【甘味料の基礎知識】自然・人工甘味料24種を徹底解説:キシリトール、エリスリトールから、果糖ぶどう糖液糖、アスパルテームまで

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近年、砂糖以外にもさまざまな成分がある「甘味料」。清涼飲料水や菓子類に含まれている「果糖ぶどう糖液糖」や、カロリーや血糖値が気になる人にはうれしいけれど、摂りすぎに注意が必要な「人工甘味料」も含め、食品の成分表でよく見かける甘味料の特徴や使い道をまとめてみました。

そもそも「砂糖」とは?

砂糖は、最も一般的な甘味料で、「ショ糖」とも呼ばれます。さとうきびやてん菜のしぼり汁を結晶と糖蜜に分けて、結晶部分を取り出したもの。化学的には、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖類となり、カロリーは1gあたり約4kcal程度。GI値(血糖値の上昇速度を示す指標)は65と意外にも中程度。料理の風味や食感を損なわずに甘みを付けられる反面、過剰摂取は肥満や糖尿病などのリスクを高める可能性があります。

そうした砂糖は大きく精製、甘みを分離した分蜜糖(ぶんみつとう)と、自然な糖蜜を含んだまま固めた含蜜糖(がんみつとう)の2種類に分けられます。

分蜜糖(ぶんみつとう)

最も一般的な「上白糖」、純度が高く、クセのない淡白な味。お菓子作りや飲み物、ジャムなどに最適な「グラニュー糖」、上白糖やグラニュー糖の結晶を取り出した後の糖液を煮詰めて作る「三温糖」は、コクと独特の風味があり、煮物や佃煮に適しますが、見た目は茶色みがあっても、黒糖とは種類が違います。

含蜜糖(がんみつとう)

さとうきびのしぼり汁を煮詰めて作る。ミネラル分が多く、特有の風味と強い甘みが特徴の「黒糖(こくとう)」。駄菓子やかりんとう、和菓子に使用する黒蜜にも欠かせない、自然派の砂糖です。黒砂糖とも呼ばれます。国内産では沖縄、奄美諸島などで生産されているものが上質だと言われています。

さとうきびを原料に伝統製法で作る淡黄色の砂糖で、結晶が非常に細かく、口溶けが良く、高級和菓子に欠かせないのが「和三盆」。さとうきびの風味を残しつつ精製した「きび砂糖」、北海道産が多い、野菜のカブに似ている「てん菜」(ビート、さとう大根とも呼ばれる)の根部分由来で、まろやかな甘みが特徴の「てんさい糖」などがあります。

果物に含まれる「果糖」と、清涼飲料水、菓子類の多くに含まれる「果糖ぶどう糖液糖」の違い

でんぷん(主にトウモロコシやジャガイモ、サツマイモなど)を酵素分解して作られる、液体状の甘味料全般が「果糖ぶどう糖液糖」。まずでんぷんを酵素でぶどう糖(グルコース)に分解し、その一部をさらに酵素で果糖(フルクトース)に変えることで作られるもので、液状異性化糖に分類されます。

安価に大量生産できるところから使用頻度が高いのが特徴ですが、人工甘味料には含まれません。甘みが非常に強く出てしまいやすいので、飲料などでは同時に酸味料を追加して甘みを抑えて爽やかさを出す工夫もされています。果糖の含まれる割合が低い順に「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖(果糖の割合が55%程度)」「高果糖液糖」と名称が変わります。

果糖(フルクトース)」自体は果物やはちみつなどに多く含まれる天然の糖で、単糖類。砂糖(ショ糖)と比べて約1.2~1.7倍の甘さがあり、水に溶けやすく、冷やすと甘みが増す性質があります。「結晶果糖(クリスタルフルクトース)」の名称で市販されていますが、通常店頭ではあまり見かけません。

 

