新4K衛星放送を4K画質で視聴するには、今のテレビ視聴環境に何かをプラスする必要があるのだが、それはユーザーの設備や機器などの状況に応じて変わってくる。あなたがどのタイプか、フローチャートで判定できるマニュアルをまとめた。
誰でもできる!新4K衛星放送タイプ別導入マニュアル
新しい衛星放送といっても、既存の放送設備を使って視聴可能なチャンネルもあり、案外敷居は低い。また、アンテナなしでも見られるなど、視聴方法は多彩だ。
新4K衛星放送を4K画質で視聴するには、今のテレビ視聴環境に何かをプラスする必要があるのだが、その内容は、ユーザーが現在所有している設備や機器などの状況に応じて変わってくる。すでにBS放送を受信している人もいれば、そうでない人もいるだろう。条件が整っていれば、チューナーの追加だけで済む可能性もある。
4K放送導入 簡単フローチャート
あなたはどのタイプ?フローチャートで導入タイプをすぐ判定!
下のフローチャートにYES/NOで答えていくと、自分のタイプが見つかるはずだ。四つの分類で、それぞれに応じた方法や選択のポイントをズバリ解説していく。さあ、新世代の4K衛星放送を導入しよう!
4Kチューナー内蔵テレビを購入して視聴
従来のBS受信設備のまま、テレビを4Kチューナー搭載機に買い替える
以前からBS放送(2K)を視聴しているが、4Kテレビはまだ持ってないという人は、この「A」に当てはまる。一戸建て/集合住宅を問わず、現状、アンテナを設置していてBS放送が見られるなら、新4K放送のうち、電波が右回りの「右旋」で放送されるNHKと主要民放局の受信が可能。そういった世帯であれば、4Kチューナー内蔵テレビを購入すれば、すぐに視聴することができる。
準備は簡単で、壁面のアンテナ端子と4Kテレビのアンテナ端子をケーブルで接続するだけ。視聴時も、リモコンの「4K」ボタンを押して選局すればいい。
チューナー内蔵テレビはまだ少ないが、「外付けチューナーが欲しい」というこだわりがなければ、チューナー内蔵テレビを選ぼう。
単体4Kチューナーを購入し、手持ちの4K対応テレビに接続
4K対応テレビがあるなら、4Kチューナーを買い足すだけ
ここ3~4年の間に4Kテレビを購入した人は、この「B」に当てはまるケースが多い。「A」と同じく、受信設備としては、一戸建て/集合住宅を問わず、アンテナを設置していて放送が受信できるなら、「右旋」のNHKと主要民放局は無料で視聴できる。4Kテレビもすでにあるので、新4K衛星放送を受信する単体チューナーを追加するだけで済む。
接続は、下図のとおり。壁面のアンテナ端子とチューナーのアンテナ端子をケーブルで接続し、チューナーとテレビをHDMIケーブルでつなぐ。注意点は、テレビがHDCP2.2という著作権保護技術に対応していること。古い4Kテレビには未対応機もある。また、新しいものでも、複数のHDMI入力端子のうち、一つだけ4K対応という場合もある。
BSアンテナなどを新調し、4Kチューナーまたは4Kチューナー内蔵テレビを購入
新しいBS受信設備を導入し、4Kチューナーまたは4Kチューナー内蔵テレビを用意する
パラボラアンテナを設置すればBS放送が視聴できる環境にあるが、まだ設置していないという場合は「C」になる。後述の個別受信アンテナを必要としない「D」に比べ、初期費用が掛かるものの、月々の支払いが発生しないので、長期的に見ると低コストで済む。
BSアンテナ
東芝 BCK-450
実売価格例:5930円
新4K衛星放送では、「右旋」に加え、電波が左回りでやってくる「左旋」の放送もある。右旋・左旋の全チャンネルを視聴するには、写真のような左旋対応アンテナが必要だ。
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BS関連機器を買うならSHマーク付きを選択
