今、全掃除機メーカーが軽量化に取り組んでいます。メーカーによりアプローチ方法は様々。日本市場でスティック型掃除機のトップシェアを取っているダイソンは「Dyson Micro 1.5kg」をプロデュースしました。軽量化するにあたって、何かを削らなくてはなりません。何を削り、何を残したのでしょうか。さらなる軽量を実現している日本メーカーもありますが、市場を牽引するメーカー・ダイソンだからこその矜持が見え隠れしてきました。

ダイソンから軽量掃除機「Dyson Micro 1.5kg」が登場

スティック型掃除機は、ハンディ型掃除機に、メイン掃除機としてのヘッドと、ポール(延長管)を付け加えたものです。このため、それまで部分、部分で掃除していたハンディ掃除機が、家を全部掃除するという大きな課題を持つことになります。

この課題をクリアした今、全メーカーが軽量化に取り組んでいます。しかし、メーカーによりアプローチ方法は様々。日本市場でスティック型掃除機のトップシェアを取っているダイソンは、「Dyson Micro 1.5kg」をプロデュースしました。

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この2月、小職は、目ぼしいメーカーの軽量モデルをフルチェックしました。結果、見えてくるものがありました。それは、商品スペックではなく、メーカーとして、こういうものをユーザーに渡したいという矜持です。今回は、ダイソン社の Dyson Micro 1.5kg を細かくチェックして、ダイソン社がどの様な製品をユーザーに渡したいのかをレポートします。

ハンディ掃除機からスティック型掃除機は作られた

スティック型掃除機には2種類あります。重心が床近くにある「自立型」と重心が手元にある「手持ち型」です。

自立型の雄は、エレクトロラックス社のエルゴ ラピード シリーズ。発想は、ハンディ掃除機に柄をつけたものです。重いパーツは、ほとんど、床近くにあります。このため重さは床が支えます。また、低重心なので自立できます。とっても便利。そして、最終的に、フレームにハンディ掃除機を埋め込み「2 in 1」で使える形で商品化されました。

一方の手持ち式、こちらはダイソン社他、多数のメーカーが採用した方式です。ハンディ掃除機のヘッドと本体の間にパイプ(延長管)を付け、立ったまま床掃除できる様にしたものです。メリットはダイレクト感ですかね。操作にせよ、感じ方にせよ、距離がないので極めてセンシティブ。気持ちも揚げ揚げな感じで、「掃除している!」という感じになります。デメリットは、重さですね。数キロという重さのほとんどは手で支えます。そしてそれを持ち振り回すわけですから、それは疲れます。

このため、ダイソンなどのメーカーは、掃除機としての基本性能を上げながら、軽量化に取り組むことになります。

ダイソンの掃除機はDyson V10 Fluffyでほぼ完成

ハンディ掃除機を、スティック型掃除機として使うには、基本スペックが大幅に足りません。特に足らないのが、「吸引力」と「持続力」。ここでいう持続力は「吸引力が変わる」という意味ではありません。使用できる時間のことです。このため「モーター」と「バッテリー」の開発が急務となります。

第一目標は、標準モードで20分。以降、40分。60分と目標が上がります。20分は、企画された当時、技術で狙える範囲でしたが、ユーザーが掃除機を使う平均時間とされている40分。余裕があると感じられる60分と展開するには、「モーター」と「バッテリー」、どちらが欠けても務まりません。

気流を制御するのはダイソンが元々持っていた技術。その気流を作るのがモーターですから、こちらはより小型に、より高回転に進化していきます。が、バッテリーはそうは行きません。ダイソンの掃除機のバッテリーが良くなるのは、ジェームス・ダイソンが、電気自動車(EV)ビジネスのために、バッテリーメーカーを買収してからです。現在、当ビジネスは諦めたとされていますが、軽く高容量のバッテリーは、掃除機で採用され、今でも生き続けているのです。

それに「ヘッド」。欧州の掃除機は、カーペット対応が大きな目標です。カーペットを傷めずに綺麗にするのはかなりの難題。その答えが簡易なブラシヘッドでした。確かに悪くないのですが、より高性能なヘッドが求められています。そうしてできたのがFluffy ヘッドです。

そして密閉度が上がった室内へ対応すべく排気への配慮。この4つの要素を進化させてきたのですが、良い感じでまとまったと感じたのがDyson V10 Fluffy 。一つの標準形が出来上がったわけです。

本体重量2.58kg。高さ:245mm。最長駆動:60分。2018年のことです。

画像: Dyson Cyclone V10 Fluffy (SV12 FF) www.dyson.co.jp

Dyson Cyclone V10 Fluffy (SV12 FF)

