【レビュー】明るくて適度に美しいぼけ、コンパクトな防塵防滴標準単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」をおすすめする本当の理由

レビュー

OM SYSTEMのデフォルトレンズといえる標準単焦点「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」が「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」にバージョンアップ。実際に使ってみると予想以上に多くの方におすすめしたい要素が満載だったので、その本当の理由をお伝えします。

「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」とは

ハイコストパフォーマンスで軽くて小さく、しかも明るい標準単焦点レンズ

「OM-1 Mark II」に装着した「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」。非常にコンパクトなレンズに仕上がっていますし、防塵防滴性があるのもうれしいところです。

2025年の3月に発売されたばかりのOM SYSTEM最新の標準単焦点レンズが「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」です。従来品の「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」との大きな違いはIPX1の防滴性能と防塵に配慮した設計になっていること。これによって、防塵防滴に配慮されたカメラ本体との組み合わせで、雨のなかや水しぶきのかかる環境でも安心して使うことができるようになりました。

 

防塵防滴構造で、高級感のある金属外装を採用した「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は、驚くことに重さは約156g、直径約59.4mmで全長は約42.0mmと非常にコンパクトに仕上がっているのも特徴です。

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/160 秒)/ISO 400 /露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド 屋内施設で動き回る4歳児の息子をとらえた1枚。室内でもISO 400で1/160秒というシャッター速度を確保できるのが開放F1.8の魅力といえるでしょう。

マイクロフォーサーズ向けの25mmレンズなので、35mm判換算で50mm相当。50mmの画角は人間の視野に近く、遠近感の誇張が少なく、見たままの光景を自然に再現できるといわれています。

 

また、開放F値が1.8と非常に明るいのも重要なポイント。大きく美しいぼけと速いシャッター速度の確保に貢献してくれます。さらに0.25mと短く、最大撮影倍率は35mm判換算で0.24倍と高倍率なのもうれしいところです。

 

しかも実勢価格が5万円を切るコストパフォーマンスの高い標準単焦点レンズが「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」。この「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」を実際に使った特徴を具体的に解説していきます。

 

ズームレンズに比べると3段程度明るい開放F1.8

カメラ用の交換レンズにおいて明るいは正義といえる事実

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/160 秒)/ISO 800 /露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
まだ、寝返りも打てない4カ月の息子の撮影は、どうしても室内になります。やや暗い屋内でもISO 800で撮影できているのはレンズが明るいおかげです。

「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」のような明るい単焦点レンズのメリットを「大きなぼけ」と考えている方も多いと思いますが、筆者にとっては「低ISO感度で速いシャッター速度を確保できること」のほうが大きなメリットです。

 

理由はとても簡単で、筆者がプライベートでもっとも撮影したい被写体は、0歳と4歳の息子たちになります。日常の様子を1枚でも多く残しておきたいと思っているのですが、平日は朝や夕方以降の室内で撮影することも多く、動き回る2人を撮影するには、遅めでも1/160秒程度のシャッター速度が必要です。

 

このシャッター速度を一般的な標準ズームレンズ、開放F値が4.0〜5.6程度もので確保しようと考えると「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」より約2段から3段暗いので、4倍から8倍の高ISO感度を選択する必要があります。

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/160 秒)/ISO 1600/露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
お出かけからの帰り道、クルマのなかで寝落ちした息子を撮影。屋外に比べて明らかに暗いクルマのなかでも安心して撮影できるのが明るいレンズのいいところです。

F2.0の明るさのレンズで1/160秒を確保するためにISO AUTOなどでISO 3200を選択する必要がある明るさの場所では、F4.0ではISO 12800、F5.6ではISO 25600で撮影する必要があります。

 

最近のカメラは高ISO感度でもかなり高画質ですが、さすがにここまで差が大きいと画質の大きな差が現れてしまうのは防ぎようがありません。筆者は息子たちを撮影する際にS(シャッター速度優先AE)でISO AUTOとしているので、大きくぼける、ぼけない以前にレンズが明るいことは必須の条件といえます。

 

さほど明るくない室内で、自然に動く子どもたちの様子を記録するなら、筆者は明るい「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」のようなレンズが非常に重要だと感じています。

 

実は適度にぼけるので使いやすい

マイクロフォーサーズでも予想以上にぼけるので十分な注意が必要

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/160 秒)/ISO 200/露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
実際に撮影するとマイクロフォーサーズでも十分にぼけます。慣れていない方にとっては、ピントをしっかりと合わせるのが大変かもしれません。

時折、マイクロフォーサーズは撮像素子が小さく、その結果同じ画角を得るために必要になるレンズの焦点距離も短くなるので、同じ明るさのレンズでも大きなぼけが得られないといった意見を見かけることがあります。

 

実際のところ、同条件で35mm判フルサイズの50mmF1.8とマイクロフォーサーズの25mmF1.8で撮影すると当然35mm判フルサイズで撮影した写真のほうが大きくぼけるでしょう。

 

ただし、現実問題どのくらいの差があるか知っていますか? 筆者が50mm相当のレンズで息子たちをよく撮影する50cm程度の撮影距離で開放F値を1.8として計算してみると、ピントが合って見える範囲=被写界深度は35mm判フルサイズの50mmF1.8で約1cm程度、マイクロフォーサーズの50mm相当(25mm)F1.8で計算方法により差があるものの約2〜4cm程度だといいます。