また、左旋の電波は従来よりも高い周波数で伝搬されるので、ブースター、分配器、ケーブルなども対応品が必要になる。新設するなら、迷うことなく右旋と左旋に両対応した最新設備を導入すべきで、選ぶときは「SH」マークが目印になる。
すでにBSを視聴していて、新たに左旋も視聴したい場合は、新設と同様、受信設備を新調しなければならない。ただし、集合住宅の場合、ケーブルの交換や居住者の合意が必要など、課題は多い。個別にベランダにアンテナを立て、ケーブルを引き込むのも一案だ。
最新のBS受信設備が整ったら、あとはフローチャートの「A」や「B」のように、4Kチューナー内蔵テレビか、4Kチューナー+4Kテレビを接続して視聴する。ちなみに、8K衛星放送は左旋で送信されている。8K放送を受信するなら、受信設備の新調が必要になるわけだ。
アンテナケーブル
エレコム DH-ATLS48K20
実売価格例:1340円
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分配器
日本アンテナ EDG2P
実売価格例:1800円
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フレッツ・テレビ、またはCATVへの加入を検討
フレッツ・テレビ、またはCATVへの加入を検討
ビルの陰などで衛星放送の電波が受信できない、あるいはBSアンテナを設置できないといった場合は、この「D」で導入することになる。
衛星受信状況が悪いというだけで4K衛星放送の視聴をあきらめたくない世帯にとって、救いとなるだろう。アンテナ受信の場合と異なり、月々の利用料金が発生するのがネックだが、逆に、アンテナや屋内配線を新設するための初期費用はかからないので、始めやすいのはメリットといえる。
フレッツ・テレビは、NTT東日本/西日本の光通信網を利用したサービスである。同社のインターネット通信サービス「フレッツ光」、またはこれに類するサービスへの加入が前提条件になる。衛星放送の電波を変換して光回線で送り、各家庭に設置されるONUという装置で衛星から送られてくるものと同じ電波に戻すので、画質面では同等。テレビ内蔵の4Kチューナー/単体チューナーを生かせるし、同時に複数台で視聴できるなど、メリットも多い。
NTTのフレッツ光などのインターネット回線
月額料金:810円
利用可能エリアは都市圏が中心。集合住宅は、建物ごとに光回線導入の可否があるなど、個別に事前確認が必要。フレッツ・テレビサービスの利用料金は税込み810円と手ごろだが、前提となるフレッツ光サービスの利用に月額6000円程度(集合住宅は4000円程度)が必要。インターネットの利用料も含めて検討が必要だ。電波をそのまま伝送するパススルー方式なので、4Kチューナー内蔵テレビまたは単体の4Kチューナーがそのまま使える。
CATV(ケーブルテレビ)は、地上放送の電波が届きにくい難視聴地域の救済策として発展してきた経緯があり、高層の建物が多い都会では、すでに利用者も多い。集合住宅に導入されているケースも多く、サービスエリアが全国的にカバーされている。決して特殊な方法ではなく、選択肢の一つとしてかなり有効といえる。
CATV(J:COM)
月額料金:5378円 (STBレンタル代は別)
CATVは地域に一業者が原則で、自分が加入できるサービスが新4K8K衛星放送に対応していない場合もあるので、事前に確認が必要。業界最大手のJ:COMでは新4K8K衛星放送にも積極的に対応。このJ:COMではトランスモジュレーション方式を採用し、専用のSTB(セットトップボックス)を用いて、HDMI接続でテレビに映像を伝送する。テレビ側にチューナーを内蔵していなくても視聴可能だが、テレビの台数分のSTBが必要で、その場合、月額料金も台数分となる。
フレッツ・テレビ、CATVとも、現時点で視聴できるのは右旋のチャンネルのみだが、今年の夏には、左旋の伝送も開始予定だ。
※価格は記事作成時のものです。
解説/藤原陽祐(AV評論家)イラスト/中山昭(絵仕事 界屋)