日本の運試しの代名詞、「おみくじ」。これからの季節、初詣で神社や仏閣を訪れ、おみくじを引く機会が増えることでしょう。しかし、現在においては、ほとんどの方がその結果の意味を正しく理解できていません。これは、おみくじの内容が細分化されていることに起因しています。
そこで、本記事では、おみくじの結果をわかりやすく解説し、それぞれの項目の意味や、順位についてご紹介します。次のおみくじをより深く楽しむための、参考にしてください。
おみくじの順位と種類を徹底解説!
おみくじには「7種類から12種類」の結果があります。
まずは、それぞれの順位を、みていきましょう。
おみくじの運勢の順位
皆さんもご存知の通り、おみくじにはさまざまな結果があり、その中でも最も悪い結果が「凶」、最も良い結果が「大吉」とされています。
「大吉」を引いたときは、その年やその日の運勢が非常に良いとされ、特に嬉しい知らせや大きな成功が期待できるというポジティブな解釈がなされます。逆に「凶」を引いた場合は、何かトラブルが予兆されると考えられがちですが、必ずしも悪いことが起こるわけではありません。むしろ「凶」を引いた時こそ、運勢を見つめ直し、努力や工夫をすることで運気を変えるチャンスと捉えることができます。
その間に位置する「吉」「中吉」「小吉」「末吉」などの結果には、微妙な違いがあります。これらの順番は、おみくじを販売している神社や仏閣によって多少の差があるものの、一般的には「吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉」といった順序がよく見られます。この並び順には、運勢の良し悪しに応じた解釈が込められており、たとえば「吉」は全般的に安定した運気を示し、「中吉」はその上に位置する、やや強い運気を表すことが多いです。
大切なのは、おみくじの結果をどのように自分の生活に活かすかということです。「大吉」を引いたときには、その幸運を最大限に活用し、積極的に自分の目標や願いに向かって進んでいくことが重要です。逆に、「凶」を引いた場合は、まずその結果を警告として受け止め、今後の行動を見直すきっかけとすることができます。運気が悪いと感じたとしても、それをポジティブに捉え、注意深く行動することで、良い方向へと運命を変えていくことが可能です。
どんな結果でも、それに対して前向きな解釈をし、自分の行動を見直すことで、運命を切り開いていくことができるのでしょう。おみくじの結果は、より良い未来を切り拓くための指針ともなります。結果を大切にし、その意味をしっかりと自分の行動に反映させることが、最も重要なことだと言えるでしょう。
おみくじの小吉と末吉の違い
中には、『小吉』と『末吉』の違いがわからないという方もいらっしゃるかと思います。この2つにはそれぞれ異なる意味合いがあります。
まず、『小吉』は、安定した運勢を表しています。大きな幸運も不運もないため、穏やかに過ごせることを意味しています。このため、変化をあまり好まず、今の状態を保ちたいと考えている方にとっては、最適な結果だと言えるでしょう。
一方、『末吉』は、今はまだ運勢が低調でも、これから徐々に運気が上昇する兆しを示しています。そのため、成長や変化を望む方にとって『末吉』は前向きなメッセージとなるでしょう。
つまり、現状の安定を重視する方には『小吉』が、今後の成長や変化に期待している方には『末吉』が、それぞれ適しているということになります。
伏見稲荷大社では17種類のおみくじ結果がある
また、伏見稲荷大社では、先ほどご紹介した結果に加え、さらに多様な種類の結果が用意されています。具体的には「大大吉」「凶後大吉」「凶後吉」「末大吉」「向大吉」「小凶後吉」「後吉」「吉凶未分末大吉」「吉凶不分末吉」「吉凶相半」「吉凶相交末吉」「吉凶相央」などがあり、それぞれに独自の意味や解釈が込められています。
これらの結果は、以下の順番で並べられています。「大大吉」「大吉」「凶後大吉」「凶後吉」「末大吉」「末吉」「向大吉」「吉」「中吉」「小吉」「小凶後吉」「後吉」「吉凶未分末大吉」「吉凶不分末吉」「吉凶相半」「吉凶相交末吉」「吉凶相央」。
これらの結果は、単に吉凶を示すだけでなく、人生のさまざまな局面においてどう行動するべきかを示唆しています。例えば「凶後大吉」は、初めは運が悪いがその後に大きな幸運が訪れるという意味が込められていますし、「吉凶相半」や「吉凶相交末吉」は、運気が不安定であることを示唆しており、慎重に行動するべきというメッセージを与えてくれるかもしれません。
こうした多様な結果を理解し、その意味をしっかりと受け止めることで、より深くおみくじを楽しみ、人生の指針に役立てることができるでしょう。
おみくじの項目ごとの意味とは?