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標準モデルができたら次はスリム化へ

「Dyson Micro 1.5kg」はどこを軽量化したか

標準ができたら、次に行うのはスリム化です。理由は簡単。重いのです。ここで商品コンセプトが、主「掃除性能重視」「バランス」従「軽さ」から、主「軽さ」従「掃除性能重視」に代わります。

見直しは重さ順で行います。「バッテリー」「モーター」「本体パーツ」の順です。まず、生まれたのが、Dyson Digital Slimです。

現行の標準モデル Dyson V11と比較すると 、重さは、2.68kgから1.9kgになりました。代わりに、標準モードで使える時間は、約60分が40分になっています。しかしダイソンらしいのは、「ヘッドの幅」と「吸引力」を維持したことです。要するに、掃除効率を維持して、時間が短くなることによるユーザー負担を最低にしているわけです。

しかし日本メーカーは、1kg前半のモデルを用意しています。1.9kgでは、まだ重すぎます。ダイソンはさらなるスリム化を行いました。

譲れない部分はそのまま残す

Dyson Micro 1.5kg は、それから0.4kg 軽くしたモデルです。第一印象は小さくなったなぁという感じです。しかしテストしてみると、譲れないところは譲っていないことがひしひし伝わります。

まず、一番重いバッテリーは、スリムよりセル数を少なくして軽量化します。一番影響が出てくるのは、動作時間。標準で40分が20分になっています。

では、他のところはどうでしょうか?

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目立つのはヘッドです。幅がありません。しかしFluffy ヘッドの特徴は全て備えています。要するにヘッド機能は落としていないということです。しかし小型化すると問題になる部分もあります。それは「吸い込み口の径」です。多くの場合、径は細くなります。今、ゴミで一番大きいのは、多分落ちたスナック菓子でしょう。ポップコーン、キャラメルコーン、かっぱエビセンなどです。子どもがバラかしてしまったら、細かい粉も飛びますので、掃除機をかけます。大きくなったらともかく、床は汚いので、落ちたものは食べられないということを教え込むために、掃除機で一気に片付けるのが一番です。ところが径によっては、標準モデルで吸い込めるものが吸い込めない場合があります。代わりに、大きなゴミがないということは、モーターパワーをある程度削ることも可能です。

ダイソンが、ここで下した判断は、ヘッドは小さくするが径はほぼ同じ。それにヘッドから持ち手までの長さも維持。掃除の感触を変えないように努めます。

押しボタンスイッチを採用

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しかし、microでは、Dysonスティック型掃除機の特徴の1つである、トリガーSW(スイッチ)が採用されていません。押しボタンSWが採用されています。トリガーSWは攻撃的であり、掃除をサッサしてという雰囲気を作り出しますが、指がだんだん疲れてくるという欠点がありました。そのために、押しボタンSWに変更したのでしょうか? 違いますね。モーターで最も電力を食うのは、起動時です。要するに、節電のための措置です。

結果出来上がったのが、Dyson Micro 1.5kgです。

「Dyson Micro 1.5kg」の使い心地

使ってみるとボタン配置など、こなれてない部分もあるにはありますが、掃除感覚はキープされています。20分だと商品力が著しく落ちるのかというと、平米数の少ない日本では問題ないとする人の方が多いのではないでしょうか?

吸引力が以前と変わらない分だけ、ヘッドもいろいろなところに潜らせやすいです。軽いので、いろいろなアクションが取りやすい。そんな時、同じ姿勢を強いる様な、トリガーSWより押しボタンSWも方が使い勝手がいいです。

今回、ダイソンは 1.5kgで、商品化しました。しかし、それは、日本メーカーのパナソニック、日立、シャープ、東芝より重いモデルです。ダイソンは、重さ、数百グラムではなく、「掃除のしやすさ」を守った感じです。以前、クルマでもカタログスペックが重視された時代がありました。しかし、乗り味が悪い。いわゆるファン・トゥ・ドライブになっていないのです。

最後に

画像: 【Dyson Micro 1.5kg】使ってわかる!軽量化で見え隠れするダイソンの矜恃
【最軽量モデル新発売】ダイソン Dyson Micro 1.5kg サイクロン式 コードレス掃除機 dyson SV21FF 2020年最新モデル
¥ 64,900
2021-03-08 16:54

実は、コンセプト紹介欄で記載した「バランス」は、重さの意味もありますが、広義としては、掃除がし易いのか、ということです。それを重視した範囲内での軽量化。Dyson Micro 1.5kgからは、そんな矜恃が感じられます。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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