良妻賢母になろうとする義務感を手放して、ダメと感じている点(自分の弱み)を子どもにも見せられる「ダメ親」として、子どもに接してみたらどうでしょうか。また、頭の中だけでいろいろと思い浮かべるよりも、紙に書いたりしたほうが、考えが整理されます。書籍『ごきげんママのハッピー子育て術』(マキノ出版)の著者である川越くみさんに、「ごきげんママ」でいるためのコツを解説していただきました。

解説者のプロフィール

川越くみ(かわごえ・くみ)

1971年、宮崎県生まれ。マザーズコーチングスクール副代表。TCS認定プロフェッショナルコーチ。マザーズコーチングスクールで全国初のトレーナー(ティーチャー資格者を育成する役割)となり、全国で1500名を超えるティーチャー資格者たちの育成にも取り組んでいる。現在は、企業研修の講師としても活動し、女性のキャリアサポートもしている。
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マザーズコーチングスクールとは

口コミだけで3万人以上が受講した、お母さんのためのコミュニケーション講座。個人受講のほか、仕事と育児を両立している従業員向けの研修として、経済産業省・金融機関・教育機関などにも導入されています。認定講師のマザーズティーチャーは国内全都道府県、海外10カ国で活躍。「子どもの孤独をなくす」をテーマに、地域教育委員会の後援を得て、全国で講演会も実施しています。

運営:NPO法人トラストコーチング(代表 馬場啓介)
公式サイト:https://motherscoachingschool.com

本稿は『ごきげんママのハッピー子育て術』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

実はダメ親のほうが子どもは立派に育つ

お母さんが自分のダメな点に気づいているほうが、親子関係としては健全

「ホームパーティに呼ばれたのですが、子どものお友達のママはとてもおしゃれで、家の中もきれいに片付いていたんです。うちとは大違いだと感じて、落ち込んでしまいました」

「また子どもに怒鳴っちゃって……。『あんなに感情的にならなくてもよかったのに』と思って、すっかり自分が嫌になりました」

「学校の保護者会に行くと、周りのお母さんたちと打ち解けられなくて、すごく居心地が悪いんです。私がこんな性格だから、娘も引っ込み思案なんですよね」

このようにさまざまな場面で、お母さんたちは「私はダメな親だ」と自分自身を責めています。

「ダメな親だ」と思うこと自体は、決して悪くはありません。そのように感じるのは、現在の姿が理想とかけ離れているからなのです。理想とのギャップに気づけただけで、○ではないでしょうか。

むしろ残念なのは、子育てに自信があり過ぎるお母さんかもしれません。

お母さんが自分の子育てに何の疑問も抱かずにいると、子どもの小さな変化に気づくのが難しくなります。そして親子のずれが積み重なっていって、信頼関係が崩れていく原因になるのです。

ですから、お母さんが自分のダメな点に気づいているほうが、親子関係としては健全だといえるでしょう。

もう一つ、ダメ親のメリットは、子どもが精神的に自立していくこと。親が賢くなくても、子どもは立派に育つのです。

画像: お母さんが自分のダメな点に気づいているほうが、親子関係としては健全

古くから「良妻賢母」という言葉があるように、「母親は賢くなければならない」といった風潮がまだまだあります。その見えない圧力を、知らず知らずのうちにお母さんたちは受けてしまい、妊娠中からインターネットや育児書などで情報を過度に集めてしまうのです。

子どもを病気にしてはいけないし、きちんとしつけなければならないし、才能を伸ばしてあげなければならないし、成績をアップさせなければならないし……。

「もっと、もっと、親として、子どもにやってあげなければならない」という思い込みに、お母さんたちはとらわれてしまっています。

さらに「そのためには、もっと親として賢くなければならない」とがんばっているお母さんは、どうしても自分よりも子どもを下に見て、親子関係を〝上下関係〟だとつい思い込んでしまうのです。

そんなお母さんから、あれもこれもと与えられ過ぎた子どもは、どのように成長するでしょうか。

「自分のやりたいことを親に邪魔された」と受け止めたら反発するでしょうし、「親から与えられるのが当たり前」と受け止めたら、いつまでたっても自立できなくなります。このような、ケンカが絶えない関係も、一方的に依存される関係も、理想の親子像からかけ離れているはずです。