次に、おみくじの結果を生活に役立てるためには、それぞれの項目に書かれていることをしっかりと理解することが重要です。そこで、おみくじの各項目には、どのようなことが書かれているのかを、詳しく見ていきましょう。
まず、どのおみくじにも必ずと言って良いほど含まれているのが「願望」の項目です。この項目では、「願いごとが叶うかどうか」について記されています。
例えば、ここに、ポジティブな内容が書かれていた場合、願いが叶う可能性は非常に高いと考えられます。
反対に、ネガティブな内容が書かれている場合、その願い事は、あなたの現状に適していないのかもしれません。
また、自身の恋愛が成就するかどうかを知るため、おみくじを引く人も多いかと思います。その場合は「恋愛」の項目を確認しましょう。ここでは、意中の相手との関係がどのように進展するかだけでなく、二人の関係に影響を与える可能性のある障害や問題点についても知ることができます。また、現在特に気になる相手がいない場合でも、今後の出会いに関するアドバイスを得ることができるため、ぜひ確認しておくことをお勧めします。
次に注目すべきおみくじの項目として、「商売」が挙げられます。中には、仕事に関する悩みがないため、この項目を見落としてしまう方も少なくないかもしれません。しかし実のところ、この項目は物品の売買や金銭に関する運勢を全般的に反映しています。
たとえば、あるものを購入すべきかどうか迷っている方や、手放すべきかどうか悩んでいる方は少なくないでしょう。このような悩みに対して、最適なアドバイスを授けてくれるのが「商売」の項目なのです。ですので、おみくじを引いた時には、「商売」の項目も欠かさずチェックすることをお勧めします。
また、「健康」に関する項目も、併せてチェックしてみましょう。ここでは、病気や怪我に関することだけではなく、それがいつ治るかも、知ることができます。
おみくじの待ち人の意味
また、おみくじの中には「待ち人」という項目を設けているものがあります。ここでいう「待ち人」とは、あなたの人生に大きな影響を与える人物、いわゆる「キーパーソン」を意味しています。
つまり、「待ち人来たる」という言葉は、そのような重要な人物との出会いが近づいていることを暗示しています。
このキーパーソンは、あなたに新しい視点を与えたり、人生の方向性を変えるきっかけをもたらす存在かもしれません。こうした予兆を心に留めておくことで、運命的な出会いを逃さないための準備ができるでしょう。たとえば、人との交流を大切にしたり、新しい環境に飛び込むことをためらわずに行動することで、キーパーソンとの出会いがより確実なものとなるかもしれません。自ら積極的に動くことで、出会いを引き寄せる力が増していくのです。
このように、「待ち人」をはじめとするおみくじの各項目には、私たちの人生における重要な意味が込められています。
また、おみくじは、神仏からのメッセージとして捉えることもできます。そのメッセージをしっかりと理解し、心に留めておくことで、日々の生活や行動の指針として活かすことができるでしょう。結果に一喜一憂するだけでなく、その背後にある深い意味を汲み取ることで、おみくじをより一層楽しみ、豊かな人生を歩むためのヒントを得ることができるのです。
覚えておきたい!おみくじに関する5つのマナーを徹底解説!
しかし、おみくじの意味を理解していたとしても、マナーが守れていなければ、それはまったく意味を成しません。そこで次に、おみくじに関するマナーの中でも特に重要なものを5つご紹介いたします。
1)おみくじはどちらの手で引くべき?
皆さんの中には、おみくじを引く際に右手で引いている方がいらっしゃるかと思います。しかし、おみくじの効果を最大限に引き出し、そこに書かれている結果を現実にしたいとお考えの方においては、このような態度は逆効果だと言えるでしょう。
というのも、左手は「受ける手」とされているからです。神様のメッセージであるおみくじの効果を受け取り、それを育むのに、これ以上のものはないでしょう。
では、なぜ左手は「受ける手」と呼ばれているのでしょうか? これは仏像のポーズに由来しています。現存している仏像の多くは「説法印」と呼ばれる印を結んでいます。「説法印」では、右手で作られた輪を左手で受けるような姿勢を取ることから、左手は「受ける手」と扱われるようになったのです。
2)おみくじを引くときの心構えは?
