【AI活用楽器】だれでも演奏できる NECの「ANDCHESTRA アンドケストラ」体験レポート

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NECは、AIを活用して簡単な動作で子どもから大人まで誰でも演奏が可能なインクルーシブ楽器を新たに開発し、それらを使って演奏する超多様なオーケストラ「ANDCEHSTRA(アンドケストラ)という取り組みを行っています。その体験会に特選街web編集部が参加してきました!

どんな人でも演奏できる「インクルーシブ楽器」って?

「インクルーシブ楽器」という言葉は、あまり耳なじみがないですね。皆さんはご存じでしょうか?「インクルーシブ」とは、教育用語では、しばしば「人間の多様性の尊重等を強化し、障害者が精神的および身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にする」という意味で用いられています。

「インクルーシブ楽器」の「ANDCEHSTRA VIOLIN」と「ANDCHESTRA TRUMPET」

提供:NEC

こちらのかわいらしいバイオリンとトランペットを模したマシーン、実は、大人も子どもも障がいの有無も関係なく、誰もが演奏できる「インクルーシブ楽器」なんです。

姿勢推定技術、遠隔視線推定技術を用いた演奏方法の図解

提供:NEC

これらの楽器には、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」が活用されています。トランペットには、視線の向きによって音を奏でることができる「遠隔視線推定技術」が活用され、バイオリンには、音ごとに定義された姿勢をとることで音を奏でることができる「姿勢推定技術」が活用されています。

NECは、AIを活用して簡単な動作で子どもから大人まで誰でも演奏が可能なインクルーシブ楽器を新たに開発し、それらを使って演奏する超多様なオーケストラ「ANDCEHSTRA(アンドケストラ)という取り組みを行っています。

「ANDCHESTRA」が目指すのは、誰も排除しない”AND”の音楽

人の可能性を広げる「AI」の役割と「ANDCHESTRA」の関わりを説明するNEC IMC本部シニアマネージャーの茂木崇さん

AI技術をつかった「インクルーシブ楽器」は、「楽譜が読めない」「音感がない」「技術がない」「手が動かせない」などの楽器演奏に対する様々なハードルを取り去り、すべての人に平等に楽器を演奏する機会をつくることができるとNEC IMC本部シニアマネージャーの茂木崇さんは言います。

また、茂木さんはこの活動を通じて、将来的に人間と競合しうる存在として「脅威」であるかのように語られることの多い「AI」そのものを、「人々をアシストし、可能性を拡張してくれる、希望あふれるもの」としてとらえなおしてもらえるきっかけにしたいとも語っています。

「ANDCHESTRA」が「音楽弱者」を生み出す社会のハードルを取り払い、新しい可能性を示すと期待を寄せる世界ゆるミュージック協会代表の澤田智洋さん

「ANDCHESTRA」のインクルーシブアドバイザーである、世界ゆるミュージック協会代表の澤田智洋さんは、福祉学の「社会モデル」の考え方を用い、「楽器が弾けないこと」は個人の問題ではなく、楽器(社会)側の問題であると指摘し、この取り組みによって、楽器の演奏ができない「音楽弱者」を生み出す社会的なハードルを取り払うことができるのではないかと期待を寄せています。

「NECの最先端のAI技術を使えば、「楽器が人に合わせる」ことが実現するかもしれない。誰も排除しない、”OR”ではなく”AND”の思想を音楽に取り込めるかもしれない」と澤田さんは語ります。

「インクルーシブ楽器」実際に演奏してみた!

「ANDCHESTRA TRUMPET(アンドケストラ トランペット)」

「ANDCHESTRA TRUMPET」は遠隔視線推定技術を使用し、視線をとらえて音を鳴らすAI楽器です。遠隔視線推定技術とは、目頭や目じり、瞳など目の周囲の特徴点位置を求めることにより、通常のカメラのみで視線方向を推定できる技術です。

【ANDCHESTRA TRUMPET】カエルの歌演奏

www.youtube.com

動画は、実際の演奏の様子です。視線の方向を使い分け、指定の音階を奏でることができます。人によっては難しい視線の角度などがあるため、それぞれに合わせた視線の方向の調整等もできるそうです。

「ANDCHESTRA VIOLIN(アンドケストラ バイオリン)」

「ANDCHESTRA VIOLIN」は姿勢推定技術を使用し、姿勢(ポーズ)を検出して音を鳴らすAI楽器です。姿勢推定技術は、今回新たに開発され、低解像度でも安定して認識することが可能であり、混雑環境においても誤認知を抑制して人物の姿勢を高精度に推定できる技術となっています。

【ANDCHESTRA VIOLIN】カエルの歌演奏

www.youtube.com

こちらが実際の演奏の様子です。今回は、「誰でも簡単に演奏できる」ことが目的になっているため、簡単かつシンプルな動きが基調になっていますが、今後は少し難しい動作を加えて、リハビリやスポーツの練習等にも応用できるのではないかと考えられているそうです。

「AI」の力で、社会的なハードルを取り去り、人々の可能性を広げていく

今回こちらの体験会に参加して印象的だったのが、世界ゆるミュージック協会代表澤田さんの言葉にもあったように、福祉の世界における「社会モデル」の考え方を楽器に適用し、技術や才能がないと楽器演奏ができない社会のハードルを取り払い、すべての人に平等に音楽を演奏する機会をつくるという発想そのものでした。この目的が、「AIは人の能力と競合するものではなく、人々の可能性を広げていく、希望をもたらすものである」というNECの強いメッセージを、「音楽」という手法で私たちにつたえてくれます。「ANDCHESTRA」を使って、世界中の人たちが一緒に音楽を楽しめる日が来るのが待ち遠しいですね。

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