最新のデータによると、インターネットによる動画配信サービスは、日本の全世帯の約40%が利用しているといわれる。外出を控えて自宅で過ごす『巣ごもり需要』の理由のひとつ。ここでは、ネット動画を視聴可能なテレビを購入した読者からのギモンに専門家が回答する。
テレビのネット動画、なぜ全部は見られない?
読者からの質問
ネット動画を視聴できる機能があるテレビを購入しましたが、どの動画配信サービスも利用できるというわけではないとわかって、少し後悔しています。メーカー側の問題かもしれませんが、なぜ、どのサービスでも選べるようにならないのでしょうか?(H.Aさん 東京都 54歳)
編集部:
この質問は、AV評論家の藤原陽祐さんに聞きましょう。
専門家の回答
専門家:
最新のデータによると、日本の全世帯の約40%が利用しているといわれるインターネットによる動画配信サービス。実際、動画配信大手のNetflixも大盛況で、2019年9月の段階で約300万人だった日本国内の加入者数は、現在500万人を突破。外出を控えて自宅で過ごす『巣ごもり需要』がにわかに高まったということだと思います。
家庭用テレビも、動画配信サービスに対応したいわゆるスマートテレビに注目が集まっています。ただ、質問者のご指摘どおり、メーカーや機種によって、動画配信サービスへの対応が違っているので、要注意です。一言でいうと、配信サービス元とテレビメーカーとの契約の関係もあって、テレビあるいはテレビメーカーにより、見られるサービスと見られないサービスが存在するというわけです」
編集部:
まず、配信サービス元とテレビメーカーの契約により、見られるものと見られないものがあるということですね。
専門家:
「そのとおりです。現在、日本で販売されている大手メーカーのスマートテレビについては、Netflix(ネットフリックス)、Amazonプライムビデオ、YouTube、DAZN(ダゾーン)などに関しては、ほぼすべて対応済みです。それ以外の動画配信サービスは、対応状況がメーカーや機種ごとに異なるので、見たいサービスがある場合は、テレビの購入前にその対応/非対応をチェックすることが重要になります。
ただ、Googleが開発しているスマートテレビのAndroid TVというOSを採用したテレビ(日本ではソニー、シャープ、中国のTCLが採用)やパナソニックのビエラのように、購入後に、後からお目当ての動画配信サービスのアプリをダウンロードできるケースもあります。
しかも、その内容は常時変化していて、テレビ購入時には非対応だったアプリについても、Android TVなら『Playストア』アプリからダウンロードすることができるようになったりします。しかしながら、この内容も一様ではなく、メーカー、機種によって、対応度合いが微妙に異なるため、細かい注意が必要になります」
編集部:
けっこう複雑ですね!ソニーやシャープやパナソニックのテレビは、購入後にアプリを追加することができるので、見られるサービスを増やすことも可能だけど、自分が見たいサービスの視聴アプリが提供されるかどうかは一様ではないということですか……。
専門家:
「では、テレビや追加アプリがお目当ての動画配信サービスに対応していない場合、あきらめざるをえないのでしょうか。大丈夫、安心してください。その場合は、Amazon Fire TV Stick(実売価格例:4980円)のようなストリーミング端末を使えば(テレビのHDMI端子に接続)、ほとんどの動画配信サービスを楽しむことができます。先ほど挙げた大手サービスのほか、TVer、GYAO!、U-NEXT(ユーネクスト)、Disney+(ディズニープラス)、FOD、Apple TV+、ABEMA(アベマ)、Hulu(フールー)などに対応しているので、安心です」
編集部:
なるほど、Amazon Fire TVシリーズのようなストリーミング端末があれば、テレビのほうで非対応の動画配信サービスも楽しめるんですね。了解しました!
◆イラスト/はやし・ひろ