ブルーエア「クラシック 490i」、シャープ「KI-LP100」、パナソニック「F-VXS90」、ダイキン「MCZ70W」、ダイソン「Dyson Pure Hot + Cool」の5機種に注目だ。空気清浄機選びのポイントは、「対応畳数・適用床面積」、「フィルターの特徴とメンテナンス性」、付加機能(イオン、加湿、除湿、ヒーター)やWi-Fi対応など多岐にわたるため、この機会に知っておこう。
目指せ!家電選びの達人今回の家電は「空気清浄機」
ウイルスなどの有害物質を抑制し、健康的で快適な空間作りをサポートする空気清浄機。花粉症の緩和や、ペットのニオイの解消といったニーズが広がり、家庭への普及率は4割を超えている。今回は主要各社の注目機をチョイス。進化を続ける空気清浄機の現状を紹介する。
監修者のプロフィール
中村剛
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。
空気清浄機
花粉やニオイ対策に有効。加湿、除湿、ヒーター付きも
昨今は、家屋の機密性が高まり、冷暖房の空気が部屋から逃げにくくなった半面、空気の汚れが室内にこもりやすくなっている。住宅の建材・家具から生じるホルムアルデヒドやVOC、ダニのフンなどのアレルゲン、人やペットから出るニオイや雑菌のほか、外から持ち込んだ花粉やウイルスなども室内に保持してしまいがち。
そこで役立つのが、空気清浄機だ。室内の空気を吸い込み、フィルターで汚れを集塵するのが、その大まかな仕組み。直径0.1マイクロメートル以上の粒子を99%以上除去できるものが一般的で、アレルギーの緩和、風邪の予防、ニオイ除去などに力を発揮して、クリーンな環境を提供する。
花粉症対策に有効なほか、最近はスマホと連係し、空気のクリア度を数値やグラフで「見える化」するものも増え、より利用効果を実感しやすくなった。
また、近年は脱臭のニーズが高まり、各メーカーが力を入れている。
空気清浄機選びの"チェックポイント"
■「対応畳数・適用床面積」の選び方
対応畳数・適用床面積とは、たばこ5本分の煙を30分かけてきれいにできる広さの目安のこと。同じ広さで使う場合、この数値が大きいほど、スピーディに空気を浄化できる。そのため、推奨畳数を最低限の目安として、大きめの製品を選ぶのがおすすめだ。
■空気の吸込方式・設置場所
気流を起こす方式は、機種によってまちまち。そのため設置場所を決めるには、空気の吸込口や吹出口の位置も考慮する必要がある。また、運転中は部屋の空気をかくはんするために気流を起こすので、その導線を遮らないことも重要だ。
■フィルターの特徴とメンテナンス性
10年交換不要の長寿命フィルターは、月に1〜2回プレフィルターに掃除機をかけるなど、手入れをする必要がある。半年〜1年ごとに交換するタイプは、掃除などのメンテナンスがほとんど必要ない。国内製品は前者が、海外製品は後者が多くなっている。
■付加機能(イオン、加湿、除湿、ヒーター)
機種によっては、加湿や除湿、ヒーター、イオンなどの付加機能を搭載しているものもある。一台で複合的に使えるが、そのぶん本体サイズや価格にも影響がある。必要な機能を見極めて選択したい。
■Wi-Fi対応
Wi-Fiを内蔵し、スマホと連係できる機能。部屋の空気の状態を数値やグラフで表すほか、外出先から電源操作やモード切り替えなどが可能。外気状況も確認できるため、空気清浄機の利用効果が実感できる。
なお、一見同じように見える空気清浄機だが、空気清浄に特化した単機能タイプのほか、加湿や除湿、ヒーターなどの付加機能をプラスした複合タイプもある。今回は、注目の5モデルを取り上げ、それぞれの特徴を見ていこう。
単機能か、加湿付きか
評価の高いブルーエア。イオン搭載の2社も人気
まず、空気清浄に特化した単機能モデルは、先述の複合タイプに比べるとボディが小さめで、設置性が高いものが多い。ケアする箇所が少なく、手入れが簡単というメリットもある。作りがシンプルなぶん、故障もしづらいので、長く確実に使いたいという向きに人気がある。
