「テレワーク」が推奨される昨今、ノートパソコンで仕事をしている方も多いのではないでしょうか。筆者も、仕事部屋ではデスクトップパソコン、それ以外はノートパソコンで仕事をしています。自宅の各部屋や、キャンピングカーの中にノートパソコンを持ち込んで、原稿を書いたり、調べ物をしたり。そんなときに残念なのが、ノートパソコンの画面の小ささです。これを解決するために、モバイルモニター「EVICIV EVC-1506」を購入しました。本記事では、さまざまなデバイスに繋いでみた使い勝手などを紹介します。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在は昨年8月に生まれた息子と妻の3人、キャンピングカー生活にハマっており、約1カ月かけて北海道を一周するなどしている。
どこでも使えるモニターがほしい
条件は2万円以下
10年以上前から、筆者はパソコンで仕事をするときにはデュアルモニターです。1台のパソコンに2台のモニターをつなぎ、片方で資料を表示し、もう片方で原稿を書くといった使い方をしています。そんなパソコン環境が進みすぎて、現在仕事部屋のデスクトップパソコンは56インチの4K(3,840×2,160ピクセル)と32インチのフルHD(1,920×1,080ピクセル)のデュアルモニター環境です。
しかし、最近ではキャンピングカーで出掛けた先で原稿を書くことも多くなってきました。車内でデュアルモニター環境を実現するために、23インチのモニター(テレビ)などを積んでいきますが、一般的なモニターは家庭用電源があることを前提として設計されています。そのため、車内では必要な電力を長時間確保することが難しく、電源切れが多発。出先での仕事の支障になっていました。
そこで、「どこでも使えるモニター」を新規購入することにしました。条件は以下のとおり。
・予算は2万円以内
常時使うモニターではないので、さほど予算はかけたくありません。
・USB端子からの電源供給可能なこと
キャンピングカーで使いたいので、消費電力が小さいものが理想的でした。
・USB-CとHDMIでの入力に対応すること
MacBookがUSB-C、それ以外の手持ちの機材がだいたいHDMI対応のため。
・フルHD対応で15インチ程度
筆者はあまり目がよくないので、これ以上小さいと高解像でも見づらいのです。
アクションゲームなどをメインでは考えていないので、リフレッシュレートや応答速度などは、さほど気にしていません。また、予算的に可能であればIPSパネル。これは過去の経験的に、長時間見ていても目が疲れない印象があるから。きちんとした論理的根拠があるわけではないので、好みといってもいいでしょう。
北海道の地方都市にある電気量販店の店頭では、モバイルモニターに豊富な選択肢などありません。当然、ネットで購入します。
謎は多いが評価が高いEVICIV
筆者の挙げた条件をすべてクリア
アマゾンストアのすべてのカテゴリーを「モバイルモニター」で検索した結果が、下の写真です。
「cocopar」、「NORSMIC」、「EVICIV」、「Dragon Touch」などのブランドが並び、筆者の知っているブランドといえば「アイ・オー・データ」や「アイリスオーヤマ」くらいで、モバイルモニターを販売している見知ったブランドはほぼない状態。もしくは、あっても、売れ筋どころとは価格や性能で勝負にならないことが多いようでした。
そのため、アマゾンでの評価などから、コストパフォーマンスの高い人気製品を探した結果が「EVICIV EVC-1506」です。
アマゾンでの評価数は3,200個を超えており、しかも☆は4.5と評価も高い商品になっています。
【ケーブル1本で画面信号と給電可能】ご使用の端末がType-Cオルタネートモードに対応していれば、付属のType-C to Type-Cケーブルで接続するこ…
価格は、筆者が購入したときは19,980円から2,000円引で17,980円と、予算の2万円以下をクリア。
消費電力は8Wで、電源アダプター推奨ですが、USBからのモバイルバッテリーでの駆動も可能。