吸収は良いが、血糖値が上がりやすい「ぶどう糖(グルコース)」

集中力を高めるために、熱中症予防のキャンディなどに塩分と共に含まれていることの多い「ぶどう糖(グルコース)」。病院で使われる点滴の成分としても知られています。体内エネルギー源として直接利用される単糖類で、GI値は100(最大値)。砂糖より甘さは控えめですが、血糖値を急上昇させるリスクがあります。スポーツドリンクなどにも含まれることが多いです。

キシリトール、エリスリトール、ステビア……。人工甘味料に見える名前でも自然由来でダイエットに向いた「糖アルコール」

カタカナ表記のため、人工甘味料と誤解されがちなのが、天然由来の「糖アルコール」。自然界に存在し、果物や野菜、きのこ類などに含まれています。ただ食品に使われるものの多くは、糖質を原料に工業的に製造されている場合も多いです。

キシリトール

白樺などから抽出される糖アルコールの一種で、カロリーは砂糖の約60%(2.4kcal/g)。虫歯予防効果があり、インスリンに依存せず代謝されるため、血糖値の上昇が緩やかなのが特徴です。ただし、多量摂取すると消化器症状を引き起こすことも。むし歯予防になる糖として、ガムや歯磨き粉に広く使用されています。

エリスリトール

糖アルコールの一種で、カロリーはほぼゼロ(0.2kcal/g)。甘さは砂糖の約70%で、体内でほとんど代謝されずに排出されるため血糖値への影響もほぼありません。そのまま舐めると冷たく感じるのが特徴。キシリトールよりお腹がゆるくなりにくいと言われています。

マルチトール(還元麦芽糖)

でんぷんから作られる麦芽糖(マルトース)を原料とした糖アルコールの一種。駄菓子感のある砂糖味で、低カロリーのキャンディなどによく使われています。マルチトールの甘味度は、砂糖の約70〜90%程度で1gあたり約2kcalで、砂糖の半分程度のカロリーですが、一度に大量に摂取すると、消化されにくいためにお腹がゆるくなることがあります。

ステビア

ステビア植物から抽出される天然甘味料で、砂糖の200〜300倍の甘さがあります。カロリーはほぼゼロで、血糖値やインスリン分泌にほとんど影響しません。ただ後味に独特の苦味に近いクセがあるため、他の甘味料と組み合わせて使用されることも少なくありません。

他にもソルビトール、ラクチトール、マンニトールなど名称の最後に「トール」と付くことが多いです。

個性豊かでヘルシーな天然甘味料

アガベシロップ

サボテンの一種から採取されるアガベシロップは、低GI値の自然な甘味料。フルクトース含有量が高いため、少量でも十分な甘さを感じられます。液体状なので、ドレッシングやスムージーなどによく合います。また、加熱しても風味が変わりにくいため、パンケーキやマフィンなどの焼き菓子にも適しています。

 

ココナッツシュガー

ココヤシの花蜜から作られるココナッツシュガーは、ミネラルを含み、GI値が比較的低いのが特徴です。砂糖に近い風味を持ちながらも、キャラメルのような香ばしさがあるため、クッキーやグラノーラなどの風味付けに最適です。重量比で砂糖と1:1で置き換えられるため、レシピの調整も簡単。

メープルシロップ

「くまのプーさん」の好物としても知られる、カナダやアメリカ北東部で採取されるサトウカエデなどの樹液を煮詰めて濃縮した天然の甘味料「メープルシロップ」は、独特の風味と栄養価の高さが魅力です。ミネラルやポリフェノールを含み、純粋な砂糖よりも体に優しいとされています。パンケーキやワッフルにかけるだけでなく、ヨーグルトのトッピングやグラノーラ作りにも活躍します。

蜂蜜(はちみつ)

フルクトースとグルコースを主成分とする天然甘味料で、カロリーは砂糖とほぼ同じ(約3kcal/g)。ビタミンやミネラルなど微量栄養素を含み、抗菌作用もあります。GI値は55〜85と種類によって幅があり、砂糖より若干低めですが、カロリー面では大差ありません。