代表的なのが、ブルーエアのモデルだ。操作は、空清の運転モードを選ぶだけ。フィルターは半年に一度交換する仕様なので、掃除も不要だ。交換のたびにコスト(標準の「デュアルプロテクションフィルター」の実売価格例は、1万6500円。)が発生するが、その代わり、常に新品同様の性能維持が保証されている。ちなみにブルーエアは、性能面での評価が非常に高く、厳格といわれる空気清浄機の世界基準「CADR」でも、最高値以上をクリアしている。
独自のフィルターは、粗さの異なる三層構造で、目詰まりが起こりにくく、常に大風量で浄化が可能。除臭性能が高いココナッツカーボン製のフィルターを採用し、ニオイの除去スピードも倍増した。
■ブルーエア
クラシック 490i
実売価格例:8万6020円
クラシック 490i
104744
空気の吸込口 | 空気の吹出口 |
側面 | 側面 |
脱臭を追求したスウェーデン製高性能モデル
スウェーデンの空気清浄機専門メーカーによる高性能モデル。脱臭を追求した独自フィルターとテクノロジーを駆使し、高い除去率を実現。天面がフラットなため、ペットが乗っても安心。
●ニオイ除去に特化した新フィルター
除臭性能が高いココナッツカーボン使用の新フィルターを搭載。生活臭を5分で99%以上取り除き、従来のダストフィルターに比べて、除去スピードが約2倍となった。
●HEPASilentテクノロジー
ブルーエア独自の空気清浄技術。イオナイザーを通過する際にマイナス帯電させた汚染物質を、プラス帯電させた多層構造フィルターでキャッチ。高い除去性能とハイスピード清浄を両立。
●フィルター掃除が不要
フィルターが汚れると性能が保持できないとして、6ヵ月に一度、フィルターを交換する仕様。そのため、フィルターの掃除が不要になっている。
●シンプルな北欧デザイン
「いいものを長く使う」という北欧スタイルに基づいたスマートデザイン。数々のデザイン賞を受賞している。
一方、空気清浄機に、加湿機能をプラスして、湿度もフォローするのが加湿空気清浄機だ。現在販売されている空気清浄機の大半が、このタイプである。製品のバリエーションが多く、価格やサイズが多彩で、自分に合ったものを探しやすいほか、人気やトレンドの機能を積んだフラッグシップモデルがそろうのも、このカテゴリーのポイントといえる。
代表的なのは、シャープとパナソニック。センサーを多用した効率運転や、プレフィルターの自動掃除機能など、目新しい機能も魅力だが、定番の人気は、イオン機能(シャープは「プラズマクラスター」、パナソニックは「ナノイー」)だ。]
イオンは、カビ菌の除去やウイルスの抑制、静電気の除電や保湿などに効果があり、空気が循環できないソファーの下やカーテン裏に入り込んで、浄化をサポートする働きがある。消臭にも高い効果を見せ、最上位機種では、濃度の高いイオンを放出することで、ニオイ対策を強化した。
搭載している加湿機能は、フィルターに水を染み込ませて蒸発させる気化式で、飛散力が高く運転コストが安い。加湿フィルターは衛生面が考慮されているが、手入れを怠るとカビが発生するため、加湿利用時は週1回程度、メンテナンスが必須となる。
■シャープ
KI-LP100
実売価格例:11万4630円
加湿 空気清浄機
KI-LP100
空気の吸込口 | 空気の吹出口 |
背面 | 上面 |
プラズマクラスターNEXT搭載の加湿空清
プラズマクラスターNEXTを搭載し、空気清浄効果が格段にアップ。ユーザーの使い方の好みを学習するAIoTクラウドサービス「COCORO AIR」にも対応し、より快適な空間作りを行う。
●プラズマクラスターNEXT
5万個/㎥にイオン濃度を高めたプラズマクラスターNEXTを搭載。静電気を除去し壁や衣類から花粉を落とす効果があるほか、ウイルスやカビ菌の抑制、消臭などをスピーディに行う。
●COCORO AIR
クラウドとAIが運転状況や空気の情報を分析・学習。天気や生活シーンに応じて、運転を最適化する。ペットに合わせた運転を行う専用モードも搭載。
●三つのフィルター(HEPA/脱臭/ホコリブロック)
プレ+HEPA+脱臭の三段構造。プレフィルターは、自動掃除パワーユニットによりホコリを除去。HEPAフィルターは静電気を帯びているため、汚れを吸着して目詰まりしにくい。
●人感センサー/効果実感モード
人感センサーが人の不在を検知すると、パワフル運転で徹底浄化。帰宅時にきれいになった空気で出迎える。
エアコンに空気清浄機能を搭載!
