「スマートフォンの未来」と銘打ったiPhone Xが登場し、話題を集めている。一方、Androidスマホの中にも、iPhone Xに負けず劣らずの完成度を誇る端末が多い。例えば、縦長の有機EL画面をiPhoneに先駆けて採用したGalaxy Note8はその代表格。メモリー積層型CMOSセンサーを搭載したXperia XZ1も人気が高い。SIMフリーモデルでは、ファーウェイのP10 PlusやASUSのZenFone 4 Proが、高い性能を誇る。これら5機種を、カメラ機能や音楽機能など、七つの項目でテスト。10点満点で採点した。
アップル
iPhone X
従来機よりもやや縦に長い、5.8型の有機ELディスプレイを搭載。伝統的に搭載してきたホームボタンを廃し、操作方法も一新した。顔を正確に識別する「Face ID」に対応。ポートレートモードも備える。
ソニー
Xperia XZ1
メモリー積層型CMOSを採用し、高速に映像を記録。シャッターを切る前から写真を撮れる「先読み撮影」などに対応する。Android 8.0をいち早く搭載。HDR対応で画面も鮮やかだ。
サムスン
Galaxy Note8
Sペンを搭載したGalaxy Noteが、3年ぶりに登場。画面を消したままメモが取れたり、字や絵の軌跡をアニメーションにできたりと、用途は多彩。シリーズ初のデュアルカメラ対応も話題。
ASUS
ZenFone 4 Pro
ZenFone 4シリーズの最上級モデルで、デュアルカメラ対応。光学2倍ズーム相当のズーム撮影が楽しめる。メモリー6Gバイト、ストレージ128Gバイトで、処理能力も高い。
ファーウェイ
P10 Plus
デュアルカメラの先駆けとなったPシリーズの最新モデル。ライカと共同開発したカメラは、レンズがF1.8と明るく、精細な描写が期待できる。パントン社とコラボしたカラーリングも独特。
ディスプレイ画質
有機ELのiPhoneとGalaxyがリード
ディスプレイは、コントラスト比の高い有機ELがトレンド。Xperia XZ1とP10 Plus以外の機種が、これを採用する。黒がクッキリと締まって見えるうえ、色が鮮やかで応答速度も速いのが特徴だ。
有機ELは自発光のため、かつては屋外で見づらいというデメリットもあったが、3機種とも、輝度を高めることで、視認性は十分といえる。解像度面では、Galaxy Note8のQHD+が最も高い数値。ただし、色の自然さでいうと、iPhone Xが一歩リード。好みにもよるが、この2機種の評価が高い。
iPhone X
有機ELを採用したため、コントラスト比が従来のiPhoneより大きく上がった。
Xperia XZ1
HDR10に対応しており、液晶画面ながら色は鮮やか。解像度はフルHDとなる。
Galaxy Note8
色鮮やかで、明るく、そして黒もクッキリ締まって見える。有機ELならではの発色だ。
ZenFone 4 Pro
有機ELを採用しており、色彩が豊か。解像度はフルHDで標準的なスペックとなる。
P10 Plus
IPS液晶を搭載しており、解像度はWQHD。近づいて見たときの精細感が高い。
ボディまわり
背面にガラスを採用したモデルは高級感が出やすい
ボディのフレームは5機種とも、すべて金属製で、樹脂製のものはもはや見当たらない。特に、iPhone Xはステンレスを採用している(ほかはアルミ合金)。また、iPhone XやGalaxy Note8、ZenFone 4 Proは、背面にガラスを搭載しているのも特徴だ。
それらに対し、Xperia XZ1とP10 Plusの背面は金属素材となっている。ガラスは割れやすいのがデメリットだが、無骨なイメージの金属よりも高級感が出やすい。ディスプレイのエッジを曲げたGalaxy Note8のフォルムも魅力的。
iPhone X
ステンレスを採用しており、シルバーの光沢感があふれる仕上がり。ガラスは高級感があるが、レンズ部が飛び出ているのは残念。
Xperia XZ1
金属ボディの質感が高く、丸みを帯びた側面が持ちやすい。側面から背面にかけ、継ぎ目のない一体感のある仕上がりだ。
Galaxy Note8
背面はガラスで、カメラと指紋センサーの一体化ユニットを搭載。フレームを中心に表面と背面のガラスがカーブしたデザイン。
ZenFone 4 Pro
丸みを帯びたボディで、ガラスとの一体感が強いデザインだ。背面はガラスで、カメラと指紋センサーの一体化ユニットを搭載。
P10 Plus
背面はガラスで、カメラと指紋センサーの一体化ユニットを搭載。前面ガラスと金属フレームをきれいにつなげており、薄さも際立つ。
音楽再生
Xperiaの音楽機能は非常に優秀
音楽再生に強いイメージのあるiPhone Xだが、標準の音楽再生アプリがハイレゾに対応したのはごく最近で、しかも48kヘルツ/24ビットどまり。
これに対し、Android勢は全機種ハイレゾ対応で、特にXperia XZ1は192kヘルツ/24ビットに対応。ノイズキャンセリングの効果も高く、スピーカーの音圧も十分で、音楽機能は非常に優秀だ。Galaxy Note8は、スピーカーがモノラルであること、P10 Plusはイコライザー非搭載などの弱点もある。
以下、各機種の標準的な音楽再生アプリの画面を掲載した。
iPhone X
クセのない音質だが、スマホの中では標準的。ハイレゾ楽曲が「iTunes」で買えないのもマイナスポイント。
Xperia XZ1
ノイズキャンセリングの効果が非常に高く、周囲の騒音がきちんと消えた。音質も高い。
Galaxy Note8
スピーカーがモノラルで、やや音が貧弱だが、ヘッドホンで聴いたときの音質はいい。
ZenFone 4 Pro
DTSヘッドホン:Xに対応しており、音の方向までわかるほど臨場感が高い。
P10 Plus
スピーカーはステレオで、音量は十分。音楽アプリは使いやすいが、飛び抜けた機能はない。
スペシャル機能
手書き入力がしやすいGalaxyが光る
ほかにはない、スペシャルな機能では、やはりSペンを搭載したGalaxy Note8が光る。メモを取ったり、手書きでコミュニケーションできたりと、便利で楽しい。
対するiPhone Xは、前面に搭載したTrueDepthカメラが秀逸。赤外線で顔に照射したドットを認識し、人物の顔を立体的に認識できる。この機能を応用した「アニ文字」も楽しい機能だ。
P10 Plusは、指紋センサーがナビゲーションキー代わりになる機能がおもしろい。ZenFone 4 ProやXperia XZ1は、ハードウエア的な独自性がもう一歩足りない。
iPhone X
インカメラ(写真上)で顔を正確に認識し、表情を絵にする「アニ文字」を実現(写真下)。
Xperia XZ1
「3Dクリエイター」で顔を立体的にスキャンし、3Dプリンターで模型を出力可能。
Galaxy Note8
端末に収納できるSペンで、画面オフの状態からサッとメモが取れる(写真上)。写真にイラストを描き、メッセージを送れる(写真下)。
ZenFone 4 Pro
一つのサービスで二つのアカウントを使い分けられる「ツインアプリ」がおもしろい(写真上)。内蔵アプリは厳選され、少なめ(写真下)。
P10 Plus
インカメラもライカになった(写真上)。ホームボタン兼用の指紋センサーは、ダブルタップやフリックでナビゲーションキー代わりに使える(写真下)。
解説/石野純也(ジャーナリスト)
〈その2〉ヘ続く
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