空気の乾燥が気になる季節が近づいてきた。冬場はエアコンを使うと、宅内の湿度がさらに下がってしまうが、空調機器としてエアコン以外をメインとはしづらい家庭も多いだろう。風邪やインフルエンザのウイルスは低温・低湿状態で活動が活発になると知られているが、新型コロナウイルスへの影響も気になるところ。加湿器を使えば、適切な湿度を保つことでウイルスの活動を抑制したり、体調管理にも役立つ。今回はおすすめの加湿器を紹介しよう。
加湿器の選び方
部屋の構造や環境でも必要スペックは変わる
加湿器を選ぼうとカタログを見たとき、最初に目に入るのは「14畳まで」などと書かれた部屋の広さだろう。これは決められた一定条件(室温20℃、湿度30%時)で放出できる1時間あたりの水分量(mL/h)をわかりやすく部屋の広さで表現したもの。放出できる水分量が多い=加湿能力が高いほど、広い部屋まで対応できる。
一例を挙げると、加湿量500mL/hがプレハブ洋室14畳・木造和室8.5畳(どちらも一戸建て)対応製品に相当する。ふたつの広さが併記されているのは部屋の構造によって密閉度などが異なり加湿スピードも変わるためで、例えば新築マンションでは高気密化が進んでいるため一般的には効率よく加湿できることになる。実際にどのくらい加湿されるかは自宅に設置してみないとなかなかわからないのだが、余裕があるなら広い部屋まで対応できる製品を選んでおくと安心だろう。
5種類の加湿方式
水から加湿するための仕組みは超音波式・スチーム式・気化式の3種類があるが、現在はふたつの方式を組み合わせたハイブリッド式も超音波+加熱、気化+加熱があり、製品としては5種類の方式が流通している。
超音波式は、超音波による振動で水を霧状にして放出・加湿する。小型で安価な製品も豊富で選びやすいが、加湿能力はそれほど高くはない。
スチーム式は水を加熱して湯気で加湿するイメージ、ストーブの上で沸騰しているヤカンを想像してもらうとわかりやすいだろう。加湿能力はもっとも高いが、消費電力が多いことは弱点となる。
気化式は水を吸い上げたフィルターに風を当てて加湿する方式。加湿能力はそこそこで消費電力も低くバランスがよいともいえるが、フィルターのこまめな手入れが必須となる。
ハイブリッド式は、気化式や超音波式に加熱のためのヒーターを加え、加湿能力と消費電力のいいとこ取りを狙った方式だ。普段はヒーターを切って気化式・超音波式として動作し、急速に加湿したいときだけヒーターを入れて加湿能力を上げる製品が多い。
アイリスオーヤマ ハイブリッド式加湿器PH-UH35-B
加熱式と超音波式のハイブリッド
超音波式のハイブリッドタイプ。普段は省エネな超音波式として使い、急激に加湿したいときは加熱してハイブリッド加湿するといった活用が可能。本体にディスプレイを備え、現在の湿度と気温がわかるのも目安として便利。アロマオイルを使うこともできる。本体色は4色が用意されている。
電源電圧:AC 100V
50/60Hz:40W(最大運転時)
付属品:アロマパッド(予備)×2枚、お手入れブラシ
タンク容量:4.5L●加湿量※:350ml/h(最大運転時):※室温20°/湿度50%の場合の目安です。室温などの環境や建物の構造によっても異なります。●加湿時間:約12時間●切タイマー:最大12時間まで(1時間単位で設定可能)●適用床面積 :木造和室10m2(6畳)/プレハブ洋室16m2(10畳)●電源コード長さ:約1.2m●運転音:35dB
本体重量(kg):1.9
TaoTronics 超音波式加湿器TT-AH025進化版
お手入れしやすさが特徴
6リットルの大容量タンクを搭載し、最高60時間の連続稼働が可能な超音波式加湿器。動作音も公称26dbと静音性に優れる。給水タンクの給水口も広口のため、洗いやすく手入れしやすい。