では、おみくじはどのような心構えで引くべきなのでしょうか。おみくじを引く際に最も大切なのは、『神様や仏様の力を強く信じること』です。
たとえば、『他力本願』という言葉をご存知でしょうか? 今でこそ、『他人任せ』という意味で使われることが多いこの言葉ですが、元は仏教用語で、『阿弥陀如来の救済を強く信じることで、その力によって救われる』という意味を持っています。つまり、強く信じることによって、その力を受け取り、望み通りの結果に辿り着くことができるということになります。おみくじも同じです。仏様や神様の力を強く信じることで、おみくじに書かれた、自分にとって望ましい未来を現実にすることができるのです。そのため、おみくじを引く際には、神様 / 仏様の力を強く信じた上で、おみくじを引くことをお勧めいたします。
3)おみくじを引くのは参拝を済ませてから?
おみくじは原則、参拝を済ませてから引きましょう。というのも参拝は、神様へのご挨拶・顔合わせという意味も兼ねているからです。寺社に到着したら、手水舎で身を清め、神仏に参拝し、ご挨拶を済ませてからおみくじを引くようにしましょう。
4)凶が出たらおみくじを引き直してもいい?
また、中には凶が出たことから、ショックでおみくじを引き直したくなる人もいるでしょう。寺社によって対応は異なりますが、明確なルールは特にありません。引き直しが許されている場合も多く、期間や回数に制限がないことがほとんどです。ただし、おみくじは神仏からのメッセージです。結果や順位にとらわれるのではなく、その内容をしっかりと理解し、日々の心の指針として活かすことが大切だと言えるでしょう。
5)おみくじは持ち帰ってもいい?
また中には、引いた後のおみくじの処遇にお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
おみくじは、結んでも持ち帰ってもかまいません。カバンや財布に入れておき、時々読み返して心の支えにするのも良いでしょうし、おみくじを結び、神様とのご縁を結んでもいいでしょう。ただし、結ぶ際は必ず指定の場所に結ぶようにしましょう。指定外の場所に結んでしまうと、神様以外の存在と不本意な縁を結んでしまう恐れがあるからです。
面白いおみくじが引けるおすすめ神社4選!
次に、ユーモアに富んだおみくじを提供している神社を4社、ご紹介します。普通のおみくじに飽きてしまった方は、これらの神社で、おみくじを引いてみてはいかがでしょうか?
帯廣神社(北海道)
まずご紹介するのは、北海道帯広市の『帯廣神社』です。この神社では、北海道に生息する野鳥、シマエナガをモチーフにした『シマエナガみくじ』を引くことができます。『シマエナガくじ』では、シマエナガをかたどった陶製の小さな容器の中におみくじが入っています。この容器は持ち帰ることもできるため、インテリアとしても活用できるでしょう。
また、『シマエナガみくじ』だけでなく、ユニークな『鮭みくじ』もあります。こちらのおみくじには、北海道の方言で書かれた学問や恋愛の運勢、さらには北海道名物や名所についての情報が記されています。地元ならではの味わい深い言葉で、運勢を占い、旅行の思い出を作るのも一興でしょう。
廣田神社(青森県)
次にご紹介するのは、青森県青森市にある『廣田神社』です。こちらでは、地元の名産をテーマにしたおみくじ、『りんご津軽弁おみくじ』と『ほたて津軽弁みくじ』の2種類を楽しむことができます。
『りんご津軽弁おみくじ』は、りんごを模した容器の中におみくじが入っており、その容器は木に吊るされています。まるで『りんご狩り』をしているかのような気分で、参拝者はおみくじを引くことができます。この独特な体験は、訪れる人々にとって楽しいひとときになるでしょう。
一方の『ほたて津軽弁みくじ』では、ほたてを模した容器におみくじが入っており、それが青い石が敷き詰められた水をイメージした桶の中に並べられています。参拝者は釣竿を使って、まるで漁をするようにおみくじを引き上げるという、ユニークな体験を楽しむことができます。
