【アイリスオーヤマの突破力】新発売の「AIオート機能4Kチューナー内蔵液晶テレビ」に搭載された2つのボタンが凄い

テレビ

11月25日に、アイリスオーヤマの「AIオート機能4Kチューナー内蔵液晶テレビ」(55XUC38VC 他4機種)が発売されます。このモデルには、今までのテレビになかった、賛否両論を巻き起こしそうな機能が盛り込まれています。少なくとも私が知る限り、今までのテレビを牽引してきた日本メーカーが触れてこなかったことです。今回はアイリスオーヤマの最新テレビをレポートします。

アイリスオーヤマが「AIオート機能」搭載テレビを発表

実はテレビの機能を最大限に使えていなかった!

オーディオビジュアルを趣味とする人、自認する人は数多くいます。そんな人のために、テレビは標準以外の画質モードが搭載されています。多くの場合「映画」ですね。テレビは発光、映画はスクリーンで反射光ですから、映画の方が輝度が低いのです。その差の調整をします。同様に「カスタム」「メモリ」とかで、自在に画質をチューニングするモードもあります。

ところが、このモード一度そのモードにすると、自分で変えるまで、そのモードが続きます。要するに「映画」の画質で、「スポーツ」を見たりすることになるのです。マニアといえども、面倒です。しかし、現実はそう。内容にそぐわない「いい画質」で見ていて、途中でおかしいなという感じになることが多い訳です。

このように既存の画質モード機能を使いこなせていない、あるいは、機能があることすら知らない人も多いはずです。

「AIオート」ボタンが画質や音質を自動調整

アイリスオーヤマは、それを防ぐべく「スポーツ」「映画」「音楽」「アニメ」「ドキュメンタリー」「ニュース」などいろいろなモードを作り、AIと組み合わせました。それが今回の目玉の一つ「AIオートボタン」です。

今の電子番組表には、番組ジャンルが入力されています。AIがそれを読み込み、最も合うモードに自動的に変えます。こうすることにより、番組にあった画質で見ることができるというものです。

実際に見ると、ちょっとわざとらしい、強調しすぎているかなと思える瞬間もありましたが、概ね良好。何より、リラックスしてみるべきテレビのエンタメタイムに、いろいろなことを考えずに済みます。

人に仕えるAIと言えます。

「はっきり」ボタンは賛否両論?

シニア層のニーズに合わせた機能

さて、今回の新製品の目玉の?もう一つは「はっきり」ボタンです。

実はこれのイメージは「白内障」をイメージして作られました。

白内障は眼球の水晶体が濁る病気です。水晶体を形作る細胞のタンパク質が変質して濁るのが原因です。症状は加齢と共に増えていきます。50歳位から始まり、50歳代で40〜50%、60歳代で60〜80%、70歳代で80〜100%が白内障を持っているとみられています。

白内障は、濁ったフィルムを通したような視界となるのが特徴なので、「はっきり」ボタンを押すと、白内障がない人にとっては、かなりどぎつい画質変更となります。

通常、メーカーが作り出したい画質は、映像の作り手が作りたいと思った画を再現するものです。このためハリウッドに専門チームを派遣したり、NHKと共同で、ノウハウを作り上げたりしていきます。その結果生まれたのが「映画」モードなどです。

その繊細な画質作りが、日本メーカーの画像エンジンを至高の高みに持ち上げています。

それに対し、白内障に対する「はっきり」は、まだ定まった理論が構築されていません。そうなるとメーカーは依るところがないので、品質保証ができないのです。通常、このような分野には手を出さないのがセオリーです。

しかし、今日本は、老人大国の道をまっしぐら。そうすると、ユーザーの多くが白内障を患っている可能性が出てきます。いい画質より、むしろ、必要なのは「見やすい画質」なのです。

多くのテレビメーカーがありながら、眼病に優しいテレビがなかったのも事実。今回の「はっきり」は、高齢化社会に正面から向かい合った第一歩というところです。

これまでのテレビメーカーは、「最高画質を」というコンセプトを追い、それ以外のことが見えなくなったともいえるのではないでしょうか。日本のメーカーが作っていたテレビは、その古いコンセプトから脱することができなかったので、テレビがデジタル化され、大量生産で安くできるようになった現在、自滅するしかなかったというのは言い過ぎでしょうか…?

そういう意味でも、この「はっきり」ボタンは、未来のテレビを暗示しているのかもしれません。

まとめ

アイリスオーヤマ
「AIオート機能4Kチューナー内蔵液晶テレビ」

AIオート機能4Kチューナー内蔵液晶テレビ

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¥ 104,280
2020-11-13 14:11

「なるほど家電」として、ユーザー目線で新しい家電を作り続けているアイリスオーヤマ。ついに、通常のメーカーが入り込めないところに進みつつあります。これは、テレビの本質を認識していながら、これまでの日本メーカーが踏み込めなかったところです。また、AIの使い方も単純ながら、理にかなっています。こちらの方が、多くの人に多くの時間、高画質を提供することができます。

また、前モデルで評判の良かった音声操作も継続しています。

アイリスオーヤマのテレビ。ソニーでもなく、パナソニックでもないメーカーが、業界を牽引する日も近いかもしれませんね。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。

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