近年のスピーカーのトレンドは、アンプやネットワーク再生機能などを内蔵した製品が増加していること。これなら、音楽配信サービスはスマホやパソコンと連係すれば再生可能になるし、CDプレーヤーなども直接つなぐことができる。往年のオーディオファンには抵抗感のあるものだったかもしれないが、先入観にとらわれることなく、店舗やショールームで体感してみることをおすすめしたい。

本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

スピーカーの基本とトレンド

アンプを内蔵したアクティブスピーカーの注目度が急上昇

ここ最近の大きな変化は、アンプ内蔵アクティブスピーカーの躍進。趣味のオーディオは、機能ごとに機器を分離するコンポーネントが長らく好まれてきたが、メディアや技術の進化を背景に、スピーカーにすべてを内蔵するタイプも高音質になった。省スペースで見た目もスッキリ美しく、使い勝手もいいので、人気となっている。

エンクロージャーもスピーカーユニットも形状や素材が多彩に!

スピーカーは音を鳴らす基本原理はどれも同じなので、メーカーは素材、構造やデザインの工夫で差別化を図っている。振動板は軽くて動きやすく、余計な音が付帯しないよう内部損失が高い素材を模索。エンクロージャーは主に木製だが、金属で強固さを追求する動きもある。正解はなく、各ブランドの考え方しだいといえる。

ブランドには、国、地域ごとの音質傾向があっておもしろい

スピーカーは、世界各国で多数のブランドが存在しているが、日本では、ヨーロッパや北米ブランドが好まれている。おもしろいのは、地域柄ともいえる音質傾向があること。ヨーロッパと日本は繊細、アメリカは低域が豊かでおおらかな音調の製品が多い。国内メーカーは、仕向け地に応じてチューニングを行うことも多々ある。

「JET」や「Uni-Q」など、独自技術にも注目!

ドライバーは電磁石を応用したダイナミック型が基本だが、高域を担当するツイーターに関しては、独自色を打ち出すブランドも多い。例えば、エラックの「JET」は、表面積が広いリボン型で、エネルギッシュかつ透明感の高い再生音にファンが多い。構造面では、点音源を目指すKEFの同軸ドライバー「Uni-Q」などもユニークだ。

密閉型とバスレフ型があり、多くは後者を採用

スピーカーの要といえるドライバーのほとんどは、「ダイナミック型」と呼ばれるタイプ。その駆動原理自体は登場から100年たった今も変わっていない。コイルに電流を流し、「右ねじの法則」で動く電磁石を応用したもので、今後も当面は主流と思われる。それほど合理的で、素晴らしい技術ともいえるかもしれない。

「ダイナミック型」をベースにしたメーカーの研究開発は、コイルや振動板を軽くして動きやすくしたり、振動板やスピーカーボックス自体が不要な音を出さないよう、よりディテールを洗練する方向で進んできた。

スピーカーを選ぶときは、方式として「密閉型」と「バスレフ型」を知っておきたい。密閉型は、スピーカー振動板の裏側から放たれる、いわば不要な音を密閉して閉じ込めるという考え方。スピーカーボックスの容積が低域の最小再生周波数を決めるので、コンパクトタイプの場合は低音の再生に限界があるが、すなおな低域音に根強いファンも多い。音が置き場所に左右されにくいというメリットもある。

もう一方のバスレフ型は、スピーカーボックスにポートと呼ばれる穴を設け、もれる低域を利用して、低音を増強することができる。小型スピーカーでも低音の量感を増すことが可能なので、現在はサイズを問わず、多くのスピーカーがバスレフ型を採用している。

サイズ的には、本棚にも置けるようなコンパクトな「ブックシェルフ型」と、縦長で床置きしやすい「トールボーイ型」とも呼ばれるフロアスタンディングタイプが主流だ。

アンプやネットワーク機能を内蔵したモデルも増加

また近年のトレンドは、序論でも触れたように、アンプやネットワーク再生機能などを内蔵した製品が増加していること。これなら、音楽配信サービスはスマホやパソコンと連係すれば再生可能になるし、CDプレーヤーなども直接つなぐことができる。省スペースで済み、接続や費用、操作など、あらゆる面で簡便になる。

こういったスピーカーが支持されている背景には、インターネットのサブスクサービスの普及はもちろんのこと、Wi-Fiや有線LAN接続で、NASに蓄積したハイレゾ音源を再生できるなど、メディアの進化が大きい。

また、ハードウエアの面では、小型で低発熱という特徴を持つデジタルアンプが、ハイファイ用途としても十分な音質性能を備えるまで進化し、スピーカーに内蔵できるようになったことも挙げられる。

これまで、アンプ内蔵のスピーカーは簡易的な性格が強く、往年のオーディオファンには抵抗感のあるものだったかもしれない。だが、現在では、高価なハイエンド製品も続々と登場して、一体型ならではのよさも感じられるようになった。先入観にとらわれることなく、店舗やショールームで体感してみることをおすすめしたい。

今、注目したいスピーカー

クリプトン
KX-0.5Ⅱ

実売価格例:20万200円(ぺア)

画像: クリプトン KX-0.5Ⅱ

密閉型にこだわり、独自路線を貫く
今や数少ない密閉型にこだわり、独自路線を貫く日本ブランド。KX-0.5 IIは、同ブランドの中でも最もコンパクトな、パッシブタイプの密閉型最新モデル。超高域再生が得意な砲弾型ツイーターやバイワイヤリング対応もポイント。

ポークオーディオ
Polk Signature Elite ES20

実売価格例:5万1480円(ペア)

画像: ポークオーディオ Polk Signature Elite ES20

米国ブランドらしいおおらかなサウンド
アメリカのホームシアター向けスピーカーで絶大な人気を誇るポークオーディオ。ラインアップを整えて、日本に本格上陸した。比較的手ごろな価格帯で、アメリカブランドらしいおおらかで鳴りっぷりのいいサウンドが魅力だ。

KEF
LSX II

実売価格例:23万1000円(ペア)

画像: KEF LSX II

「Uni-Q」でフォーカスのいいサウンド
Wi-Fiおよびネットワーク再生機能、アンプも内蔵した、全部入りのコンパクトスピーカー。KEF独自の「Uni-Q」ドライバーを搭載し、フォーカスのいいサウンドはハイファイ的。デザインにこだわり、カラーバリエーションも豊富。

エラック
Uni-Fi Reference UFR52

実売価格例:28万2150円(ぺア)

画像: エラック Uni-Fi Reference UFR52

独自の同軸ユニットで音もエネルギッシュ
人気のドイツブランド、エラックの中でも比較的手ごろな中核モデル。独自の同軸「Uni-Fi COAX Driver」を搭載し、同社らしいエネルギッシュなサウンドと、リラックスして楽しめるおおらかさの共存がみごとな逸品。

■解説/鴻池賢三(AV評論家)

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。



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