おみくじの内容は、『りんご』と『ほたて』それぞれに6種類あり、吉凶を占うだけでなく、津軽弁のお告げが書かれています。お告げの文は地元出身のタレント、伊奈かっぺいさんが監修した特製で、津軽弁がふんだんに使われているため、県外の人は『これって本当に日本語?』と驚くこともあるとか。大いに盛り上がること間違いなしです。
清洲山王宮 日吉神社(愛知県)
また、近年話題を呼んでいるのが『イチハラヒロコ恋みくじ』です。このおみくじは、愛知県清須市の日吉神社など、限られた神社でしか引くことができないという希少性も相まって、大変な人気を誇っています。特に注目されるのは、従来のおみくじとは異なり、愛の悩みに対して率直で切れ味鋭い言葉がズバリと突き刺さることです。
『イチハラヒロコ恋みくじ』は、一般的な吉凶を占うものではなく、日本の現代美術アーティスト・イチハラヒロコさんによる『ことばアート』が書かれています。『その女と別れろ』『悪いけどこの恋はにがさん』など、独特のユーモアと辛辣さを交えた言葉が特徴で、恋愛に悩む人々の背中を力強く押してくれる存在です。
その率直なメッセージは、思わず笑ってしまう一方で、考えさせられるものも多くあります。時には厳しい言葉が、心の奥に響き、恋の現状を冷静に見つめ直すきっかけになるでしょう。言葉の持つ力で恋の迷いに光を差し込み、決断を促すこのおみくじは、多くの恋する人々に勇気を与えています。
恋愛におけるアドバイスを求めるなら、この『イチハラヒロコ恋みくじ』は一度引いてみる価値があるかもしれません。これまでの恋みくじとは一味違う、斬新な体験を通じて、恋愛への新たな視点を得られるかもしれませんよ。
道明寺天満宮(大阪府)
最後にご紹介するのは、大阪府藤井寺市の道明寺天満宮で頒布されている『はにわみくじ』です。このおみくじは、2019年元日から登場し、瞬く間に人気を集めました。陶製の土色をした小さなはにわ人形の足元にシールが貼られており、それを剥がして紐を引っ張ると、おみくじが出てくるというユニークな仕様が特徴です。
この『はにわみくじ』がなぜ道明寺天満宮で提供されているかというと、天満宮の由来に深く関わる人物、野見宿祢(のみのすくね)が理由です。彼は、日本で初めてはにわを作ったと言われており、その子孫である土師氏(はじし)の氏神として祀られたのが、道明寺天満宮の前身である土師神社です。つまり、はにわと深い繋がりを持つ神社ならではの、歴史や伝統を感じさせるおみくじというわけです。
はにわという古代日本の象徴的なアイテムを使ったおみくじは、ただの運勢占いだけではなく、歴史の一端に触れられる特別な体験でもあります。引いた後も、陶製のはにわ人形は手元に残り、インテリアとして飾っておくこともできるので、参拝の思い出として長く楽しむことができるでしょう。道明寺天満宮の「はにわみくじ」は、歴史好きやおみくじファンにとって、一度は体験してみたい一品です。
まとめ
おみくじの結果には、それぞれ、深い意味が込められています。おみくじはその神社・仏閣に暮らす神様・仏様からのメッセージであり、その結果を深く読み解くことで、必要な気づきやアドバイスを得ることができるかもしれません。
この記事では、おみくじの結果に込められた意味や、それぞれの項目に込められた意図を解説しました。吉凶だけではなく、そこに含まれる詳細なアドバイスや警告を理解することで、次回のおみくじをより深く、そして意義深く楽しむことができるでしょう。
また、最近ではユーモアに富んだおみくじを提供する神社も増えてきました。伝統的なおみくじに加え、少し遊び心を取り入れたユニークなおみくじが登場し、訪れる人々を楽しませています。例えば、予想外のメッセージや面白いイラストが描かれたおみくじ、さらにはおみくじの結果がクスッと笑えるような言葉で表現されているものもあります。こうしたおみくじは、運勢やアドバイスを伝えるという本来の役割を果たしながらも、少し軽い気持ちで楽しむことができるのが特徴です。
ユーモアを交えたおみくじは、ただの運試しにとどまらず、気軽にお参りを楽しむためのきっかけにもなります。家族や友人と一緒に引いて、そのユニークな内容をシェアすることで、初詣やお参りがより思い出に残る楽しいイベントになるでしょう。
次、おみくじを引く際には、こうした情報を参考に、普段のおみくじとはまた違った視点で、おみくじを楽しみましょう。