USB-CとHDMIでの入力だけでなく、miniDP(ミニディスプレイポート)にも対応。
画面サイズは15.6インチのフルHD対応、しかもIPSパネル。
ちなみに、リフレッシュレートは60HZで応答速度は5ms。スピーカー内蔵のCNCアルミ合金ボディで質量は約905g、厚さはわずかに11mmと筆者の購入条件をすべて満たしていたのです。
ただし、「EVICIV」って、どこのどんなブランド?という疑問は解決されませんでした。
Googleで検索しても、メーカーサイトやブランドサイトはヒットせず、アマゾンの販売元の登録データから、中国の深センに本拠地を置くメーカーであることがわかる程度。また、筆者と同じように「EVICIV」に興味を持った方のブログから、深センにある新興の中小企業サイズのモバイルモニターメーカーであることがわかった程度です。
謎は多いものの、アマゾン以外のレビューでも評判がいいのです。アマゾンの商品紹介には明記されていませんが、「メーカー保証が3年なので安心」という評価もありました。
これらを総合して、メーカーやブランドの実力は不確定ですが、勇気を出してポチッたわけです。
品質・付属品は予想以上
メーカー保証期間3年はとても安心
7月22日に注文して、24日に到着。不在で受け取り損なったので、実際には25日に荷物を受け取りました。袋を開けると、中のパッケージは写真のとおりです。北海道に中1日で到着しているので、かなり優秀といえるのではないしょうか。
箱を開けると、もっとも目立つ場所に入れてあったのが「安心の3年保証」と書かれた保証書です。
筆者の見落としかもしれませんが、アマゾンの販売者による商品紹介では明記されていなかったのです。これほどアピールしたいなら、商品紹介にも明記すればいいのにと思った次第です。購入者のレビューには書かれていたので、おそらく3年保証なのだろうと思っていましたが……、ちょっと不思議。
CNCアルミ合金(コンピューター制御によるアルミ合金削り出し)のボディは、予想していた以上に質感もよく、精度・剛性も高くて大満足。
また、電源アダプターと標準HDMIケーブル、USB-Cケーブル、USB-C to USB-Cケーブルの3種類が同梱されているのも好印象です。ただし、どのケーブルも短めなので、もう少し長いものを同梱してくれると、さらに満足度がアップするかと思います。付属の日本語マニュアルも、気になるほどおかしな表現もなく、なかなか優秀です。
スタンドカバーも付属
マニュアルの同梱品の説明は記載されていませんが、マグネット式のスタンドカバーが付属していました。持ち歩くときなどにキズが付かないように、モニターの画面部分と背面を覆うものです。
このカバーは、下の写真のように、モニターを支えるスタンドとしても使えるのでとても便利です。2段階に角度調整もでき、見やすい角度でモニターを固定できる構造になっています。
実際にいろいろ接続してみた
モバイルモニターは、「持ち歩きやすい」という部分を除くと基本的にただのモニターなので、接続するもので使い勝手や使い道が大きく変化します。そこで、我が家にあるいろいろなものと接続してみました。
まずはパソコン
まずは、最大の目的であったMacBook Pro 2017 13インチと接続してみました。
USB-Cで接続すると、ノートパソコンとモニターの間を配線1本で、電源供給まで行ってくれます。とても手軽で便利です。
ただし、気になった点が1つ。初期設定では、USB-C1本でモニターとパソコンを接続すると、モニターの輝度が10/100まで勝手に暗くなるのです。節電のための設定なのでしょうが、筆者にとっては不便でした。また、PDコネクタから別途電源供給すると、こちらは勝手に60/100まで輝度がアップします。
モニターの輝度が落ちるとコントラストが落ちたように見えるので、常に同じ明るさでモニターを使用したい場合は、「メニューボタン」→「輝度」→「明るさ」で、「明るさ」を設定しておくとよいでしょう。
