夏は特に気になる、家庭でのニオイや菌。効果的な対策をするなら脱臭機がイチ推し【目指せ!家電選びの達人】

空調家電

気温が高く、湿気の多い夏は、菌が繁殖しやすいため、嫌なニオイが目立ちがち。ペットを飼っていたり、在宅介護を行っていたりする家庭では、特にニオイに敏感になる季節かもしれない。こうした世相を反映してか、近年、用途別にいろいろな脱臭機が登場し、注目を集めている。ここでは脱臭機選びについて見ていこう。

ニオイに対する悩みの増大。問題解決のために脱臭機が身近な存在に

ペットは大切な家族だが、家の中で飼っていると、どうしてもニオイが気になるものペットの種類にもよるが、排泄物が臭かったり、ソファーやカーペットなどに動物臭が染みついたりしてストレスを感じることもある。

また、一緒に生活している時間が長くなると、ニオイに慣れてしまい気にならなくなるが、友人や親戚が訪ねてきたときなど、自分では気づかないペットのニオイで相手に不快な思いをさせているかもしれない。そう考えると、心苦しい面もある。

在宅介護を行う家庭では、ニオイはより悩ましい問題だ。寝具や体(汗)のニオイなど要素はいろいろあるだろうが、特に気になるのが、排泄物のニオイだといわれている。介護する側の肉体的かつ精神的な負担はもちろんだが、介護される側も、例えば、ニオイが家族の迷惑になると感じて排泄を我慢するなど気を遣い、これが「うつ」の原因にもなるという。

こうした中で、最近はニオイの問題を解決する消臭剤や脱臭機が、身近な存在となっている。ペット臭、タバコの煙、介護用など、製品によって用途も細かく区分され、手軽に使えるスプレータイプから、ホスピタルやケアセンター向けの本格派マシンまで、価格もバリエーションも多彩だ。ニオイの状況や環境に合わせて、さまざまなアプローチが可能になっている。

日常生活でのニオイや空気の汚れに関する悩み

1 飼っているペットのニオイ
ペットを飼う人が増えているが、家の中で飼っていると排泄物のニオイが気になるし、ソファーやカーペットなどについた動物臭にストレスを感じることがある。客人を不快にさせてしまうかもしれない点も気がかりだ。

2 介護現場でのニオイや除菌
介護専門の施設はもちろん、特に、在宅介護をしている場合、自宅内での介護にかかわるニオイが大きな問題となっている。そこで今、素早く脱臭ができる高性能な脱臭機が注目の的だ。併せて、除菌もできると、より安心感が増す。

3 花粉やハウスダスト
花粉やハウスダストなどのアレル物質は家中に存在する。健康な生活を送るためには、空気環境の浄化が大切で、空気清浄機が大活躍。赤ちゃんや年配者には、特に気を配りたい。

4 ウイルスや菌の繁殖
イオンを放出して、部屋に浮遊する菌やウイルスを攻撃する機能が各種家電で定番化。近年は、オゾンや次亜塩素酸を放出して、ドアノブなどに付着した菌を抑制するモデルも登場。

5 タバコ臭や飲食店でついたニオイ
衣類についたニオイは、スプレー式の消臭剤で除去する方法のほか、空気清浄機などのイオン放出機能を使って風を当てておくと、ニオイを取り除く効果が期待できる。

それでは以下、家庭のリビングやベッドルームなどで使うことを前提に、脱臭機の基本と注目モデルを紹介しよう。

空気清浄機と脱臭機の基本構造は同様だが、脱臭機は特殊な技術でニオイを分解

空気清浄機に脱臭機能が装備されている場合、これで脱臭も可能だと考えるかもしれない。でも、空気清浄機と脱臭機は、そもそも用途が異なるため、話はそう単純ではない。

空気清浄機は、部屋に漂う花粉やハウスダストを吸い取って空気をきれいにする機器だ。ナノイーやプラズマクラスターなど、イオンを放出できるモデルでは、イオンがニオイの原因菌を包み込んで無力化し、ニオイの除去もある程度は可能。だが、あくまで一般的な日常生活で一時的に発生するニオイが対象であり、ペットや在宅介護のような常に発生し続けるニオイに対しては、あまり大きな効果は期待できない。

一方、脱臭機は、ニオイの原因菌を分子レベルで分解して、無臭に近づける機器だ。基本構造は空気清浄機と同様で、空気を吸い込み、浄化して放出するが、このとき、特殊な触媒や帯電技術などを用いてニオイ分子を吸着・分解するのが強み。某メーカーの実験では、一度の吸い込みで、空気清浄機がニオイの約8割を再放出しているのに対し、脱臭機は約2割しか再放出していないとのデータも報告されている。

また、脱臭機は、ペットのいる家庭や在宅介護を行う家庭で需要が高いことから、動物臭、アンモニア臭、生ゴミ臭などを強力に脱臭できるように工夫されている。長時間使い続けても脱臭力が衰えにくいのも脱臭機のメリットだ。

工夫を凝らした脱臭機。それぞれの機種に、取れるニオイの得意分野がある

用途や環境に合わせて、いろいろな製品が登場している脱臭機だが、家庭のリビングやベッドルームでの使用を考えると、注目されるのは下掲の4モデルである。

空間除菌脱臭機
次亜塩素酸を生成し、浮遊菌や付着菌に効果

パナソニック
ジアイーノ F-MV3000
実売価格例:15万3820円(〜15畳用)
※F-MV1500=8万7730円(〜10畳用)

