VR動画を楽しむために必要なのが「VRゴーグル」。色々なメーカーから販売されていますが、どれも総じて「装着」が良くないのです。今回、私はこれまでにない快適な装着感のVRゴーグルに出合いました。それが、HTCの「VIVE Pro2」です。

VRゴーグルは装着に難あり?

HTCというメーカーを知ってますか?

VR(バーチャルリアリティ)動画。見るだけでしたら、スマホを利用した数千円のモデルもありますが、VRと言う創造された独自世界を自在に遊ぶには、全くスペックが足りていません。また、この分野、マイクロソフト他の大手メーカーも参入、販売しています。私も折に触れ、いろいろなところで使ってみましたが、どれもこれも基本中の基本「装着が良くない」ですね。このため、一時諦めかけていましたが、いいのを見つけました。HTC「VIVE Pro2」。

画像: VIVE Pro 2 www.vive.com

VIVE Pro 2

www.vive.com

HTC。知っている人は、かなりのスマホオタクと言っていいかも知れません。1997年創業の台湾のメーカーです。得意なのは、携帯情報端末。
創業期は、Palm(パーム)やヒューレット・パッカードのiPAQなど、PDA(※)の生産から始まります。その間、小型デバイスのハードだけでなく、OS関連の技術も研究開発します。
※パーソナル・デジタル・アシスタント。Personal Digital Assistant。日本語では「電子手帳」と訳されていた。日本メーカーでは、シャープのザウルスが有名。

転機は、「Google Android」によりもたらされます。Androidは、元々2003年に設立された携帯電話向けソフトウェアプラットフォーム開発会社でしたが、2005年にGoogleに買収されます。そして、2007年1月、Appleが、iPhone、iOSを発表。6月リリースします。対抗するために、同年11月、 Google他で設立した規格団体 「Open Handset Alliance」(オープン・ハンドセット・アライアンス、OHA)が、Android OSを発表します。Appleに対抗するために、無償で誰にでも提供されるオープンソースで、サードパーティーのベンダーが独自にカスタマイズにも融通を図ります。一社で上流から下流までやりきるAppleに対し、強いところを持ち寄った連合軍。ウィンドウズ・パソコンと同じ手を用います。

HTCは、その時、スマホをプロデュースします。それだけでなく、HTCは、Android OS そのものに深く関わっている様で、コードの一部はHTCの技術が入っているとか。そのためでしょうか。スマホがかなり認知されてきた2010年に、AppleはHTCを特許侵害で提訴します。これは、Appleにとって、創業10年ちょっとのHTCが、いかに脅威だったかを物語ります。

2012年にAppleとの和解が成立するのですが、一大市場であるアメリカでケチがついたわけですから、製品は良くても、販売はジリ貧になっていきます。そして、2017年 HTCのPixelチーム(スマホ事業の一部)は、11億ドルでGoogleに買収されます。

では、今、HTCは何に注力しているか?その答えが「VR分野」です。

VIVE Pro2 の装着感

VRの必需品は、VR映像を見るための「VRゴーグル」。VR世界に没入できる様に、それ以外見えない様にしたゴーグルです。構造は片目ごとに専用ディスプレイを設けたもの。目の前数ミリのところに2台のテレビがあると考えてくれればいいです。このため立体映像も容易です。
VRゴーグルがないとVRは、始まりません。オーディオで言うとヘッドホン、ビジュアルでいると4K有機ELテレビ、8K液晶テレビに当たり、なくてはならないものです。

こう書くと、3D映像など、映像技術が重要の様に思われますが、VRゴーグルの最大の難題は実は「装着」です。人は思っている以上に頭を動かします。そして構造上、超フロントヘビー。重量バランスが極めて悪いVRゴーグルには難題が多いのです。歴史的に見て頭装着でいいのは、「メガネ」と「ヘルメット」です。メガネは簡便な装着で耳と鼻を利用します。耳にひっかけ位置を決め、下へ落ちるのを鼻で支えます。それを可能にしているのは、「軽さ」です。メガネで一番重いのは、レンズです。つまりフロントヘビー。このため、メガネは使っているうちにズレます。日に何度となく、位置を戻すことになります。しかし、圧迫感が少ないため、多くのデバイスはメガネ方式を採用しています。

一方、ヘルメットは、頭でホールドします。ヘルメットにもよりますが、衝撃に強いバイク様になりますと、後頭部の上の方で支え、ショック吸収の能力を持つ材料でヘルメットが動かない様に固定します。そうしないと、事故などの衝撃でヘルメットがずれてしまい、ここぞと言う時に役立たずになってしまうからです。これが意味するのは、ずれずに使うものは、頭全体を使ってホールドしなければならないと言うことです。