みりん

もち米・米こうじ・焼酎(または醸造アルコール)を主原料とし、糖化・熟成させて作られる酒類調味料。和食メニューには欠かせない存在です。

 

食品によく含まれる低カロリーな「人工甘味料(合成甘味料)」をチェック

化学的に合成され、自然界には存在しない甘味成分が「人工甘味料(合成甘味料)」。ごく少量で強い甘みを感じられるのが特徴で、カロリーはほぼゼロです。日本で許可されている合成甘味料は以下の6種類になります。

アスパルテーム

アミノ酸から作られる人工甘味料で、砂糖の約200倍の甘さがあります。カロリーは理論上4kcal/gですが、極少量で高い甘味が得られるため実質的なカロリー摂取はほぼゼロ。熱に弱く加熱調理には不向きです。「コカ・コーラゼロ」などのダイエット飲料に使用されています。

スクラロース

砂糖を化学的に改変して作られる人工甘味料で、砂糖の約600倍の甘さがあります。カロリーはゼロで、体内でほとんど吸収されず、熱にも強いため幅広い食品に使用可能です。後味が少なく、砂糖に近い味わいを持ちます。

アセスルファムK

熱や酸に強い。飲料・菓子等に使われることが多く、砂糖の200倍の甘さ。

サッカリン

砂糖の300~500倍の甘みを持ちますが、やや苦い。

ネオテーム

砂糖の7,000~13,000倍というとんでもない甘さを持つ新しい甘味料だが、まだあまり使用されていない。

アドバンテーム

砂糖の20,000倍以上という新しい甘味料。まだあまり使用されていない。

 

知って得する甘味成分:料理別・最適な甘味料の選び方

料理・お菓子作りでおいしくするには、適切な甘味成分は欠かせません。料理ごとに向いている甘味料は以下の通りです。

【和菓子作りには】

和菓子には上白糖や三温糖が定番です。特に羊羹や饅頭には上白糖のすっきりとした甘さが適しています。一方、どら焼きや大福には三温糖のコクのある甘みがマッチします。黒糖は黒蜜や黒糖饅頭など、風味を活かした和菓子に最適です。

【洋菓子作りでは】

クッキーやマフィンには、グラニュー糖の均一な甘さが理想的。メレンゲやアイシングにはパウダーシュガー(粉糖)が欠かせません。

【飲み物との相性】

コーヒーには角砂糖やきび砂糖のミネラル感が合います。紅茶には白砂糖のすっきりした甘さ、緑茶には和三盆を少々入れて上品な甘みを出すこともできます。フルーツジュースには自然な甘みの蜂蜜がおすすめです。

 

【料理の隠し味として】

味噌汁や煮物にはみりんの繊細な甘みが効果的。カレーやシチューには果汁還元オリゴ糖が深みを出します。照り焼きソースには黒砂糖のコクが決め手になります。

 

【健康志向の料理に】

カロリーを抑えたいデザートにはエリスリトールやステビアが最適。血糖値が気になる方の料理にはアガベシロップやココナッツシュガーがおすすめです。

 

【世界の料理テイスト別】

タイ料理にはココナッツシュガー、韓国料理には水飴、メキシコ料理にはアガベシロップ、中東料理にはデーツシロップ(なつめやしシロップ)が本場の味を再現するポイントです。

 

まとめ:さまざまな甘味料の特徴を考えて、甘みの魔術師になる!

単純にダイエット目的ならば、自然由来の糖アルコール、人工甘味料の活用がポイントになります。おいしさの観点でも、糖分の取り過ぎにならないように気をつけるというのは、ヘルシーライフの基本です。それぞれの特徴を把握して、賢く甘みを使い分けましょう。

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1979年創刊の老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版/現・ブティック社)を起源とするWebマガジン「特選街web」編集部にて、長い歴史の中で得た専門家の知見とともに、からだのみならず精神も含めた幅広い「ウェルネス」を追求するチーム。ブティック社は「ゆほびか」などの雑誌も刊行。

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