LTEの登場から10年を経て、次世代通信方式である「5G」がスタート。ここでは、5Gの基礎の基礎をQ&A形式でわかりやすく案内していこう。
ついに始まった5G!
携帯通信はほぼ10年ごとに進化している!
通話のみの携帯電話に始まり、現在の超多機能なスマホまで、携帯通信の進化は社会や生活習慣を大きく変えてきた。
そして、LTEの登場から10年を経て、次世代通信方式である「5G(ファイブジー)」がスタート。ここでは、4Gとの違いから展開エリア、5G向けサービス例、対応スマホの実力、料金プランの比較まで、気になる5Gのすべてをわかりやすく案内していこう。
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. そもそも5Gって何?4Gと何が違う?
携帯電話のネットワークは、おおむね10年ごとに進化を遂げている。2010年ごろから使われているのがLTEという技術で「4G(第4世代)」と呼ばれる。
そして、今年の春に本格サービスが始まった「5G(第5世代)」は、4Gよりも高速かつ大容量の通信ができ、通信時の遅延がより少なく、一度に多くの端末が接続できることなどを特徴としている。
また、4Gでは3.6Gヘルツ以下の周波数が用いられていたが、5Gでは、より高い周波数帯が使われる。特に、ミリ波と呼ばれる28Gヘルツの超高周波帯は、従来は携帯電話には向かないとされていたが、技術の進歩によって、効率よく利用できるようになったわけだ。
5Gは将来的には下り最大20Gbpsの通信速度を実現する見通しだ。そうなると、光ファイバーによる固定回線に代わるインフラになる可能性も持っている。
●4Gと5Gの主な違い
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. どのキャリアで始まっているの?どこで使える?
5Gの商用サービスは、2020年3月から3大キャリアが開始した。
ドコモは、全国150ヵ所、500局からスタート。開始時点で5Gにつながるのは、全国の主要な駅・空港、東京五輪で使われる予定のスポーツ施設、一部のドコモショップなど。
しかし、該当するスポットのどこにいてもつながるわけではなく、アンテナから近い場所に限られる。例えば、東京では羽田空港は5Gエリアだが、JR東京駅や新宿駅などはエリア外で、現状では非常に限られた場所でしか使えないのだ。
auは、全国15都道府県の一部地域からスタートさせた。市町村全体をカバーしているエリアはなく、「東京都新宿区西新宿の一部」のように、やはり、かなり限定的。
ソフトバンクは、7都府県の一部地域から開始と、エリアはさらに限られる。各キャリアとも、全国の広範囲で使えるようになるのは、2022年の春ごろだろう。
●5Gサービスの比較
キャリア | ドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク |
サービス開始 | 3月25日 | 3月26日 | 3月27日 |
割当周波数帯 | 3.7G/4.5GHz帯(3.6GHz、4.5GHz)、28GHz帯(27.4GHz) | 3.7GHz帯(3.7GHz、4.0GHz)、28GHz帯(27.8GHz) | 3.7GHz帯(3.9GHz)、28GHz帯(29.1GHz) |
基盤展開率 (2024年度末目標) |
97.0% | 93.2% | 64.0% |
受信時最大速度 | 開始時3.4Gbps。6月に最大4.1Gbps | 開始時2.8Gbps。夏以降最大4.1Gbps | 開始時2.0Gbps |
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. 5Gはスマホ以外の機器でも使える?
5Gはスマホだけでなく、多様な通信機器での利用が想定されている。
ドコモとauは、すでにモバイルルーターも発表している。ドコモは最大4.1Gbpsで通信できるシャープ製のルーター、SH-52Aを5月下旬以降に発売予定(*雑誌掲載時)。有線LANポートを備え、Wi-Fi6に対応するなど、自宅や職場で主回線として使える性能を備えている。
今後は、タブレットやパソコン、自動車など、さまざまな機器に搭載されていく予定だ。
●Wi-Fiルーターも登場!
シャープ
Wi-Fi STATION SH-52A
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. 楽天は4Gを始めたばかりだけど、5Gはどう?
2020年4月からMNO(移動体通信事業者)としての正式サービスを開始した楽天モバイルは、早くも6月に5Gサービスを開始する。
楽天は、4G用には一つの周波数帯(1.7Gヘルツ)しか割り当てがないが、5G用には3.7Gヘルツと28Gヘルツの二つの周波数を割り当てられている。
最初から5Gを想定したインフラを構築し、ソフトウエアアップデートで4Gから5Gに切り替えると説明している。とはいえ、6月時点での5Gエリアは非常に狭くなるだろう。
●楽天も6月からの5G開始へ向け、準備が進む
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. サブブランドや格安SIMでも5Gは使える?
「サブブランド」と呼ばれるワイモバイルとUQモバイルは、まだ5Gサービスについて発表していない。5G対応エリアが全国に広がってから、5Gプランを導入する可能性が高いだろう。
格安SIMを提供するMVNO(*)は、4Gと同様、大手キャリアから5G回線を借りられるようになる見通し。(※NTTドコモなどの大手キャリアから回線を借り受けて通信サービスを提供する事業者のこと。)
しかし、現状は5Gを享受できる人が少ないため、5Gサービスの提供を発表している会社はまだない(*雑誌掲載時)。
●ドコモのサイトでは5Gの格安SIMへの提供が明記
5Gの基礎の基礎がわかるQ&AQ. 気になるiPhoneはいつ対応するの?
毎年9月に新モデルが発表されるiPhone。アップルからの正式発表はないが、2020年9月に5G対応のiPhoneが発表されるという見方が強い。
日本はiPhoneのユーザーが非常に多いこともあり、各キャリアは5G版iPhoneを発売する時期に、一気に5Gエリアを広げるのではないかという予測もある。しかし、新型コロナウイルスの影響でiPhoneの製造自体が遅れる可能性もあるだろう。
●次期iPhoneは5G対応?
■解説/村元正剛( ITライター)