付いているといった感じではありませんが、本社は新潟県三条市、まさに雪国のブランドが自分たちに経験の上に作り上げたと推察される安心感もスノーブラシのブランドとしてプラスに働いています。
キャプテンスタッグ「木柄調スノーブラシ」を使ってみた
コンパクトでスタンダードなスノーブラシ
キャプテンスタッグの「木柄調スノーブラシ」は全長が約65cm、幅が約7cmのスノーブラシです。柄の部分は木目調のポリプロピレンで、ブラシ部分はポリ塩化ビニル、凍結した氷の除去などに便利なヘラの部分はABS樹脂製になっています。非常に軽量で重さは約190g。長さの調整などはできないので、自分で持って屋根の上までブラシが届く程度の高さまでのクルマで使うのが便利でしょう。そのため、筆者は比較的車高の低い小型SUV用として「木柄調スノーブラシ」を導入しました。ミニバンなど車高の高いクルマには「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」のほうが向いていると思います。
ブラシのコシが絶妙で使い勝手がいい
掲載した写真のように小型SUVの上に積もった雪をブラシで払ってみました。軽量なので片手でも扱いやすく、簡単に雪を払うことができます。極めてスタンダードな形なので、いままで使っていたものと比べて劇的に便利というわけではないのですが、柄がポリプロピレンで軽く、ブラシのコシというか、粘り具合が絶妙なのです。これは絶対に普段使っている人が開発・設計していると確信したほど。かなり気持ちよくクルマの雪を払い落とすことができました。
価格もリーズナブルなので、あまり背の高くないクルマに普段から積んでおくスノーブラシとしてはかなりおすすめといえるでしょう。
キャプテンスタッグ「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」を使ってみた
スタンダードな構造ながら、しっかりとした作りに安心感
「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」は「木柄調スノーブラシ」の約3倍の価格のためしっかりとしたアルミニウム合金製となっています。表面は耐食性、耐摩耗性が高く、高硬度なアルマイト加工済み。製品サイズは幅約26cm、高さ約13cm、長さは約77cmから約126cmまで調整可能です。しっかりと密集したブラシ部分はポリ塩化ビニル、樹脂部分はポリプロピレン、窓に凍りついた氷の除去などに便利なスクレーバー部分はABS樹脂でできています。
重さは約400gと見た目よりは、かなり軽いのですが、手に持つとしっかりとした印象です。
「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」の最大の特徴は、長さが調整できることでしょう。右回しでしまる、左回しでゆるむ構造で約77cmから126cmまでの使いやすい長さに調整して使用するわけです。これ自体はよくある構造なのですが、さすがにキャプテンスタッグ製、しまる、ゆるむがきっちりしており、安心感があります。実はノーブランド製などでは、このしまる、ゆるむがはっきりせず、使っていると勝手に縮んむなど、イライラすることが多いのです。このあたりはさすがといえるでしょう。
上に掲載した写真のように「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」のブラシ部分の根元にはロックボタンが付いており、ブラシの角度を5段階に調節できる仕組みです。そのため、ミニバンや筆者の場合はキャンピングカーのように車高の高いクルマの雪を落とす際にとても便利。この部分がちゃちだと重めの雪を落とす際などに角度が変わってしまい、イライラすることがあるのですが、かなりしっかりしているため、そんな心配も感じません。
筆者のキャンピングカーはトラックベースのいわゆるキャブコンと呼ばれるタイプのもの(屋根までの)高さが約3mあります。そのため、クルマに雪が積もると雪を落とすのもかなり大変なわけです。
しかし「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」は伸ばすと最大で約126cm。一般的に手を上に伸ばしたときの高さは身長×1.2〜1.25倍と言われているようなので、少なく見積もって1.2倍を採用、日本人男性の平均的な身長として170cmを想定すると204cm。アルファードクラスのミニバンで高さが約195cm程度、幅が190cm程度なので、屋根の上に積もった雪もしっかりと落とすことができるでしょう。
さすがに屋根までの高さが約3mのキャブコンの屋根の積もった雪までは落としきれませんが、屋根の真上に積もった雪以外は気持ちよく落とすことができました。
特にクルマの雪下ろしの際にもっとも使用するであろうブラシ部分は、ポリ塩化ビニル製のワイヤー部分の密集度が高く、コシがあるため気持ちよく雪をかき落としてくれます。実は屋根の積もった雪をクルマの左右などにかき落とそうとすると思う以上に重く、ブラシの強度(コシ)が弱いと、うまくいかないことがあります。「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」は設計や製造をしているキャプテンスタッグ自体が雪国新潟のメーカーのためか、気持ちのよいバランスでできていると感じました。
まとめ
お願いだから「CAPTAIN STAG」のロゴをどこかに入れてくれ!
「木柄調スノーブラシ」のブラシ部分の絶妙なコシや「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」のブラシ部分を5段階に調整できるロックボタンなど、普段から使っている人間が設計しているとしか思えない作りは、さすが本社が新潟県三条市にあるキャプテンスタッグならではといえるでしょう。同じ北国仲間である北海道在住の筆者も納得の作りといえます。実は筆者は新潟にも住んでいたことがあるのですが、ブラシのコシの強さは北海道に比べて湿り気の多い新潟の重い雪にもしっかりと対応してくれそうで頼もしく思いました。
しかし筆者は受け取ってパッケージを開けたときに、大きく落胆したことがあります。ここまで記事を読んでくださったみなさんなら、すでに掲載した写真で気付いているかもしれませんが「木柄調スノーブラシ」、「アルミ折畳み式スノーブラシ(グリーン)」ともパッケージを外すとどこにもブランドロゴである「CAPTAIN STAG」の文字がないのです。はっきり言うとキャンピングカーに積むスノーブラシなどは「私はスノーブラシにまでこだわってますよ感を演出したい」のです。「小さな男といわれてもいい! キャプテンスタッグさん、2024年モデルは大きく「CAPTIAN STAG」のロゴを入れてください」。
このコストパフォーマンスでロゴも入っていれば、ほぼ文句なしのスノーブラシだと筆者は思っているわけです。せっかく買うならキャプテンスタッグはありだと思いますよ。