始祖は油性インク。水性は文字がにじみがち

筆者は文筆業ながら悪筆で、若いころからワープロ専用機やパソコンに頼ってきたのだが、筆記用具が嫌いというわけでもなく、むしろ悪筆ゆえに、読みやすい字が書ける、書き心地のいいペンを探し続けている。

そこで、今回は、筆記用具の王道であるボールペンにスポットを当てて、そのインクの種類を比べてみたいと思う。

まずは、下表の最上段の「種別」を見てもらいたい。

現在市場にあるボールペンは、「油性」「水性」「ジェル(ゲル)」「エマルジョン」「消せるインク」の五つに分類することができる。消せるインクは、実際の種別は顔料系のジェルインクなのだが、「消せる」という大きな特徴を持っているので、別枠にした。

ボールペンのインク別特徴とそれぞれの人気製品一覧

※表中の価格はメーカー希望小売り価格(税込み)です。

ボールペンの始祖は油性インクで、アルコール系の有機溶剤に染料を混ぜたものからスタートした。乾きが速く、耐水性があり、発色がよくてにじまないという特性がある。半面、インクの塊が紙に付着するインク垂れ(ボテという)が発生しやすい、インクの粘度が高くて筆圧が必要という弱点もある。

長い歴史を持つタイプだけあり、弱点を補うべく改良が重ねられ、現在、ボールペン界で人気No.1といわれている三菱鉛筆のジェットストリームは、低粘度の溶剤に染料と顔料を混合した油性インクが採用されている。筆圧が必要という点は、逆にいうと筆圧が掛けられるということであり、複写伝票の記入には油性ボールペンが適している。

水性インクは、サラサラとした書き味の実現のために開発されたもので、水性の染料インクや水性の基剤と顔料とを組み合わせたものが使われる。染料の場合、耐水性はなく、水滴が垂れると字がにじんで消えてしまう。また、ペン先が乾きやすいため、キャップをし忘れると書けなくなってしまうこともある。なお、パイロットのVコーンに代表される水性染料タイプは、万年筆並みの軽いタッチで書けるので、長い文章を速い筆致で書く人に向いている。

画像: パイロット・Vコーン

パイロット・Vコーン

ジェルや消せるインクも人気だが、今も王道は油性

油性と水性のいいところ取りをしようと開発されたのが、ジェル(ゲル)インクである。これは水性インクにゲル化剤を添加することで、ペン内では高粘度だが、ボールの回転に巻き込まれると粘度が下がりペン先から滲出。書く瞬間は低粘度なので、スラスラと軽い書き心地ながら、インクが紙に付着すると高粘度に戻るため、にじみが少ない。色素は染料・顔料の両方があるが、顔料を採用した製品が多く、顔料は耐水性もある。

画像: ゼブラ・サラサクリップ

ゼブラ・サラサクリップ

エマルジョンも、水性と油性のいいところ取りをねらったもので、油性7、水性ジェル3の割合でインク自体を混合し、乳化により安定した状態でペン内に封入される。両方の性能を併せ持っているため、水性並みの滑らかな書き味、油性並みの濃い発色、耐水・耐光性がある。今世紀になってゼブラが開発した最新式のインクであり、製品もゼブラしか販売していない。

消せるインクは、温度変化により色が変わるインク(温度が上がると色がなくなる)を顔料として混ぜたジェルインク。特性的には顔料系のジェルインクに準じるが、書いた字をこすって摩擦熱を与えると字が消える(鉛筆と消しゴムの組み合せよりきれいに消える)。パイロット・フリクションシリーズは、書き直し可能なボールペンとして、圧倒的人気だ。

以上が各インクの特徴であり、用途に合わせて使い分けるのが理想的。

しかし、もし1本だけ常備しておくならば、ボールペンの王道である油性がいいだろう。公文書などの記入では、油性の使用が指定されることもあるし、複写伝票にも記入できる。三菱鉛筆・ジェットストリームなら書き味もスムーズで、手紙などの長文も苦にならない。

画像: 三菱鉛筆・ジェットストリーム

三菱鉛筆・ジェットストリーム

解説/福多利夫 (フリーライター)

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