外出先や打ち合わせなど、出先でのノートパソコンのサブモニターとして購入した「EVICIV EVC-1506」ですが、普段自宅では使わないというもの、もったいなく感じます。そこで、普段はデスクトップパソコンのサブモニターして使い、必要なときだけ持ち運ぶことを想定し、Mac mini 2018とも接続してみました。
USB-Cケーブルのみで接続すると、問題なく画面が表示されます。ただし、USB-Cのみで接続すると、やはり輝度が10/100まで暗くなります。PDコネクタから別途電源を供給すると、60/100まで明るさが復帰するのも同じ。
また、HDMIでの接続もテストしましたが、問題なく画面は表示されました。モバイルモニターながら、「EVICIV EVC-1506」は標準サイズ(タイプA)のコネクタを搭載しているので、一般的なHDMIケーブルで接続できるのもよいところです。
ちなみに、モニターをアーム式ブラケットなどに取り付けるメジャーな規格であるVESA(VESA 75)に対応しているので、ブラケットでの設置も簡単。ネジでの固定になるので、モバイルをメインで考えている筆者は使用する予定はないのですが、サブディスプレイとして固定で使うなら便利な機能といえるでしょう。
各種ゲーム機にも接続してみた
まず、PS4(PlayStation 4)を接続してみました。正確にはPS4 Proに「EVICIV EVC-1506」をHDMIで接続したわけです。問題なく画面表示されました。
HDMI接続の場合、モニターのPDコネクタに別途電源を供給しなくてはなりません。メーカー推奨の電源供給は、同梱されていた電源アダプタをUSB-Cケーブルと差し込み、家庭用電源から電気を供給する方法です。
しかし、PS4 ProにはコントローラーなどをつなぐためにUSBコネクタが2つあります。仕様書によるとSuper-Speed USB(USB 3.1 Gen.1)なので、最大で20V×5Aの100Wにまで対応している可能性があると考え、電源供給をPS4 ProのUSBから行ったところ、筆者が見ているかぎり普通に動作していたこともお伝えします。ただし、メーカーの推奨する使用方法ではないので、自己責任でお試しください。
続いて、Nintendo Switchを接続しました。こちらは、USB-CとHDMIのそれぞれで接続可能です。
USB-Cでの接続の場合、Nintendo Switch本体から直接「EVICIV EVC-1506」に接続できるので、
Nintendo Switchドックが必要ないのも魅力でしょう。ただし、USB-C1本で接続してNintendo Switch本体のバッテリーから「EVICIV EVC-1506」へも電源供給をしてくれるかと思いきや、これはできないようです。モニターのPDコネクタへの電源供給が必要でした。Nintendo SwitchをUSB-C1本で「EVICIV EVC-1506」に接続して、「あれ?映らない」というときは、PDコネクタへの電源供給を確認するとよいでしょう。
HDMIで接続する場合は、Nintendo Switchドックが必要になります。Nintendo Switch本体をドックと合体させ、ドックのHDMIからモニターに接続するわけです。HDMIコネクタから電源供給はされないので、別途モニターへの電源供給が必要になります。
Nintendo Switchドックには、3つのUSBコネクタがあります。ただし、すべてUSB 2.0対応(背面のコネクタだけは今後のアップデートでUSB3.0に対応予定)。USB2.0の規格では電圧が5V、電流が0.5A以下なので2.5Wまでしか電力を供給できないので、8Wの電力を必要とする「EVICIV EVC-1506」の電源としては使えないはずです。
しかし実際には、ドックのUSBコネクタからモニターのPDコネクタに電力を供給すると、モニターはしばらく普通に動いていました。ただし、ドックのUSBコネクタにほかのアクセサリーを接続したりすると、動作が不安定になることもあったので注意が必要です。また、これもメーカー推奨の使用方法ではないので、自己責任となるでしょう。ただし、電源供給コネクタの数や条件に限りがあることを考えると、便利であることも事実です。