●適用床面積の目安/〜15畳(〜25平方メートル)●風量/約5.2㎥/分●運転音/最大54dB●消費電力/最大55W●連続運転時間/約7.5時間●サイズ/幅398mm×高さ710mm×奥行き240mm●重量/11.2kg

F-MV3000

F-MV1500

パナソニック・F-MV3000は、30年にわたって業務用で培ってきた次亜塩素酸生成技術を、家庭用に転用した新基軸の製品だ。

次亜塩素酸は、菌やウイルスの細胞表層だけでなく、中まで浸透して素早く作用する除菌成分で、病院、介護施設、保育園などで広く利用されている。これを、家庭でも使えるように工夫したのが本機で、空気中に浮遊している菌やウイルスはもとより、ドアノブや家具などに付着している菌やウイルス、ペットや介護環境などのニオイにも高い効果を発揮する。

タンクに水道水を、トレーに塩タブレットを入れて使用するため、定期的に排水やフィルター洗いなどが必要だ。

集塵機能付き脱臭機
ペットのニオイが気になる家庭にピッタリ

富士通ゼネラル
プラズィオン HDS-302G
実売価格例:1万9070円

●適用床面積の目安/〜20畳●風量/約3.0㎥/分●運転音/最大45dB●消費電力/最大28W●サイズ/幅274mm×高さ643mm×奥行き262mm●重量/6.5kg

富士通ゼネラル・HDS-302Gは、ペットのニオイが気になる家庭に最適な一台。ハニカム状の金属に酸化触媒をコーティングした「高速メガフィルター」が、ニオイを急速に吸着・分解する。集塵フィルターには特殊繊維が採用され、犬・猫の表皮や毛、ダニのフンや死骸、花粉、ホコリなどを取り除く。

わずかに残ったニオイもオゾンユニットで無臭分子に分解。また、放出される空気には消臭成分が盛り込まれ、カーテンやソファーなどの布製品に付着したニオイも脱臭する。

高速メガフィルターは、オートクリーン機能付き。ヒーターの熱で脱臭力を毎日回復するので、脱臭効果が続く。フィルター交換のコストがかからず経済的だ。

空気清浄機 + ニオイフィルター
別売のニオイフィルターで生活臭を除去

ブルーエア
Blueair Classic 480i
実売価格例:9万5760円

●適用床面積の目安/〜33畳(〜55平方メートル)●清浄空気供給量/204〜595㎥/時●運転音/最大52dB●消費電力/60W●サイズ/幅500mm×高さ590mm×奥行き275mm●重量/14kg

Blueair Classic480iは、タバコ煙、VOC(※)、化学物質、調理臭が気になる場合におすすめ。

汚染物質をマイナス帯電させ、目の粗さが異なるプラス帯電した多層フィルターでキャッチする独自テクノロジー「HEPA Silent」を搭載し、0.1マイクロメートル以上のアレル物質やニオイの微粒子を99.97%まで除去する。

標準装備のダストフィルターをオプションのニオイフィルター(実売価格例1万5690円)に交換すると、微粒子の捕集と同時に、VOC、化学物質、生活臭のニオイ除去が可能になる。

本機は、天面がフラットなので、ネコなどが乗っても大丈夫だ。

※「VOC」とは、トルエン、キシレン、ベンゼンなど揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称。

ニオイフィルター(実売価格例1万5690円)

脱臭機
排泄臭を徹底的に分析した在宅介護向け製品

三菱
DA-8000A
実売価格例:20万1380円

●適用床面積の目安/〜36畳●風量/約8.0㎥/分●運転音/最大51dB●消費電力/最大64W●サイズ/幅425mm×高さ663mm×奥行き292mm●重量/11.5kg

三菱のDA-8000Aは、パワフルかつスピーディな脱臭で、ニオイを拡散させずにしっかりと除去する。介護の悩みである排泄臭を徹底的に分析し、その主成分であるアンモニアなどに強い触媒を採用。形状も大面積ハニカムにして脱臭力を強化している。

また、PM2.5、浮遊ウイルス、花粉、ハウスダストなど、0.1マイクロメートル以上の微粒子を99%除去可能。フィルターにはヒーターが付き、触媒の化学反応をヒーター加熱で促進しながら、定期的に再生を繰り返すので、交換も手入れも不要。価格は高めだが、在宅介護で抜群の威力を発揮する。

まとめ

気になりだすと大きなストレスになるニオイの問題。ペット臭のせいで友人が来なくなったり、ニオイを嫌がって孫が寄りつかなくなったりといった話は、脱臭機を導入することで解決するかもしれない。今回の4モデルは、いずれもおすすめできる製品だが、用途の吟味が重要。ペットなら富士通ゼネラル、在宅介護なら三菱が好適。ブルーエア機は空清にも、パナソニック機は除菌にも秀でる。

監修/中村 剛(「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権優勝)
◆Profile/「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。→「くらしのラボ」はこちら

取材・執筆/市川政樹(テクニカルライター)

※価格は記事制作時のものです。

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