自宅のオーディオシステムで音楽を聴く、といってもCDやパソコンに限らず、ハイレゾ音源のネットワークオーディオや、サブスクリプション形式の音楽配信など、さまざまなスタイルがあるこの時代。スピーカーを鳴らすためのオーディオアンプに、さまざまな機能を内蔵した製品も発売されている。オーディオレシーバーとも呼ばれるこのタイプの製品のおすすめを紹介しよう。
ネットワークプレーヤー機能をアンプに内蔵したレシーバー
据え置き型の一般的なスピーカーを鳴らすには、オーディオ信号を増幅するためのアンプ機能が必要だ。
アンプ機能に、CDプレーヤーやレコードプレーヤー、ラジオチューナーなど複数のオーディオ機器をつなぐため、多系統の入力端子と切り替え機能を一体化したものが、プリメインアンプと呼ばれる機器である。
しかしいまでは、オーディオの世界も進化しており、パソコンやNASなど、LAN上に保存されているハイレゾ音源をネットワーク経由で再生したり、radiko.jp や Spotify、Apple Music といったサービスをインターネット経由で楽しめるようになった。
そういったネットワーク機能を使える単体のプレーヤーは「ネットワークプレーヤー」などと呼ばれているが、いまではプリメインアンプにネットワーク機能を内蔵した製品もある。
それが、オーディオレシーバーやネットワークレシーバー、ネットワークオーディオレシーバーなどと呼ばれるタイプの機器だ。
レコードをつなぐならフォノ入力を確認
機器の台数が少なくまとまるというメリットもあり、アンプを買い換えるときに、このタイプを選べば最新のネットワーク機能が手に入る。
多系統のアナログ/デジタル音声入力端子を備えているので、これまでに愛用してきたCDプレーヤーやレコードプレーヤーをそのまま繋ぐことももちろん可能だ。
また、テレビの音質が物足りないなら、テレビの光デジタル出力からレシーバーの光デジタル入力につなげば、ビジュアル方面のサウンドも、オーディオシステムにまとめてグレードアップできる。
なお、フォノイコライザー非内蔵のレコードプレーヤーをつなぐためには「フォノ入力」が必要となる。一部には非搭載の製品もあるので、チェックしておこう。
ハイレゾにももちろん対応、注目のDSDが再生できる
ネットワークレシーバーは、さまざまな方法で音源を再生できる。
ルーターを中心とした家庭内LANにつながっている機器(パソコンやNAS)に保存された音源はもちろん、USBメモリを挿し、メモリ内に保存した音源を再生することも可能。
ネットワーク機能がいまいちよくわからない、という場合は最初はここから始めるとわかりやすい。
音源は、一般的なWAVやFLAC、MP3やAACといった形式に対応。
いまではハイレゾ対応が当たり前で、音質劣化のないWAVやFLACは、最高24ビット/192kHzまで再生できるのが一般的。また、新世代のDSD音源も対応が進み、本記事で紹介している製品はすべてDSDが再生できる。
radiko や Spotify に対応した製品もある
ネットワークレシーバーは、基本的にAM/FMチューナーを内蔵してラジオが聴けるが、電波状況が優れずノイズが入る、ということもあるだろう。
いまは、インターネット経由でラジオ放送が楽しめる radiko.jp 対応製品もあり、単体でクリアに番組が楽しめる。radikoプレミアム 対応製品なら、遠隔地の番組を聴くことも可能だ。
ほかにも、Spotify や TurnIn、Chromecast などさまざまなサービスがあるが、製品によって対応サービスは多少の違いがある。
また、多くの製品がアップルの「AirPlay」に対応している。
これは iPhone や iPad といった iOS機器と Mac の音声をワイヤレスで鳴らせる機能。それではちょっと分かりづらいかもしれないが、iPhone のミュージックアプリや、Mac の iTunes の音をレシーバーから鳴らせるということであり、自分のライブラリはもちろん、AppleMusic も楽しめる。
Wi-Fi対応で設置場所の自由度が高まった
ネットワークレシーバーは、基本的にネットワーク(LAN)に繋ぐ必要がある。
ルーターの近くに設置できる場合は有線でつなげばいいが、オーディオシステムは、パソコンから離れた場所に置きたいことも多いはずだ。いまはほとんどの製品がWi-Fiを内蔵しており、設置環境は選ばないようになっている。
また、ワイヤレスという点では Bluetooth 対応も便利。