お母さんと子どもの自己肯定感は、ほぼイコール

それならば、良妻賢母になろうとする義務感を手放して、ダメ親として子どもに接してみたらどうでしょうか。

改めて確認すると、ダメ親というのは、もちろん、子育てを放棄する親ではありません。「私はダメな親」と自分を責めるのではなく、「ダメ」と感じている点を自分の弱みとして子どもにも見せられる親を指しています。

例えば、子どもがおもちゃを片付けないとしましょう。

賢いお母さんは、たくさんの育児書を読んで、「ゲーム感覚で一緒に片付ける」「子どもにもわかりやすい収納スタイルにする」といった正解を得ようとするはずです。

一方のダメなお母さんは、「いつもリビングにおもちゃが散らかっていて、踏んだら危ないし、とても困っているんだけど、どうしたらいいのかな」と子どもに相談するのです。

「困っている」という弱みを見せながら、お母さんが子どもと同じ目線になることで、子ども自身が「どうしたらいいのか」を考え始めます。

このように、自分のやるべきことを自分で考えて行動することが、精神的な自立には重要です。お母さんが自分の弱みを子どもに見せられるのは、ありのままの姿を子どもに受け入れられているということ。ですから、それだけでお母さんの自己肯定感は育まれていきます。

そして子どもも、お母さんから相談されることで、信頼されているという承認を実感でき、子ども自身の自己肯定感にもつながっていきます。

画像: お母さんと子どもの自己肯定感は、ほぼイコール

勘違いされることが多いのですが、「賢いから、自己肯定感が高まる」「何事においても完璧だから、自己肯定感が高い」ということはありません。

むしろ真逆です。「~だから」と条件付けすることで、ありのままの自分が認められなくなり、自己肯定感は低くなるのです。

強いところも弱いところも、できるところもできないところも、すべてを含めて「私は私でいい」と受け入れることが、自己肯定感を育むポイントとなります。

そして、お母さんが自分の弱みを子どもに見せていれば、子どもも「ダメなところをお母さんに隠さなくてもいいんだ」と感じるようになります。

そのため、子どもでは抱え切れない悩みができたときに、真っ先にお母さんに話してくれるはずです。これは、悩みやトラブルの早期解決に役立つだけでなく、子どもの自己肯定感を育むことにもつながります。

このように、お母さんの自己肯定感が高まることで、子どもの自己肯定感も高まっていきます。つまり、お母さんと子どもの自己肯定感は、ほぼイコールの関係にあるのです。

最近では「子どもの自己肯定感を高めたい」というお母さんたちの声をよく聞くのですが、まずはお母さん自身の自己肯定感を高めていきましょう。

先ほど、「ダメな親だ」と思うこと自体は悪くないとお伝えしました。ただ、「あれも、これも、全部ダメ」というように決めつけているのならば、見直す必要があります。

決めつけかどうかを見極めるには、普段の口ぐせを確認しましょう。

「どうせ」「なんで」「みんな」などが無意識のうちに口から出てくるのは、自己肯定感が低くなっている証拠です。そうやって、お母さんの思考から生まれる口ぐせが子どもに影響を及ぼすのです。

「どうせ片付けられない」「なんで感情的になるの!」「みんな仲がいいのに、私だけ」と決めつける口ぐせに、まずは気づくだけで大丈夫。そこから「口ぐせを変えていこう」と意識することで、自己肯定感は育まれていきます。

自己肯定感を育むために、特別な訓練や取り組みなどは、全く必要ありません。普段の何気ない口ぐせを、ほんの少し変えるだけでいいのです。

書くだけで自己肯定感が高まる「ハピネスマイルノート」

ここまで、理想や目標などについてお話ししてきましたが、頭の中だけでいろいろと思い浮かべるよりも、紙に書いたりスマートフォンで文章を打ち込んだりしたほうが、考えが整理されます。

そこで私がお勧めするのが、「ハピネスマイルノート」。うれしいと感じた子どもの変化などを、マイレージをためるようにノートに書きためていくのです。

ノートにいったん気持ちを書き出してから、それを客観的に見直したら、「ダメな点ばかりじゃないよね」と小さな幸せがたくさんあることに気づくでしょう。

そこから、もっと細かくお母さん自身や子どもを観察するようにすれば、「思い込みが強かったんだな」「成長した点やうれしかったこともたくさんあったんだ」と確かめられるのです。