ストリーミングデバイス「Fire TV Stick」に接続
GoogleのChromecast、AppleのApple TV、そしてAmazonのFire TV Stickなどに代表されるストリーミングデバイス。我が家ではテレビ自体をAndroidTVに買い換えたため、あまり使わなくなったFire TV Stickがあったので、こちらに接続してみました。
HDMI接続なので別途モニターへの給電が必要ですが、まったく問題なく認識。画面はもちろん、音声もしっかり再生されました。
「EVICIV EVC-1506」との組み合わせで、出先で使うのもありかと思っています。
「ミラーレス一眼カメラ」と接続
「なぜ、ミラーレス一眼カメラをつなぐ?」と思われる方もいるでしょう。ミラーレス一眼カメラを大きなモバイルモニターに接続すると、便利なシーンが意外とあるのです。例えば、撮影した画像を大きなモニターで見たり、動画撮影時に写っている状態を確認したり。クライアントの立ち合いがある撮影では、写真をその場でチェックしてもらうこともあります。
今回は「EVICIV EVC-1506」とSony α7R IIIと接続しました。HDMIでの接続なので、モニターに別途電源供給が必要ですが、静止画撮影、動画撮影、再生画面、メニューなども問題なく表示されました。
さらにマニアックな話ですが、動画やクライアント用の大きなモニターに繋ぐときは、HDMI出力と入力の両方を持ったFH7のようなモニターを経由させるのが一般的です。ただし、Sony α7R III→FEELWORLD FH7→「EVICIV EVC-1506」のHDMI接続では、初期設定のままだと「EVICIV EVC-1506」の画面表示がされません。この場合、Sony α7R IIIのメニューから「セットアップ3」→「HDMI設定」→「HDMI解像度」を「1080p」や「1080i」にすると、問題なく画面表示されたことをお知らせしておきます。
モバイルバッテリーからの電源供給テスト
マニュアルによると、「EVICIV EVC-1506」は定格電力が8W。電源供給用に付属してきた電源コネクタは5V、3Aの15Wタイプのものであること。もっとも一般的な5V、1Aの5Wタイプのモバイルバッテリーでは、電力が不足するようです。実際に、このタイプのモバイルバッテリーを接続してみたところ、画面が点滅を繰り返し、事実上使用できませんでした。
あらためて、5V、2.1Aの出力が可能なモバイルバッテリーから電源を供給したところ、問題なく画面が表示されました。また、容量24,000mAhのモバイルバッテリーで、トータル4時間20分ほど使用できたことには、実験してみた筆者のほうが驚いた次第です。
モバイルバッテリーで長時間使用できることは、とても魅力的でしょう。
まとめ
家庭内ノマドにも便利な「EVICIV EVC-1506」
テレワークや相手先でのプレゼン、カフェでの仕事といったシーンでも活躍してくれそうな「EVICIV EVC-1506」。実は筆者の場合、当初の目的であったキャンピングカーの中だけでなく、自宅でも活躍してくれています。
北海道は今年、数十年ぶりという猛暑なのですが、すべての部屋のそれぞれクーラーがあるという家は少数派です。筆者の家も、クーラーはリビングにしかありません。そのため、昼間の仕事部屋は35度を超える蒸し風呂になります。さすがに仕事になりませんので、リビングに移動するわけです。そんなときにも「EVICIV EVC-1506」は便利。
また、筆者がリビングのテレビに繋いだゲーム機で遊んでいても、妻がテレビを見たいといえば、譲らないわけにはいきません。そんなときも「EVICIV EVC-1506」にゲーム機を繋ぎ替えれば、妻といっしょにテレビを見ながら、ゲームもできます。モバイルバッテリーで長時間駆動するので、コンセントのない場所でも使えるのは、家庭内でも重宝します。
テレワークや出先のサブモニターとしてはもちろん、家庭内でのモニター不足にも対応してくれる「EVICIV EVC-1506」は、とても便利でおすすめです。試してみてはどうでしょうか。