■シャープ
Airest L-Pシリーズ
実売価格例:26万1800円(AY-L28P・10畳用の場合)
Airest
AY-L28P
■パナソニック
F-VXS90
実売価格例:8万2500円
空気の吸込口 | 空気の吹出口 |
前面左右・下 | 上面 |
ナノイーXを搭載し、花粉対策を徹底強化
前面下部にある吸引口から、花粉やペットのフケなどの重い汚れもしっかり吸引。花粉撃退モードも備え、花粉対策を強化した。ナノイーXは、加湿部分の除菌にも活用している。
●ナノイーX
ナノイーの10倍量のOHラジカルを含むナノイーXを搭載。空気中に放出することで、10種類以上の花粉の無力化や、ニオイの抑制、菌やウイルスなど汚染物質の分解をパワフルに行う。
●HEPA集じんフィルター/スーパーナノテク脱臭フィルター
プレフィルター+HEPAフィルター+脱臭フィルターの三段構造。活性炭を粒状にしてフィルター枠に貼り付けた「スーパーナノテク脱臭フィルター」で、ニオイを強力に吸収。
●ハウスダストセンサー
約0.3マイクロメートルの粒子まで検知可能な高感度センサー搭載。煙やアレルゲン物質など、目に見えない汚れも逃さず見つけ、スピーディに吸い込む。
●IoT機能
アプリで1時間ごとの部屋の空気の変化や、加湿の給水タイミングをお知らせ。動画で手入れ方法も確認できる。
特徴的な付加機能
除湿付きのダイキン、ヒーター搭載のダイソン
加湿機能に加え、除湿機能も搭載したのが、ダイキンだ。冬に加湿、梅雨時期は衣類乾燥、夏は除湿ができ、1年を通して湿度の調整をサポートする。最新モデルでは、同社エアコンの運転に合わせて、除加湿の本格的なアシストができるようになった。また、加湿によって室内に染みついたニオイ分子を浮き立たせ、除湿でニオイの回収を行うことで、壁紙やソファーの脱臭につなげている。
空気清浄面では、汚れの分解威力が2倍となった「ツインストリーマ」を搭載。脱臭性能がグレードアップしたほか、汚れの分解や除菌スピードも従来の倍になり、より早くクリーンな環境が得られるようになった。ツインストリーマは、加湿部分や集塵フィルターの浄化にも使われており、衛生面が強化されている。
■ダイキン
MCZ70W
実売価格例:14万7840円
うるるとさらら空気清浄機
MCZ70W
空気の吸込口 | 空気の吹出口 |
前面左右・下 | 上面 |
加湿+除湿で脱臭や衣類乾燥にも効果的
加湿と除湿機能を備え、部屋の脱臭や衣類乾燥にも多彩に使える一台。最新機は、威力が2倍になった分解ユニットや、性能が落ちにくい新型フィルター、エアコンとの連係が特徴。
●ツインストリーマ/アクティブプラズマイオン
強い酸化分解力を持つストリーマを2倍にしたツインストリーマで、汚れの分解スピードが向上。さらに「アクティブプラズマイオン」の放出で、部屋のニオイや湿度を整える。
●TAFUフィルター/脱臭フィルター
撥水・撥油の加工が施され、汚れが広がりにくいTAFU(タフ)フィルターを採用。静電力がキープできて性能が低下しにくく、10年後でも70%以上の集塵力を維持する。
●除湿+加湿機能搭載
季節に応じて除湿・加湿を行い、一年中部屋の空気を快適に整える。加湿で浮き立たせたニオイを除湿で回収する独自機能「水de脱臭」も搭載した。
●IoT機能