スマホやパソコンからネットワークレシーバーにつなぎ、音楽を鳴らすことができる。このように多彩な機能を備え、どうにでも使いこなし方が考えられるのが現代のネットワークレシーバーだ。
AVアンプをオーディオ中心に使う方法もある
プリメインアンプのようなオーディオアンプでは、まだネットワーク機能は、搭載して当たり前の標準機能ではない。
そのため、ネットワークレシーバーと区別されることがあるのだが、その一方で、音声と映像をまとめて取り扱う機器のAVアンプでは、ネットワーク機能はごく当たり前のものとなっている。
AVアンプは、5.1chや7.1chといったサラウンド環境を使えるのだが、実は、2chステレオ環境向けにもセッティングできるので、オーディオ用途を中心に使ってもいい。
テレビやゲーム機のサウンドもまとめたいなら、映像入力もまとめてコントロールできるAVアンプは便利だろう。
ただし、AVアンプはオーディオアンプに比べると本体サイズ、特に厚み方向が大きな製品が多い。最近はオーディオ用途も重視した薄型機も出ているので、そういった製品もチェックしてみよう。
おすすめのアンプ/レシーバー
ヤマハ
ネットワークオーディオレシーバー
R-N303(S)
ネットワークオーディオレシーバー
R-N303
三種類の製品が用意されるヤマハのネットワークレシーバーの中でも、最安となる入門機的存在でありながら、機能は充実。radikoやSpotify、AirPlay、Bluetooth対応、DLNA経由でのハイレゾ音源再生などかなりの多機能で、フォノ入力も備えてレコードプレーヤーもつなげる。Wi-Fiも搭載。カラーはブラックも用意される。
オンキョー
ネットワークステレオレシーバー
TX-8250(S)
ネットワークステレオレシーバー
TX-8250
AirPlay や DLNA、radiko、Spotify、さらに Chromecast にまで対応しているネットワークレシーバー。オンキヨー独自のワイドレンジ技術「WART」により駆動力もハイパワー。フォノ入力も搭載している。もちろんWi-Fiも内蔵し、配置場所も選ばない。
パイオニア Pioneer
ネットワークステレオレシーバー
SX-S30(S)
ネットワークステレオレシーバー
SX-S30
スリムな本体デザインも特徴のレシーバー。Wi-FiやBlueoothを搭載、radikoやSpotify、AirPlay、Chromecastなどに対応している。基本的にオーディオレシーバーだが、4系統のHDMI入力も備えオーディオリターンチャンネル(ARC)にも対応しているので、テレビやブルーレイなど、映像機器のサウンドをまとめ高音質に楽しむためにも使える製品だ。
ヤマハ
ネットワークHiFiレシーバー
YAMAHA R-N803(S)
ネットワークHiFiレシーバー
R-N803
高音質を求める人にも注目してほしい、ヤマハのネットワークレシーバーの中で最上級となる製品。基本機能が充実しているのはもちろんだが、付属の測定用マイクを活用し、部屋の音響特性やスピーカーの性能に合わせて最適なセッティングを自動的に行える自動音質補正機能「YPAO」を搭載。ヤマハ伝統の設計思想「ToP-ART」に沿って設計され、DACやネットワークモジュールなど採用パーツにもこだわる。カラーはブラックも用意。
Marantz マランツ
AVレシーバー
NR1710/FN
Dolby Atmos Height Virtualizer
NR1710
8系統ものHDMI入力を備え、最大7.1chまでのサラウンドスピーカーに対応できるAVアンプだが、ネットワークオーディオ機能が充実しているため、オーディオをメインの目的に2chステレオ環境で使う人にも人気が高いシリーズの最新機種。音質にも定評があり、本体もスリムで設置しやすい。ハイレゾ音源再生やAirPlay、Spotifyといった機能はもちろんサポート、Wi-FiやBluetoothを内蔵し、フォノ入力でのレコードプレーヤー接続も可能だ。カラーはブラックも用意される。
まとめ
ネットワークオーディオレシーバーは、プリメインアンプにネットワークオーディオ機能を内蔵したオーディオ機器。
スピーカーやCDプレーヤーがつながるのはもちろん、ハイレゾ音源のネットワーク再生やストリーミングサービスにも単体で対応できる。
今どきのオーディオシステムをシンプルにまとめたい人にはお勧め。AVアンプをオーディオ中心に使うことも可能だ。
◆大坪知樹
オーディオやPCといった記事を多く手がけてきたが、ガジェットはもちろん白物家電、クルマ・バイク、模型や玩具、時計に服・靴など基本的にモノが好きな物欲系フリーランスライター。