先日、女性アイドルの自宅に侵入したストーカーの裁判で明らかになった「犯行に至るまでの手段」が、背筋も凍るようなテクニックだった。女性がSNSなどに投稿した写真から居住マンション、部屋番号を特定したようだ。ここでは、ネットストーカーの行為を紹介するとともに対策も解説する。
毎日のように起こるネットがらみの事件。注目の事例を紹介するとともに、その対策も解説していこう。
解説者のプロフィール
福田利夫(ふくた・としお)
デジタル関連のフリーライター。インターネット以前のパソコン通信時代からのネット民。家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。
あなたもねらわれている!?
ネットの“アブない”事件簿
女性アイドルの自宅に侵入したストーカーの裁判で明らかになった「犯行に至るまでの手段」が、背筋も凍るようなテクニックだった。
犯人は、ネットから女性の目撃情報を収集し、利用している鉄道路線を推測。女性が駅のホームで自撮りしてSNSに投稿した写真を拡大して、瞳に映った建物や看板などから、最寄り駅と居住するマンションを特定し、何階ぐらいなのかまで推定。そして、女性が自宅からライブ動画を配信しているときに、当該マンションの同じ階にある部屋のインターホンを次々と押し、動画の中でチャイムに反応する動きを見極めることで、部屋番号まで突き止め、部屋に侵入したという。
もちろん、一般人でもネットストーカーの被害に遭うこともありうる。一つ事例を挙げると、道に珍しい物(例えば「カニ」)が落ちていると、つい写真に撮ってSNSに投稿したくなる。しかし、それこそがストーカーの罠。わざとカニを道に置いておき、それをSNSに投稿させれば、「カニ 落ちている」などと検索することで、ねらった相手のアカウントを特定できるというわけだ。そこから、個人情報を特定したり、嫌がらせの投稿をしたりと、エスカレートすることがある。
やはり、SNSへの写真投稿には、細心の注意が必要なのである。
処方箋
写真投稿するなら、以下を厳守。写真に位置情報を付けない。居住地付近の店で撮ったら、コメントで店名を明かさない。風景や周囲の様子がわからないよう、アップで撮影する。自撮り画像を投稿するなら、スタンプ加工などで顔を隠す。友だちのSNS投稿はタグ付けを断る。
今回のネットのアブない事件簿
「 ネット(SNS)ストーカー事件」
アイドル活動をしている女性に近づく目的で情報を収集。ネット検索などにより、女性の目撃情報を見つけて、利用している鉄道路線を推測。女性がSNSなどに投稿した写真から居住マンション、部屋番号を特定。女性の部屋に侵入し乱暴した。その後、犯人は逮捕され、裁判で起訴内容を認めている。
犯行に使われた手口はコレだ!
❶SNS画像の瞳に映った景色を分析
最近のスマホカメラは高画質なので、かなり拡大しても場所を特定できるほど精細さがある。
❷「Googleストリートビュー」で最寄り駅を特定
駅の屋根の形や看板などから、「Googleストリートビュー」で最寄り駅を見つけて待ち伏せ。
❸ライブ動画配信中にチャイムを押して部屋を確認
女性がライブ動画を配信中に、インターホンのチャイムに反応したことで、部屋番号も特定。
ネットストーカーが行う嫌がらせ行為の例
●SNSなどで一方的な好意を抱き、しつこくいい寄る。
●ブログや掲示板などに誹謗中傷を書き込む。
●無言電話や連続したメール・SNSのメッセージなどを送りつける。
●相手の行動や服装をメッセージや電話で伝える。
●わいせつな写真を送りつけたり、ネットに掲載したりする。
解説/福田利夫
イラスト/早川修