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/160 秒)/ISO 5000/露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
ちょっと怖くなってしまいましたが、思い切って寄って撮影すると、ぼけはさらに大きくなります。目、鼻、口のラインにピントが合っています。

筆者は35mm判フルサイズ用の50mmF1.2やF1.0なども数多く使ってきていますが、非常に大きなぼけとインパクトのある写真は撮れますが、ピント合わせに恐ろしく気を使います。普段、家族や子どもたちを撮影するのに、ぼけてみえない範囲が1cmか、それとも2cmかに気を使っている方はかなりの少数派なのではないでしょうか。

 

一方、マイクロフォーサーズ用の「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」でも、被写界深度はわずか2〜4cmしかないので、ぼけ過ぎないように注意するシーンのほうが多くなると思います。

 

また、普通にポートレートを撮影すれば、掲載した写真のように背景が大きく美しくぼけた写真が撮影できるので心配する必要はありません。それどころか、筆者は室内などではS(シャッター速度優先AE)を使って、絞り開放のF1.8で撮影することが多いので、ぼけ過ぎることを心配しています。

 

そういう意味では、マイクロフォーサーズ用の「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は適度な量のぼけが得られるので、初心者におすすめしやすい標準単焦点レンズといえます。

 

新生児のどアップにも対応する最短撮影距離約25cm

実質最大撮影倍率0.24倍で50mm相当でも十分に寄れる

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/125 秒)/ISO 5000/露出補正:+1.0EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド 実際に撮影してみるとびっくりするのですが、新生児の顔はかなり小さい。そのため、アップで撮影するためには、レンズにそれなりの近接撮影性能が求められます。

50mm相当開放F1.8の単焦点レンズといえば、筆者の印象では一眼レフ時代からのエントリーレンズ。カメラメーカー各社から比較的リーズナブルな値段で発売され、多くのカメラ・写真ファンが、単焦点レンズのファーストステップとして愛用してきたレンズカテゴリーです。

 

筆者も当然のように、何本もの50mmF1.8を愛用し、多くの方におすすめもしてきたのですが、そんな50mmF1.8の多くの弱点は、最短撮影距離が長く、最大撮影倍率が低いためアップの撮影に弱いことです。

 

当然、製品による差はあるのですが、一般的に35mm判フルサイズ向けの50mmF1.8の多くは、最短撮影距離が50cm前後、最大撮影倍率が0.15倍前後となっています。この近接撮影性能≒アップ撮影性能だと、大人をポートレート撮影する際にもパーツ単位のアップには能力不足を感じることが多いのです。これが筆者のように新生児を含む子どもの撮影になると、さらに寄って大きく撮影できないことが不満に感じられます。

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/125 秒)/ISO 5000/露出補正:+1.0EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
布団を握りしめる小さな手が愛おしくて撮影した1枚。近接撮影能力の高い「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」なら、こんな撮影も楽しめます。

しかし「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は、最短撮影距離が約25cm(0.25m)、35mm判換算の最大撮影倍率が0.24倍相当。最近接撮影で画面いっぱいに撮影できる範囲は144×108mmとなっているので、新生児の顔のアップはもちろん、手足のアップ、耳や口といったパーツ単位のアップ撮影も楽しめます。

 

カメラにとってあまり明るいとはいえない、一般家庭の室内で子どもたちの成長を記録したいというユーザーにとって「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は、アップでの撮影といった面でもおすすめのレンズといえるわけです。

 

明るくてコンパクト家族撮影にぴったりな「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」

防塵防滴構造なので、夏場の水辺のシーンも安心して撮影できる

レンズのおいて、小さくて軽くて明るいはある意味において絶対正義です。しかも防塵防滴性能も備える「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は非常におすすめ。

明るいので、暗い場所でも速いシャッター速度が確保でき、十分以上にぼけて、しかもアップにも強い「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」。もうこれだけで十分に高性能なレンズといえるのですが「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は恐ろしく軽くて小さい、しかもIPX1仕様の防塵防滴です。

 

今回、筆者はOM SYSTEMのカメラボディとしては、大ぶりな「OM-1 Mark II」との組み合わせで「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」を使用しましたが、全体として非常にコンパクトで取り回しが容易でした。さらに小さな最新モデル「OM-3」などとの組み合わせなら、さらにコンパクトなカメラシステムで「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」の高性能・高画質を楽しむことができるでしょう。

OM-1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II / 50mm相当 /シャッター速度優先AE(F1.8、1/200 秒)/ISO 200/露出補正:+0.7EV/ WB:オート/ピクチャーモード:ビビッド
ピントの合っている目以外の部分はほとんどがぼけているのがわかります。絞り開放のF1.8で撮影するときはしっかりとピントを合わせるのが撮影のコツです。

また、新たに追加された防塵防滴性能は、これから夏のシーズン、水辺や水遊びを楽しむ我が子を撮影するには、必須の機能だと筆者は考えています。当たり前ですが、室内だけではなく、屋外でも、日々成長する子どもたちや家族の記録を撮影するのに「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は非常におすすめのレンズに仕上がっています。

 

非常に高性能で高画質なので作品性の高い写真を撮影したい方にもおすすめできるレンズですが、筆者は普通に家族の記録を撮影したい多くの方にこそ、おすすめしたい標準単焦点レンズだと思っています。単焦点レンズは、はじめてという方にこそ試してもらいたい1本に仕上がっています。

 

<公式サイト>
OM SYSTEM  https://jp.omsystem.com/

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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