本機は、7チャンネルのスピーカー出力はすべてバナナプラグ対応でぜいたくな作りとなっている。さまざまな機能を盛り込みながら、音質の点でも同クラスの製品と遜色のないレベルに仕上げているのがみごと。音楽配信サービスやネットワーク音楽再生も手軽に楽しめる。人気の高さも納得だ。
「今どきオーディオ」徹底辛口テストマランツ NR1710
実売価格例:7万3430円
プロフィール
薄型のボディに7チャンネルパワーアンプを内蔵し、ドルビーアトモス、DTS:Xに対応したAVアンプ。バーチャル3Dサラウンド機能も搭載している。多彩なサラウンド構成に対応するほか、ステレオ再生でもバイアンプ駆動など、幅広い使い方ができる。GUI設定もわかりやすい。
スピーカー端子はバナナ対応
7チャンネルのスピーカー出力はすべてバナナプラグ対応と、ぜいたくな作りとなっている。
機能性ドルビーアトモスなどサラウンド規格の対応は万全
ドルビーアトモスとDTS:Xに対応するなど、サラウンド規格への対応は万全で、最新のバーチャル3Dサラウンド技術である「ドルビーアトモス・ハイト・バーチャライザー」にも対応する。さらに、FM/AMチューナー、フォノ入力も備える。そして、ネットワーク機能は独自の「HEOSテクノロジー」を採用し、音楽配信サービスやネットワーク音楽再生も手軽に楽しめる。ほぼすべての映像・音楽メディアを網羅しているといっていい。
こうした多彩な機能は、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェースの略。テレビの画面などを利用して、図や画像で見やすく説明すること。)で設定や操作もスムーズに行える。GUIの初期設定のガイドもわかりやすいし、スピーカー端子が色分けされているのも親切だ。初心者でも戸惑うことなく多彩な機能を使えるだろう。
音質回路設計をすべて見直し、音質を磨き上げた
まずはステレオ再生で音楽を聴いてみたが、S/Nもよく、情報量豊かに音楽を再現する。このあたりは、ディスクリート構成のパワーアンプの採用に加え、電源部の強化などが効いているだろう。本機ではDAC(ダック)基板を独立させ、信号ラインやグラウンドのパターンを見直すなど、回路基板をすべて再設計し、音を磨き上げている。
ボーカルはみずみずしい鳴り方で、ニュアンスもよく伝わる。伴奏の楽器の音もナチュラルなもの。ただし、ハイファイ用のステレオアンプと比べれば、音像の厚みや音の充実度で多少の差はある。
サラウンドでは、立体的な空間の再現もしっかりとできており、ドルビーアトモスなどの立体音響を存分に楽しめた。バーチャル3Dサラウンド機能もなかなか効果的で、天井などにスピーカーを設置できない人には有効。アクション映画での重低音も、きちんと鳴らす実力を持つ。サラウンドの空間表現も十分に優秀だが、もっと音像の定位がシャープだとよかった。
最近のテレビ用ラックにも収まるサイズのモデルとしては、十分な実力だ。
採点表
スリムな筐体ながら音楽を情報量豊かに再現する
音質(ステレオ) | ★★★★ |
---|---|
音質(サラウンド) | ★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
コメント
これだけの機能を盛り込みながら、音質の点でも同クラスの製品と遜色のないレベルに仕上げているのがみごと。人気の高さも納得。
※執筆時が2019年9月のため、製品の「実売価格例」は、消費税8%込みの額を表記しています。ご了承ください。
解説/鳥居一豊(AVライター)