【オートミールダイエットのやり方】朝に食べるのがおすすめ!セカンドミール効果で食欲コントロールに役立つ

美容・ヘルスケア

「糖質」と聞くと「ダイエットの敵」と思う人もいるでしょう。それは「糖質制限信仰」が生んだ大きな誤解です。糖質は敵どころか、食物繊維と同時に適量とることで「やせ効果」を増幅させる、ダイエットの味方なのです。【解説】鈴木功(鈴木内科クリニック院長)

解説者のプロフィール

鈴木功(すずき・いさお)

鈴木内科クリニック院長。1962年生まれ。鹿児島大学医学部卒業。一般内科や高齢者医療、在宅医療の臨床に関わる中で、東洋医学に関心を持ち、中医師の資格も取得。クリニックでは、患者の体調や容態に合わせて、生薬を中心とした漢方の処方を行う。過去には、糖質制限、断食、ベジタリアンダイエットなどを自らも実践。その結果、オートミールや麦飯を活用して水溶性食物繊維を多くとる食事にたどり着く。

水溶性食物繊維の不足が肥満の原因

突然ですが、質問です。「現代人の食事の根本的な弱点」は何でしょうか。

脂肪が多いこと? 糖が多いこと? 摂取エネルギーが過剰なこと? どれも違います。現代人の食事の根本的な弱点は、「食物繊維、特に水溶性食物繊維の大幅な不足」です。

食物繊維といえば、「便秘の解消効果」がよく知られていますが、もっと深く重要な働きがあります。それは、腸で分泌される「GLP‐1」というホルモンの分泌を促すことです。

GLP‐1は、食欲のコントロールに深く関わっており、「やせるホルモン」として今、注目されています。

詳しいメカニズムは下項でご説明しますが、GLP‐1の分泌を促す食品として、医師の私が勧めるのが「朝食としてとるオートミール」なのです。

「水溶性食物繊維をとるんだったら、野菜や果物、海藻でもいいの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、野菜や果物、海藻などは、糖質が足りないのです。

オートミールが優れている点は二つあります。

(1)水溶性食物繊維が豊富で、適度な糖質をセットでとれる
(2)水溶性食物繊維が血糖値の上昇を抑制し、その効果が次の食事まで持続する

(2)については後述しますが、朝の忙しい時間帯に、手軽にとれる単品食で、この条件を満たすのがオートミールなのです。

適度な糖質はダイエットの味方

「糖質」と聞くと、「ダイエットの敵」と思う人もいるでしょう。それは、近ごろまん延している「糖質制限信仰」が生んだ大きな誤解です。

糖質は敵どころか、食物繊維と同時に適量とることで「やせ効果」を増幅させる、ダイエットの味方なのです。

実は私自身、数年前には糖質制限を実行し、患者さんにも指導していました。それにより、やせて血糖値が下がる人が続出したものの、多くの患者さんは半年ほどでリバウンドしてしまいました。

私自身も3年ほど続けましたが、続けるうちに朝の血糖値が徐々に上がってきました。しかも、ちょっと糖質をとっただけで、血糖値が跳ね上がるようになったのです。糖質制限によって、糖の処理能力が下がった結果でしょう。

その後、糖質制限に代わる方法を模索して、ベジタリアン生活を送ったり、間欠的な断食を行ったりしました。いずれも、やせはするものの、細い体におなかだけがポコンと出たみすぼらしい体つきになったのです。

さらに模索して、理想的な体づくりの達人であるボディービルダーたちが、オートミールを活用していることを知りました。そこからオートミールのことを調べ始め、ダイエットや健康づくりに、最強といえる食品であることが分かったのです。

以来、妻とともに、主に朝食でオートミールをとっています。その結果、毎日、質・量ともに充実した食事をとって満足しながら、体重の維持と適切な体づくりができています。まだ途中ではありますが、おなかも引き締まって、目指す体形に近づいてきました。

鈴木先生は朝食で、果物と牛乳入りのオートミールをよく食べる

意志が弱くても食欲をコントロールできる

それでは、なぜオートミールを朝食べるとよいか、その理由を説明します。

朝食でオートミールをとると、そのときだけでなく、次回の食事(昼食)でも血糖値の上昇が抑えられ、食べ過ぎを防げるようになります。

これは、水溶性食物繊維と、それによって刺激される腸内細菌の働きによる現象で、「セカンドミール効果」と呼ばれます。ですから、朝、オートミールを食べておくと、その効果は昼食にも及び、らくに食欲コントロールができるのです。

しかも、夕食では好きなものを食べても、体重が増えたり、体形がくずれたりすることはありません。

ダイエットに失敗してリバウンドをくり返す人は、「意志が弱いから食欲に負ける」とよく言いますが、それは意志の問題ではありません。

朝、水溶性食物繊維と糖質を十分にとっていないため、「やせホルモン」であるGLP-1がうまく出ていないからです。

朝食でオートミールをとるだけで、この問題は解決します。ちなみに私は、朝食では、オートミールに牛乳をかけて、バナナや季節の果物をトッピングして食べることが多いです。作るのが簡単でおいしいのでお勧めします。

