お手軽な一眼カメラというイメージだったミラーレスカメラだが、いまでは、一眼レフを凌駕するほどの性能を持つものも少なくない。ここでは、ハイグレードなミラーレス一眼を一台ずつチェックしていこう。今回は、パナソニックのDC-G9だ。
●評価項目
(1)フルオート画質
フルオートモードで遠景の解像感やオートホワイトバランス、露出レベル、発色などについてチェックした。
(2)操作のわかりやすさ
全体的な使い勝手のよしあしや持ちやすさ、初心者向けの撮影補助機能、特徴的な部分についてチェックした。
(3)持ち歩きやすさ
カメラ本体だけでなく、キットレンズを装着しての大きさや重さ、手に持ったときの重量感などをチェックした。
(4)スマホとの連係
Wi-Fiなどを利用して簡単にスマホと接続できるかどうか、スマホアプリの機能などについてチェックした。
(5)自撮りのしやすさ
モニターを前側に向けた状態で自分撮りを行う際の機能、撮りやすさ、構えやすさなどをチェックした。自撮りに非対応のモデルは評価をしていない。
(6)コストパフォーマンス
機能や性能に対する価格の妥当性、買い得感をチェックした。ほかの機種とも比較しながら判定している。
高感度が泣きどころだが、そのほかは良好。スナップ撮影にも強い、かなり買い得な一台
パナソニック
DC-G9
実売価格例:19万3400円(ボディ)
静止画撮影に重点を置いたハイスペックモデル。AF追従で20コマ/秒の超高速連写、見やすさを追求した高倍率EVF、握りやすいグリップに加えて、一眼レフではおなじみのボディ天面の液晶表示パネルも装備。優れた防塵・防滴性を誇るボディに、強力な手ブレ補正も内蔵する。
どちらかというとエントリーユーザー向けだったGシリーズだが、このG9は上級者向けのハイパフォーマンスタイプへと変貌。基本機能がとても高くなっている。
最初に感じたのは、EVF(電子ビューファインダー)の大きさだ。表示デバイスは、高級機で主流の368万ドット有機EL。倍率がフルサイズ換算0.83倍相当と極めて高い。ほかのカメラと比べるとファインダー像が一まわりも二まわりも大きく、そのぶん、被写体を細かく観察できるし、撮影に集中しやすい。ただし、人によっては大きすぎると感じるだろうから、その場合は、倍率を下げて使うといい(筆者はメガネをかけているので四隅がケラレるため、0.77倍がちょうどよかった)。
また、シャッターボタンがとても軽くて、ストロークが短いところも挙げておきたい。シャッターボタンに軽く指を乗せるぐらいで半押しになって、普通のカメラの半押しぐらいの力で全押しになる感覚。慣れないと、思ったよりも早いタイミングでシャッターが切れるので、ネガティブなイメージを持つ人が多いようだが、力加減がつかめれば指の動きに即応してくれる感覚が気持ちいいし、大量に撮ったときの疲れ具合にも影響するので見逃せない。
さらに、AFと連写のパフォーマンスも素晴らしい。ピント精度の面で有利なコントラスト検出にこだわり続け、ついに20コマ/秒という超高速連写に追従できる速さのAFに仕上げてきた。今回の実写テストでも、連写スピードの低下は非常に少なかったし、ピントの歩留まりも良好なレベルだった。
シャッター速度で6.5段分もの効果を誇るボディ内手ブレ補正機構も見どころだし、1870万画素記録で30コマ/秒連写が可能な6Kフォトも見逃せない。カメラの設定状態を把握するのに役立つステータスLCD(表示パネル)の装備もおもしろいし、ローパスフィルターレスならではのシャープな描写も申し分ない。
ボディ単体で実売20万円を超えるカメラだけに決して安くはないが、正直、かなり買い得だと思う。
●街歩きをしながらのスナップが楽しい
こんな人におすすめ!
高感度には目をつぶらないといけないが、軽快さやキレのいい描写に加えて高速AF・連写は強み。動く被写体をねらいたい人にもいいし、身軽さを生かしたスナップ撮影にもいい。
主要スペック
撮像センサー:4/3 LiveMOS 最高感度:ISO2万5600 電池寿命(CIPA):360枚 有効画素数:2033万 最大連写速度:20コマ/秒 サイズ:幅136.9mm×高さ97.3mm×奥行き91.6mm 重量:658g
解説/北村智史(カメラライター)
※価格は記事制作時のものです。