サウンドバータイプのスピーカーは、薄型テレビの手前に設置して手軽に使えることが魅力。バーチャルサラウンド機能を備えたモデルも多く、映画やゲームの音声を、迫力あるサラウンド音声で楽しめることも魅力だ。しかし、リビングでの用途を意識したモデルが多く、横幅が60cmから1m前後と、個室などで使うにはややサイズが大きいものが主体だ。
サウンドバーとは、薄型テレビの音をグレードアップさせる横長のスピーカー
薄型テレビは、その名の通り、画面が薄いデザインになっており、壁掛け設置もしやすくなっている。
最近では、大画面化に伴って省スペース化も進んできており、正面から見るとほとんどが画面であるなど、テレビ周囲の枠(ベゼル)も細枠になってきている。
このため、スピーカーの内蔵スペースがどんどん狭くなり、結果的に音質が犠牲になっていることも少なくない。
そんな薄型テレビの音をグレードアップするのが、サウンドバーと呼ばれるスピーカー。
テレビの手前に置ける横長のスリムなスピーカーで、設置性に優れ、バーチャルサラウンド機能も備えることから、映画などもより迫力ある音で楽しめる。
そういったモデルの多くは、大画面の薄型テレビ向けのものが多く、比較的コンパクトなものでも、60cm前後、多くの製品では1m前後の横幅がある。
基本的に、リビングのような広い部屋で使うことを想定しており、横幅の短いモデルはあまり多くない。
横幅の短いコンパクトなサウンドバーが出始めている
ところが今では、20~30インチ前後が主流のPCモニター用に、横幅の短いコンパクトなスピーカーが登場してきている。
横幅は40cm前後と短いものの、スリムでコンパクトなスタイルは明らかにサウンドバー。
テレビやPCモニターの手前に置くスタイルも同様だ。
PCとの組み合わせを想定しているため、HDMI端子はもたず、アナログ入力のみのシンプルな製品が主体だ。
こうしたコンパクトなスピーカーを、PC用スピーカーとしてだけでなく、個室用の中~小画面の薄型テレビ用スピーカーとして使う人が増えてきているという。
人気のモデルとしては、クリエイティブメディアの「Stage Air」(実売価格 5378円前後)という製品がある。
横幅41cmのステレオスピーカー内蔵モデルで、コンパクトなサイズに加えて、約6時間使えるバッテリーも内蔵。
Bluetooth対応なので、スマホ用スピーカーとしても使用できる。
もともとはPC用スピーカーだったが、価格が安価なこともあり、個室用のテレビ用スピーカーとして使う人もいるなど、人気が高まっている。
Stage Air
SP-STGEA-BK
人気オンラインゲーム「FF XIV」推奨スピーカーの「パナソニック SC-HTB01」
コンパクトなサウンドバーで、しかもバーチャルサラウンド機能も充実した本格的なモデルが欲しいという人もいるだろう。
そんな人におすすめなのが、パナソニックのSC-HTB01(実売価格 4万1380円)。
横幅43cmのコンパクトなボディに、ハイレゾ対応の2ウェイスピーカーを内蔵。
さらに低音用のサブウーファーと上下対向配置のパッシブラジエーターを備えており、コンパクトサイズでも迫力のある音を楽しめる。
しかも、最新のサラウンド方式である「ドルビーアトモス」「DTS:X」に対応。
高さを持った立体的なサラウンド空間を再現できる、3Dサラウンド機能「DTS Virtual:X」を備えるので、本格的なサラウンド再生が楽しめる。
人気オンラインゲームの「FF XIV」推奨の高音質設計に加え、ゲーム用の音声も、広大なスケール感が味わえる「RPGモード」、前後左右の音の定位が精密な「FPSモード」、ムービーシーンなどでの声の再現を重視した「ボイス強調モード」があり、好みに応じて使い分けができる。
サイズがコンパクトなので、PCを置いた机の上でも使えるし、プライベートルームの狭いスペースでも使いやすいモデルだ。
価格は高めだが、ドルビーアトモスやDTS:X対応ということで機能は本格的。
4K/60pやHDR対応のHDMI入出力を備えるので、UHD BDプレーヤーやゲーム機など、さまざまな機器と接続できるのも便利だ。
シアターバー
SC-HTB01
まとめ
コンパクトでもサラウンド再現は本格的。個室用にはぴったり
パナソニックのSC-HTB01は、コンパクトなサイズとはいえ、DTS Virtual:Xの3Dサラウンド機能は後方の音までなかなかリアルに再現するし、音の広がりは前後左右や高さ方向も優秀で、音に包まれるような感覚がしっかり得られる。
コンパクトなサウンドバーというと、機能的にはシンプルなモデルが多いが、本機のような本格的なモデルもあるので、PC用やゲーム用としてもかなり優秀だ。
プライベートルームで、自分専用のホームシアターが欲しいという人にはぴったり。ぜひとも試してみてほしい。
鳥居一豊(AVライター)
オーディオ、AVの分野で活躍するAVライター。専門的な知識をわかりやすく紹介することをモットーとしている。自らも大の映画・アニメ好きで自宅に専用の視聴室を備え、120インチのスクリーン、有機ELテレビなどを所有。サラウンド再生環境は6.2.4ch構成。