いうまでもなく、VRゴーグルは、メガネに比べて超フロントヘビー。誰でも使える様メガネ型にすると、重さのためにずり落ちます。このため、耳ではなく頭の周囲を使うゴーグル型で作ります。しかし、ゴーグルも基本的に「軽く」作り、フロントヘビーを避けるのが基本です。それだけではダメです。頭でもホールドできる上側にバンドも付けます。

この様に基本形は決まっているのですが、実際使ってみるとホールドが足りていないモデルが実に多い。VRの世界に入ると、やはり、その世界をいろいろ見たくなります。そのため首を振るのですが、それだけで位置がずれます。一度、「AR(※)で、設備の使い方をガイドすることができる様になりました」と言われて、試させてもらったところ、1分もしないうちに位置ずれが始まり、手で支える羽目に陥りました。※Augmented Reality。拡張現実。目で見た周囲にVRの画を載せる。最も的確にガイドできるとして、いろいろな方面から期待されている。

片手だと設備を動かせませんので、本当に役立たず。緊急時に誰でも使える様にするためと言うのが、ARガイドの目的の中にありましたが、間違いなく、緊急時トラブルを引き起こすのではないでしょうか?VRゴーグルは世界的にも著名なメーカーのモデルです。

しかし、HTCの新型VRゴーグル「VIVE Pro2」を試させてもらったのですが、ズレが起こりませんでした。正直びっくりしました。ちょっと頭を強く締め付ける必要があり、使い始めは締め付け感があるのですが、すぐに気にならなくなります。

ズレを防いでいるのは、後頭部を支える大ぶりなパーツ。理由はどうあれ、今までのVRゴーグルとは一線を画す装着感です。それだけで嬉しくなってしまいました。

画質は両目で5K

では、VIVE Pro2の画質は、どのレベルでしょうか? 
スペック的には、両眼5K。両眼ですから、片眼:2.5K。片眼:4Kには達していませんが、十分きれいです。VRは基本アニメと同じですから、映像、音とも、はっきりしたモノを作ることができます。このため、すこぶるきれいです。

そして視野角は120°。人間は一般的に、左右:200°、上下:125° と言われていますが、基本不自由さはありません。色もきれいですし、気に入りました。

サウンドは、ハイレゾ(Hi-Res)対応しています。近距離での画と音ですから、画と音の品質は半端ではダメです。

また位置情報処理などは、さすがスマホメーカーだけあってお手のもの。10分程度のテストでしたが、悪いところはありませんでした。

価格は、10万3400円(税込)。高級スマホ並みと言うところでしょうか。今後、VRゴーグルのような高級携帯デバイスは、約10万円が一つの目安になるかも知れませんね。

精度の高いトラッカーで「アバター」ワールドが作れる

VIVE Pro2のアクセサリーに「トラッカー」と呼ばれるものがあります。

画像: VIVEトラッカー(3.0) www.vive.com

VIVEトラッカー(3.0)

www.vive.com

体の動きを追従するモデルは、一箇所につき、1万7500円(税込)とちょっとお高いのですが、VIVE Pro2を装着しながら、トラッカーを手首、足首、ひじに付けると、自分の踊りの動きなどをアバターに反映することができます。トラッカーは、7×8×4.5cm。重さは、75gと小さいので、使いやすいです。

そして、口の動き他、顔の動きを追従するフェイシャルトラッカーがあります。VRゴーグルを付けて使用するので、鼻から下の部分だけですが、表情のデータ化ができます。

画像: VIVEフェイシャルトラッカー www.vive.com

VIVEフェイシャルトラッカー

www.vive.com

CGに動きを移植すると、CGアニメの様な映像を作ることができます。自分が映るのは嫌だと言う人も、アバターならどうでしょうか? YouTubeへ投稿動画も安心して投稿できますし、凝った表現も可能です。冒頭、VRゴーグルが「動いてもずれない」と書きましたが、「装着」と言う基本ができていると、できることとできないことが違ってくるのです。

最後に

VRゴーグルは、どんなに優れた性能を持ったものでも、使えなければ意味がないということでもありますが、こればっかりは最終的に身に付けてみないとわかりません。私には良くても、人によってはダメということもあります。このため、必ず装着してみて決めることが重要です。HTCの方も心得ていて、6/11日(金)、12(土)に「VIVECON」を開催。

新製品にいち早く触れる機会を設けるそうです。基本はプロ相手、コロナ禍の密を避けるため、人数制限もあるかと思いますが、12日は一般ユーザーもOKとのこと。VR動画に興味ある人は、見る人も作る人も、参加されることをお勧めします。ちょっと、ドキドキする体験ができますよ。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

This article is a sponsored article by
''.