最近のテレビはB-CASカードを装備していないようだ。そういうテレビでも、一度有料放送と契約して登録すれば、引っ越しても継続して視聴できるのか知りたいという読者からの質問が届いた。専門家によるわかりやすい解説を知っておいてほしい。

B-CASカードなしで、有料放送との契約は?

読者からの質問

最近のテレビはB-CASカードを装備していないようですね。そういうテレビでも、一度有料放送と契約して登録すれば、引っ越しても継続して視聴できるのでしょうか?(S.Hさん 東京都 64歳)

編集部:

この質問は、AV評論家の藤原陽祐さんに聞きましょう。

専門家の回答

専門家:

「数年前までテレビやレコーダーなど、BSデジタル/110度CSデジタル/地上デジタル放送用のチューナーを内蔵した映像機器には、B-CASカードが付属されていました。WOWOWなどの有料放送の限定受信システムとして導入されたわけですが、2004年に、有料/無料放送を問わず、デジタル放送の著作権保護を目的とするコピーガード制御としても機能するようになりました。

B-CASカードのICチップには、そのカード固有の識別情報と一緒に、『暗号鍵』のデータが組み込まれ、これを使って放送の視聴やコピーを制御するという仕組みになっています。このB-CASカードなしでは、ほとんどの放送が視聴できないというわけですが、最近人気の4Kチューナー内蔵テレビや、4Kチューナー内蔵のレコーダーには、そもそもB-CASカードが同梱されておらず、当然ながら、その挿入口も見当たりません。わが家の8KテレビもB-CASカードはなし。ところが、試しにアンテナだけ接続し、電源を入れて、BS放送(2K)にチャンネルを合わせてみたところ、無料放送については、問題なく視聴可能でした。B-CASカードがないのに、BS放送が見られる、不思議ですね。

これは、2018年に始まった4K/8K放送から導入された新しい技術、ACASシステムのおかげです。B-CASはカード方式でしたが、ACASはLSIチップとして4K/8Kチューナー搭載のテレビやレコーダーに最初から内蔵されていて、従来のB-CASカードの機能もそのまま組み込まれています。それでBS放送が見られたというわけですね」

編集部:

つまり、4K/8K放送機器ではもうB-CASカードが使われていないんですね。理由は何でしょうか?

専門家:

「いくつかの理由があるようですが、海賊版や改竄(かいざん)カードによる不正視聴への対策という意味合いが強いようです。実際、国土交通省の職員がB-CASカードの不正使用で逮捕されるという事件も発生しています。

カードから内蔵チップに替わったわけですが、いずれも、ユーザーを特定するための20桁の数字が割り振られています。B-CASの場合、カードの裏面で確認できますが、ACASのチップは機材に組み込まれているため、メニュー画面から確認しなければなりません。有料放送を視聴する場合は、この番号を登録。もちろん、転居しても同じ機器で視聴可能です。

受信システムとしての信頼性は大幅に向上した半面、持ち運べるB-CASカードと比べると、有料放送の視聴機材が限定されるという制約が生じてしまいました。レコーダーのACAS番号で視聴契約した場合、録画しない場合でも、いちいちレコーダーを動作させなければなりませんし、リビングのテレビで見た映画の続きを、B-CASカードを持ち運んで寝室のテレビで見るという楽しみ方もできなくなったわけです」

編集部:

B-CASカードがなくなったため、利便性は低下したということですね。残念です!

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