【特許取得26db超静音技術】静音性とコストのバランスを考慮し、TaoTronicsでは自社開発の内部消音構造26db超静音技術を採用しています。水が滴る音はもちろん減り、深夜の騒音レベルよりもさらに静かなレベルとなり、睡眠中も安心してお眠りいただけます。騒音などの影…
象印 スチーム式加湿器EE-RQ50-WA
根強い人気のロングセラー商品
蒸気で加湿する、昔ながらのスチーム式加湿器。消費電力は多めだが、加湿力が高く、本体のお手入れ・清掃に手がかからないというメリットもあり、根強い人気がある。デザインや機能もほぼ変わらずに毎年後継機種が発売される隠れたロングヒット商品だ。
シャープ プラズマクラスター搭載加湿器HV-J75W
プラズマクラスター搭載ハイブリッド式加湿器
シャープ独自の空気浄化技術、プラズマクラスターを搭載したハイブリッド式加湿器。こちらは2019年モデルだが、基本スペックは最新モデルと変わらず、特徴である「どっちも給水」にも対応して本体の上部から注いでつぎ足し給水できるのが便利。価格的にもかなり値下がりしている。
タンク容量:約4.0L
加湿量:強750mL/h
消費電力:強335W
加湿の適用床面積:木造和室12.5畳、プレハブ洋室21畳
パナソニック気化式加湿機 FE-KXT07-W
ナノイー搭載
パナソニック独自の「ナノイー」も搭載された気化式加湿器、定番シリーズ商品の2020年最新モデル。2019年モデルでも基本スペックは変わらないので、より安価に手に入るならそちらもおすすめだ。
フィルター清潔モードで運転停止時もキレイさ持続
【お急ぎモード】気化式なのに素早く適湿
【薄型ボディ&壁ピタ設置】周りが濡れない気化式だから壁ピタ設置
高さ375×幅375×奥行き186(+背面凸部10)mm
ダイニチ ハイブリッド式加湿器HD-LX1220-H
パワフルさが特徴の加湿器
加湿能力が高く、プレハブ洋室33畳/木造和室20畳まで対応するパワフルなハイブリッド式加湿器。大型だが、本体/タンクともに持ちやすい取っ手が用意され移動や掃除にもストレスがない。LXシリーズはデザインにもこだわった製品で、本体色は他にホワイトも選べる。
加湿方式:気化ハイブリッド式
加湿量:約1,200ml/h(標準)
連続加湿時間:約5.8時間(標準)
運転音:最大34dB(標準)
バルミューダ気化式加湿器 RainERN-1100UA-WK
美しいデザインと遠隔操作が特徴
美しいデザインの本体にタンクレス構造を採用し、水をそのまま注ぎ入れるだけで給水できる気化式加湿器。操作方法も本体上端のコントロールリングを活用して未来的。Wi-Fiに対応し、スマホから遠隔操作や湿度の確認などが可能。
パナソニックヒートレスファン(気化)式加湿機 FE-KXF15-W
パワフルさと省電力を兼ね備えた製品
プレハブ洋室42畳/木造和室25畳に対応する大型の気化式加湿器。DCモーターを採用することで、広い部屋でも十分に加湿できるだけパワフルでありながら、省電力を実現している。住宅だけでなく店舗やオフィスでも使えるシリーズで、パナソニックではもっと広い部屋まで対応できる、さらなる大型機種も用意している。
まとめ
急激に気候が変化するこの季節、部屋の乾燥が気になるなら今年こそ加湿器を導入したいもの。加湿能力の高い製品ほど広い部屋まで余裕を持って対応できるが、住宅構造によっても変わってくる。5種類の加湿方式は、それぞれに長所と弱点がある。加湿能力や消費電力だけでなく、日常の使い勝手にも関わってくるため、ライフスタイルに合った製品を選びたい。
◆大坪知樹
オーディオやPCといった記事を多く手がけてきたが、ガジェットはもちろん白物家電、クルマ・バイク、模型や玩具、時計に服・靴など基本的にモノが好きな物欲系フリーランスライター。