アプリで同社のエアコンと連係が可能に。エアコンの運転に合わせて、空気の循環や湿度調整のアシストを行う。
ダイソンも、通年使える付加機能が売りだが、こちらはヒーターと送風機能で、扇風機&温風ヒーターとして利用できる。
A4サイズで置けるコンパクト設計だが、パワフルな風が遠くまで届くため、広い部屋でもしっかり空気を循環。360度方向から空気を吸い込むので、部屋の真ん中に設置できるところも特徴だ。空気の状態は本体のディスプレイに表示され、リアルタイムで確認が可能。フィルターは1年で交換するタイプとなる(※「活性炭フィルター」の実売価格例は3300円。「グラスHEPAフィルター」の実売価格例は4400円。)。
■ダイソン
Dyson Pure Hot + Cool
実売価格例:7万7000円
Dyson Pure Hot + Cool
HP04WSN
空気の吸込口 | 空気の吹出口 |
下部側面全周 | 上面 |
一台で空気清浄機+扇風機+ヒーターの3役をこなす
設置面積A4サイズのコンパクトボディに、空気清浄機、扇風機、ヒーターの3役が詰まった一台。毎秒290リットルの空気を送り出す「Air Multiplierテクノロジー」で、きれいな空気を遠くまで放出する。
●グラスHEPAフィルター/活性炭フィルター
密閉度の高い360度グラスHEPAフィルターがPM0.1レベルの微粒子を捕獲。活性炭フィルターは、有害ガスやニオイを除去する。いずれも年に一度交換する仕様で、水洗いや掃除などのケアが不要だ。
●空気の状態をお知らせ
VOCやPM2.5など、空気中に浮遊する粒子やガスをセンサーで検知。データを独自のアルゴリズムで処理し、空気の状態を本体のディスプレイで表示。
●空気清浄ファン&ファンヒーター
毎秒290リットルの風を送り出す独自機構で、きれいな空気を遠くまで放出し、空気を循環。ヒーター搭載で、寒い時期はファンヒーターとして利用可。
●Dysonリンクアプリ
アプリでは、予約の設定やリモコン操作、空気の状態のモニタリングが可能。フィルターの寿命も知らせてくれる。
なお、シャープ、パナソニック、ダイキンは、長寿命フィルターを採用しており、10年間交換不要をうたっている。ブルーエアは半年、ダイソンは1年など、同じ空気清浄機でも考え方が違うので、購入前にチェックしておきたい。
■フジコー
ブルーデオ MC-S1
実売価格例:2万9480円
光触媒フィルター採用の小型空気清浄機
本機では、強力な分解力を持つ光触媒フィルターを採用。捕獲した花粉やウイルスをフィルター上で分解するため、フィルターが汚れず、交換が不要となっている。コンパクトなので、狭いスペースにも設置可能だ。
ブルーデオ
MC-S1
まとめ
空気清浄機は、加湿・除湿などの付加機能が増えるほど、本体内にスペースが必要となり、大型化して価格も上がる傾向にある。
付加機能を便利に使うぶんには問題ないが、買ってはみたものの、手入れがめんどうで使わなくなるというケースも少なくない。
どんな機能が必要で、メンテナンスはどの程度の手間がかかるのかなど、事前の確認が重要だ。
ミスマッチを防ぎ、長く役立ててほしい。
※価格は記事作成時のものです。
取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)