カメラ業界全体では、各社ともこぞってフルサイズ推しになっている。一方で、マイクロフォーサーズならではの軽快さと性能のよさ、動画への強さ、価格のお手ごろさといった部分は健在で、そのへんをうまくアピールできれば生き残りは十分に可能だ。
マイクロフォーサーズの今後はどうなる?
読者からの質問
マイクロフォーサーズのカメラの行く末は? 本体・レンズとも小さく軽く仕上がっているので、高齢者にはありがたかったのだが……。 (K.Hさん 三重県 77歳)
編集部:
こちらは、カメラライターの北村智史さんに聞きます。
専門家の回答
専門家:
「マイクロフォーサーズは、撮像センサーが小さめで、カメラもレンズもコンパクトに作れるというのが一つの特徴であるカメラ規格です。
マイクロフォーサーズ陣営の中心的なメーカーはオリンパスとパナソニックですが、ご存じのとおり、2020年6月にオリンパスが映像事業を分社化して日本産業パートナーズ社に譲渡することを発表しました。経営状況があまりよくなかったところにコロナ問題が重なったのも原因かもしれません。
一方、パナソニックは現在、フルサイズの撮像センサーを持つSシリーズも展開していて、マイクロフォーサーズだけに注力していられません。
カメラ業界全体では、各社ともこぞってフルサイズ推しになっています。以前よりもカメラの販売台数が減っているため、収支をよくするには単価の高いプレミア感のある商品を多くラインアップする必要があり、それにうってつけなのがフルサイズなわけです。さらに、カメラファンの多くもフルサイズに目を向けているのですから、マイクロフォーサーズファンにとってはかなりうれしくない状況のようにしか思えません。
ところで、フルサイズが注目されるようになってわかってきたのは、フルサイズは大きくて重く、そして高価だということ。
カメラ本体だけならAPS-Cサイズ機に負けない軽快な機種もありますが、交換レンズはそうはいきません。いわゆる大三元(大口径タイプの広角・標準・望遠ズーム3本のこと)だけで重さは3キロほどになりますし、予算も100万円前後かかります。
それがマイクロフォーサーズなら高性能タイプのズームでそろえても、重さや予算はフルサイズの約半分で済んでしまいます。システムトータルでの軽快さに加えて価格も控えめ。撮像センサーが小さいぶんだけ発熱量を抑えられるので、長時間の動画撮影でも、オーバーヒートで停止する心配がフルサイズ機に比べて圧倒的に少ないのも強みです」
編集部:
重量や価格などは、マイクロフォーサーズのほうが有利ですね。
専門家:
「そういったマイクロフォーサーズならではの軽快さと性能のよさ、動画への強さ、価格のお手ごろさといった部分は健在で、そのへんをうまくアピールできれば生き残りは十分に可能だと思います。
個人的には、オリンパスのE-PシリーズやPEN-F、パナソニックのGX/GMシリーズのようなマイクロフォーサーズらしい小ささ、軽さを楽しめるモデル(そういうカメラに合うレンズ群も含めて)を出してくれるといいなぁとは思っています。
いずれにしても、ユーザーの支えがなければ、どんなメーカーも立ち行きません。無理のない範囲でそのメーカーの製品を買ってあげるのも大事なことだと思います」
編集部:
実は私もマイクロフォーサーズのカメラを持っているので、これからもレンズやアクセサリーを買っていきたいと思います。ありがとうございました!