こうした意味で、ハピネスマイルノートはお母さんが自分自身と行うコミュニケーションの手段といえます。

記録していくという作業で心のバランスが整うだけでなく、子どもとお母さんの成長が宝物のように感じられるはずです。

ハピネスマイルノートの作り方

① 見ているだけでワクワクするような、お気に入りのノートや手帳を用意する

デザインや書き心地など、自分が気に入ったノートを用意しましょう。

ノートは寝室やキッチンといった、家の中でも長く過ごす部屋に置くようにします。あるいは、持ち歩くのに便利な手帳やスケジュール帳でもかまいません。

書くことが好きでたくさん書き込みたい人はノートが、仕事や外出のついでにササッと書きたい人は手帳やスケジュール帳がお勧めです。

画像1: ハピネスマイルノートの作り方

② ノートや手帳の1ページ目に、子どもとの距離感を保つためのマイルールを1~5つ書き出す

「言い合いになりそうになったら、10数える」など、今の自分にぴったりな「マイルール」を1~5つ作ってください。それを、ノートや手帳の1ページ目に書きます。

書くという作業を通して、客観的に自分を見つめ直すことができます。また、考えがすっきりと整理されて、身軽に動けるようになるでしょう。

③ マイルールの下に、「自分への小さな約束」(やめたい子育てNGワードなど)を書く

無意識に使っている「どうせ無理」といった子育てNGワードややめたいこと、そして、きちんと意識したいことなどの「自分への小さな約束」を、ノートや手帳の1ページ目に書き加えます。

こうして子育てNGワードなどを意識化することで、知らないうちに口から出てしまうことを防げますし、プラスしてやりたいことも意識できます。

1ページ目は、毎日変えるものではありません。「マイルール」と「自分への小さな約束」は、それが無意識にできて習慣化してきたら更新していきます。

画像2: ハピネスマイルノートの作り方

④ ノートや手帳の2ページ目から、子どもや自分の変化、うれしかったことなどを書く

その日を振り返り、気づいた子どもの小さな変化やうれしかったことを、日記のように書きましょう。

「昨日は5回言わなきゃ起きなかったのに、今日は3回だけで起きられた」といった些細な出来事でも、もっと短い一言でもかまいません。負担なく、楽しく続けられるように書きましょう。

・今日見つけた小さな幸せ
・子どもの変化
・自分の変化
・今日の感謝
・プラスの気づき
毎日続かなくても大丈夫です。気づいたときに書けばいいのです。

画像3: ハピネスマイルノートの作り方

⑤ ときどき、ノートや手帳を見返す

記録をたどることで、日々の子どもや自分の変化が確かめられ、「こんなこともできるようになっていたんだ」と再発見もできたり、心の余裕がなく、ないものねだりになりがちな思考が、今あるものに目を向けられたりと、少し心にゆとりが生まれてくると思います。

また、ちょっと落ち込んだときに読み返すと、勇気づけられるでしょう。

画像4: ハピネスマイルノートの作り方

ハピネスマイルノートの作り方〈スマートフォンバージョン〉

ちょっとしたメモなど、多くのことをスマートフォンに集約している人は、スマートフォンのアプリを利用してもいいでしょう。

例えば、メモアプリを開き、冒頭に5つのマイルールと、「自分への小さな約束」を入力します。そして、その下に子どもや自分の変化、気づきを記録していきます。

そのほか、日記アプリやカレンダーアプリも利用できます。

画像5: ハピネスマイルノートの作り方

ハピネスマイルノートには、イラストを描き込んだり、かわいいスタンプを利用したり、楽しく続けられる方法を皆さんでアレンジしてもらえたらと思っています。

ハピネスマイルノートを書く時間が、お母さんにとっての楽しい時間になれば、なおさらいいですよね。

画像: ハピネスマイルノートの実例を書籍でたっぷり紹介しますので、そちらもぜひ参考にしてください。

ハピネスマイルノートの実例を書籍でたっぷり紹介しますので、そちらもぜひ参考にしてください。

■イラスト・おぐらきょうこ


本稿は『ごきげんママのハッピー子育て術』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。書籍内では、親子のコミュニケーションで大切な「手放す・見守る・見極める」の3つの習慣や、「ハピネスマイルノート」の使い方を、多数の実例とともに、具体的にわかりやすく解説しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【子育ての仕方がわからない】正解は?ダメ親でも大丈夫?まずはお母さん自身を認めよう|ハピネスマイルノートの作り方
ごきげんママのハッピー子育て術
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2021-10-04 11:50

前記事:【ごきげんママのハッピー子育て術】怒りやイライラに振り回されない3つの子育て習慣とは もご覧ください。

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