テレビで見た、高速道路での危険運転映像。あれってどうやって撮ったのだろう? 最初は誰もが不思議に思っていたが、今では常識にまでなった「ドライブレコーダー」。身を守るため、あるいはクルマを守るために装備される一方で、楽しいドライブの記録も残せるという面もある。そんなドライブレコーダーの選び方のポイントを伝授しよう。
❶カメラ部 解像度はフルHD以上が望ましい。カメラは広角タイプが便利!
今、人気のドライブレコーダー(ドラレコ)。一見、コンパクトデジカメのように見えるが、中身は違う。
まず、撮像センサーは、耐熱/耐振設計となっていることが最低条件。車載という悪条件下でも、きちんと動作しなければならないからだ。そのため、画素数よりも耐久性のほうが重視される。
とはいえ、対向車のナンバーが読み取れる程度の解像度、つまり、フルHD(1920ドット×1080ドット)クラスは必要だ。
フルHD以上の製品も増えてきているが、むやみに高解像度で記録するとデータサイズが大きくなり、扱いが煩わしくなることもあるので注意したい。
画角(視野角)ついては、フロントウインドーすべてをとらえられるワイドなタイプが欲しい。最近は、360度撮影して車内の様子も同時に収められる機種も登場するなど、撮影範囲は広がっている。
また、あおり運転の記録のため、リアウインドー用カメラとのセットモデルの人気も高まっている。
さらに、逆光時でも鮮明に撮影できる広いダイナミックレンジや、夜間でも周囲をとらえられる高感度設計であることも重要。撮像センサーの大型化も望ましい。
●リアカメラとのセットモデルが人気!
❷記録部 HDRやWDR機能に注目。イベント記録用ボタンがあると便利!
まず、チェックしたいのが、HDRやWDRと呼ばれる画像処理機能。
これは、夜間やトンネルの出入り口など、白飛びや黒つぶれが起きやすい場合でも、輝度差を補正して保存してくれるというものだ。
●HDRやWDR機能で見やすくなる!
また、撮影したデータのファイル形式は、「MP4」「MOV」「AVI」の3種類が大半。ちなみに、AVIではデータサイズが大きくなりがちで、同じ容量のメモリーカードを使っても記録時間は短くなる。
なお、長時間記録を求めるなら、2枚のカードを使えるダブルスロットを採用する製品もある。
ドラレコは常時録画が基本だが、カード容量がいっぱいになると、古いデータから上書きされる仕組みだ。ところが、衝突時などには、“イベント記録”として上書きされない別フォルダーに保存されるようになっている。
多くの機種では、この機能を利用して、任意で記録できる「イベント記録ボタン」が装備されるのだが、これが押しやすいかも要チェック。
●イベント記録ボタンの位置にも注目!
さらに、GPS機能があれば、専用ソフトを使うと撮影場所が地図上に表示され、旅の思い出を残す際にも便利だ。
❸モニター 大画面は必須ではない。設定メニューの見やすさをチェック!
ドラレコでは、カーナビと違って大画面は必須ではない。
もちろん、再生時には画面サイズが大きいほうが見やすいのはいうまでもないが、基本的には取り付け時のアングルチェックと、動作チェックのためにあるものと考えていい。
あまり画面が大きすぎると本体も大きくなり、設置場所に困る可能性も出てくる。
ただ、画面が極端に小さいと、設定時のメニューすら見にくくなってしまう。これらを踏まえて考えると、2.5〜3.0型前後あれば十分といえるだろう。
●画面サイズよりも操作性が大切
❹機能 駐車監視機能は便利だが、電源に注意。運転支援機能は目安程度
クルマから離れたときの状況を記録する「駐車監視機能」に注目したい。ただ、多くの場合、クルマのバッテリーとの直結を前提にしているため、その配線が必要になる。
●内蔵バッテリーで駐車監視できるモデルも
また、「Wi-Fi機能」搭載機種なら、撮影した映像をスマホに転送したりできるので便利。
このほか、「安全運転支援機能」は、先行車発進や速度チェック、車線逸脱防止などが可能だが、現状では誤差もあり、実用度は低い印象。
LED信号機へのチラツキ対策(*注)には、今や大半の機種が対応済みだが、念のため、要チェックの項目だ。
*注)LED信号機の点灯とドライブレコーダーの撮影周期が一致すると信号機が点灯していないように映ってしまうことがあり、その対策を各社が講じている。
解説/会田 肇(自動車評論家)
※表示の価格は、記事制作時のものです。