水も空気も人類が汚してしまいました。人類にとって、不可欠な水と空気を安全に使うためにお金を払う時が来たのです。水汚染、空気汚染は目に見えません。しかし、長期にその環境にいると健康を損ないます。それを回避するためには、双方ともに「フィルター」で有害物質を除去してやることです。水道の浄水器はさておき、空気清浄機となると部屋で存在感があります。正直、今まではないのが一番と、存在を感じさせないデザインが多かったです。しかし、コロナ禍の今、「どう見てもイケメン」という空気清浄機が海外メーカーを含め出てきました。同じ24時間過ごすなら、好みのタイプと言う方がいいです。今回は、そんなイケメン空気清浄機を紹介します。
COWAY (コーウェイ)NOBEL(ノーブル)
見た瞬間にアメリカのビルを思い出した。
COWAYは、1989年に韓国ソウルで設立された、空気と水をはじめとする生活環境をケアする製品を作ってきたメーカーです。アメリカなどへは、かなり前から輸出していましたが、日本に輸出され始めたのは、ごく最近です。
韓国は、家電を床に置くことが多く、エアコンですら床置きが主流。このためでしょうか、やや押し出しの強いデザインが多く、日本人が好む端正さとは一線を画すところがあり、なかなかこれはというモデルはありませんでした。
ところが、今年3月3日に発売されたCOWAY NOBELには、一眼で胸キュンとなりました。余りにもかっこいいのです。一眼見た瞬間、脳裏を横切ったのはアメリカの高層ビル。日本でも、ヨーロッパでもない「アメリカ」のです。アメリカは徹底して大きな面を、ただ単に細かく区切るデザインでビルを構成します。日本の床の間の違棚のように、それらしいアクセントは設けません。アメリカらしいおおらかさとパワフルさが感じられます。
聞いてみると、モチーフはやはり「建築」だそうです。85cmの建築オブジェと呼んでも差し支えないかと思います。フィルターはHEPAフィルター。性能的には今ドキの空気清浄機に求められるスペックをクリアしています。
Blueair(ブルーエア)Dustmagnet(ダストマグネット)
奇妙だが妙に馴染む
Blueairは、スウェーデンのメーカー。しかも、空気清浄機の専業メーカーです。そんなに的を絞って経営は大丈夫かと思われえる人もいるかも知れませんが、地球を循環する空気は今や世界中で大問題。心配は全く不要。高性能でもあり、世界中で熱い信頼を受けています。
さて、Blueairは永らく箱型の筐体を用いてきました。端正な箱デザインは、「静謐」という感じで。部屋に馴染んできました。ところが昨年よりデザインを大幅チェンジ。アクティブなデザインをと入り入れる様になりました。空気を守るように清浄化するのではなく、接局的に正常化するという意志が宿った様です。(それまでの静謐なモデルはClassicと銘打たれ、継続発されています。)
中でも、ミドルクラスのBlueair Dustmagnetは、とてもユニーク。特にミッドセンチュリーモダンが好きな人には垂涎モノでしょう。この形、結構ハマります。ある意味とても親しみやすい。
しかも性能も一流です。Blueairですから、そこは抜かりはありません。長年、相棒として使えそうです。
Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde PH 04 WG
今は当たり前の形
ダイソンから羽が見えない扇風機が出てきた時は、かなり驚きがありました。それから10年近く、見慣れた形になりました。が、余りに個性的な上、完成度が高いため、どこも追従していません。ダイソンは、そんな独創的なとこをたっぷり持ったメーカーです。しかし、それは達成困難な目標を達成するために必要な形で、こけおどしではありません。
ダイソンの空気清浄機の魅力は、空気清浄以外の空調機能を有しているところです。このモデルは加湿機能が加えられています。水が使われるところバクテリア、カビなどが繁殖する可能性があるため、衛生には気を遣う必要があります。
ダイソンが採用したのは、波長275nmの強力なUV-Cライト。水タンクから加湿フィルターに繋がる水路で水を一滴残らず直接照射して、水に潜む胞子、細菌、ウィルスを除菌します。 除菌された水は抗菌・防カビ作用をもつ加湿フィルターに送られ、衛生的に室内を加湿します。
日立 EP-VF500R
継続できれば、日立は変わっていたかも
日本メーカーの大手メーカーの製品として、日立のEP-VF500Rを上げましょう。日立は、冷蔵庫など大きい家電のデザインはいいのですが、小さめの家電のデザインは、そんなにスマートではありません。そこで、デザインを外部委託して作ったのが、EP-VF500R。
デザインは、プロダクトデザイナーの深澤 直人 氏。実に端正で、美しい。主張がありながら、主張しないデザインです。矛盾するニーズを見事にまとめ上げたデザインで、ずいぶん感心しました。実は、外部デザインで、うまくいくのは、そのデザイナーがその製品を熟知しているか、どんなデザインでも具現化できる技術があるかですが、この製品は、後者。日立は一流の技術を持っています。
しかし情けないのは、その後、続けておらず、徒花のようなモデルになってしまったこと。そうかと言って日立デザインの底上げができたという感じもしません。日本メーカーにありがちなことですが、こうまで優秀な黒船を招きながら、なんとも残念なことです。
Cado (カドー)LEAF 130
世界で認められるデザインを持つ日本の空調家電専業メーカー
華道から会社名をとったCado(カドー)。日本の空調家電専業メーカーです。このメーカーの製品は極めて端正。確かに華道に通じる、凛としたところがありいます。ただ、最近は、Cadoパターンと言っても良いデザインにより過ぎている感じもしますが、多くのメーカーは、そこまで徹底することができません。デザインを定着させるのは、とても大変なのです。
会社の規模が大きくなるにつれ、海外にも進出。IFA(9月ベルリンで行われる世界最大規模の家電ショー)のブースも大賑わい。海外の色々なバイヤーと商談していました。人気の原因は日本製であることとデザイン。
最新型のLEAF 130の魅力は、ウイルス不活化、悪臭除去にオゾンを採用したこと。今ドキの空気清浄機は、HEPAフィルターが基本。0.3μm(300nm)まではフィルタリングできるのですが、飛まつの中にいるウイルスはともかく、空気中を単独で漂っているウイルスをトラップすることはできません。
というわけで、メーカーごとに色々な対応を試みます。活性イオンを使ったり、U Vを使ったり。その中でも強いのは「オゾン」ですね。高濃度のオゾンは毒物。そのオゾンをウイルスには影響あるが、人間には影響のない濃度で使います。コロナ禍のニーズを盛り込んだ、モデルです。
最後に
このコロナ禍で、空気清浄機はパワーUPし、ほとんどのモデルがHEPAフィルター、もしくは同等品を使う様になりました。要するに、性能はほぼ横並びです。だったら顔で選びましょうという提案です。好みのタイプはありましたでしょうか。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。