オートミールを使うと、食欲と体重のコントロールがらくで、結果も出やすいです。その感動を、ぜひあなたも味わってください。

満腹中枢に働きかけて食べ過ぎを防止

オートミールは、オーツ麦(燕麦)を食べやすく加工したものです。下ごしらえや加熱の手間がいるものから、シリアル感覚で手軽に食べられるものまであり、それらを総称してオートミールと呼びます。

私が常食しているのは、手軽に食べられる「クイックオーツ」、あるいは「インスタントオーツ」と呼ばれるものです。

一般的なスーパーマーケットに置いてあるのは、ほぼこのどちらかですが、一応、表示を確かめて、加熱や下ごしらえの手間がいらないタイプを使うと便利です。忙しい朝にも、手軽に食べられます。

オートミールは、朝食でとることによって、大きなダイエット効果や健康効果を発揮します。そのメカニズムについてお話ししましょう。

オートミールのダイエット効果は、「GLP-1」というホルモンの分泌を促すことにあります。GLP-1は、俗に「やせ薬」とも呼ばれるほど、食欲のコントロールや肥満の解消に役立つホルモンです。

GLP-1は、私たちが食事をとると、まず膵臓に、「これから血糖値が上がるから、インスリンを出す準備をしなさい」と指令を出します。

インスリンは、細胞に糖を取り込ませて血糖値を下げるホルモンです。主な取り込み先は筋肉ですが、GLP-1は筋肉にも働きかけ、インスリンの受容体(コンセントのような部分)が働くように準備させます。

さらに、GLP-1は脳にも働きかけ、「食べ物が十分に入ってきたので、そろそろ満腹中枢を働かせて食べるのを控えなさい」と指令を出します。そのため、食べ過ぎを防止することができるのです。

やせホルモンを分泌するスイッチを押してくれる

オートミールは、体の各所でGLP-1の分泌を促すスイッチを押す働きをしてくれます。

GLP-1を分泌するためのスイッチとなる細胞は、腸の2ヵ所にあります。1ヵ所目は小腸の下部、つまり大腸につながる手前の部分です。

この分泌細胞は、「糖質」によって刺激されてGLP-1を分泌します。しかし、糖質だけをとっても、思うように分泌を促せません。というのは、糖質単体だけだと、小腸の上部で吸収されてしまい、下部に到達しないからです。

ですが、オートミールには、適量の糖質とともに、豊富な水溶性食物繊維が含まれています。その食物繊維が、糖をくるみ込んで小腸の下部に運びます。それによって、小腸下部からのGLP-1の分泌が促されるのです。

2ヵ所目は、大腸の下部です。水溶性食物繊維はそこまで到達し、腸内細菌のエサになります。

エサを与えられた腸内細菌は、短鎖脂肪酸というものを生産します。短鎖脂肪酸は、大腸のエネルギー源として使われる物質です。

ですから、オートミールで水溶性食物繊維をたっぷりとれば、大腸が元気になります。それと同時に、その短鎖脂肪酸が、大腸下部にあるGLP-1の分泌細胞を刺激してくれるのです。

朝に食べると昼にもやせホルモンが出る!

GLP-1は、すぐに分解されるホルモンですが、このように腸内細菌が関係して起こる分泌促進は、長時間続きます。

食物でとった水溶性食物繊維が大腸に届くには、3〜4時間かかります。朝とれば、ちょうどお昼頃に大腸でのGLP-1の分泌が始まります。

すると、昼に過食する心配がなく、とった糖も速やかに細胞に取り込まれて、血糖値の急な上昇を防げます。これが、「セカンドミール効果」です。

さらに、オートミールに含まれる水溶性食物繊維は、小腸で「胆汁酸(肝臓でコレステロールから合成されて十二指腸で分泌される)」をくるみ込んで大腸に運ぶ役目もしています。

胆汁酸は、脂肪の消化・吸収を促す胆汁の主成分です。通常、胆汁酸は小腸で再吸収されて再利用されますが、小腸に水溶性食物繊維がたっぷりあると、そのまま大腸に運ばれます。こうして大腸に到達した胆汁酸もまた、GLP-1の分泌細胞を刺激するのです。

オートミールは、以上のような三つのしくみで、複合的にGLP-1の分泌を促します。その結果、健康的にダイエットできる上、糖尿病をはじめとした生活習慣病の対策にも大いに役立ちます。

今回は、私がよく食べるオートミールのおいしいレシピも紹介します。皆さんにも、オートミールレシピを活用して長く食べ続けていただきたいと思います。

血糖値が気になる人にお勧め!
フルーツたっぷりミルクがけ

オートミールは、加工の度合いによって、呼び名や調理時間が異なります。普通のスーパーで売られているものは、基本的に「インスタントオーツ」「クイックオーツ」のどちらかで、加熱しなくても食べられます。ただし、「スティールカットオーツ」という種類のものは、加熱しないと食べられない上、加熱時間も長くなります。購入時には、種類を確認しましょう。

【材料】(1人分)
オートミール(インスタントオーツかクイックオーツ)……50g
牛乳……100ml
好みのフルーツ……適量
【作り方】
オートミールを器に入れ、牛乳をかけ、お好みのフルーツを盛り付ける。

■この記事は『安心』2020年9月号に掲載されています。

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