コロナ禍の2020年はセカンド冷蔵庫がバカ売れしました。来る2022年にはどんな冷蔵庫が主役になるのでしょうか? 年末発表のシャープの冷蔵庫を紹介しながら、レポートします。
2022年はどんな冷蔵庫が主役になる?
コロナ禍の2020年。セカンド冷蔵庫がバカ売れしました。それは、外出自粛で外食ができなくなり自炊をメインにしなければならなかったこと。このため作り置きが増えたこと。短間隔で買い物に行くのも憚られて、買い物スパンを長めに取らざるをえなかったことなど、一挙に冷凍保存の需要が増えたためです。
このため2020年は、通常の冷蔵庫買い替えに加え、冷凍庫を中心とする2nd冷蔵庫の需要が上乗せされました。メディアが冷蔵庫が売れていると言ったのはこのことです。さて、来る2022年。どんな冷蔵庫が主役になるのでしょうか? 年末発表のシャープの冷蔵庫を紹介しながら、レポートします。
2021年の冷蔵庫需要
2nd冷蔵庫の需要は一過性のモノだった
実は、2021年。冷蔵庫の総需は、前年2020年を割り込む見込みです。というのは、2nd冷蔵庫は誰でも持てるわけではありません。
買うだけの経済力も必要ですが、それ以上に重要なのは、場所(設置スペース)をどうするのかということと、ランニングコスト、つまりは電気代です。特に小型冷凍庫単体の場合、あることが重要ですから笑えるくらい電力を消費するものもあります。これは省エネ技術を導入していないからです。技術を入れるとそれだけ高くなるのいで、2ndらしからぬ価格になってしまうからです。
また、2011年の冷蔵庫は、まだ350〜450Lが構成比:約51%。451〜550Lが構成比:約38%。10年後の2020年は、350〜450Lが構成比:約36%。451〜550Lが構成比:約53%。見事に逆転というより、冷蔵庫はまだ大型化が支持されているのです。こちらは皆さんも実感されている通り。
大きな冷蔵庫になれば、2nd 冷蔵庫は要らないわけで、コロナ禍の2nd 冷蔵庫需要は極めて一過性のものだったことがわかります。
2022年は「特需」に備える年に?
そしてもう一つは、「特需はない」と言われる冷蔵庫ですが、実は11年前に特需がありました。政府がエコポイントという補助金を出し、「地デジ対応テレビ」「省エネ家電」の買い替えを後押ししたがありました。リーマンショックで完全に経済がストップした後のカンフル剤でもあり、地デジテレビがないとテレビが見られない状態になるためです。
2011年、確かにテレビは売れました。メーカーによっては「数年分を売った」と言う人もいました。以降、テレビ事業部は、ほとんど解体ですから、なんとも情けない感じがします。
同時に、エアコン、洗濯機、そして冷蔵庫も売れました。この3つにテレビを加えたものを4大家電と言います。特徴は技術が詰まっており、高額であること。補助金が使えるならと、飛びつく気持ちもよくわかります。その結果、ここに「特需」が作り出されたわけです。
現在の冷蔵庫の平均使用年数は、約13年。2023〜24年が、買い替えに当たります。逆に言うと2022年は、冷蔵庫にとって、需要薄になることが考えられます。
2022年モデルの特徴
シャープの新モデルから予想してみる
2023年、総需が伸びそうだとすると、そこにはどんなモデルが必要でしょうか?当然、新技術を目玉にしたわかりやすい大型冷蔵庫です。
では、2022年モデルは?その前ですからモデルの地均し(じならし)です。新技術を導入したモデルは確かにカッコいいのですが、とにかく技術確立して、それを搭載するので手一杯。結構、ユーザーニーズを落としていることがあります。地均しというのは、今まで落としてきた、それらのニーズを拾い上げ、導入していくことです。
言葉映え、インスタ映えしないので、地味に感じられることも多いです。しかしその分、しっかり練られているとも言えます。実質的で、実は結構お買い得なモデルでもあるのです。
では、どんなところに着目したのでしょうか?
デザインは重要ポイント
最近はリビングダイニングが当たり前となっており、冷蔵庫はリビングからでも見えます。このおためデザインは超重要です。エアコンもそうですが、「省エネ」デザインと「人が心地よい」デザインは必ずしも同じではありません。特に、冷蔵庫は幅狭でも大容量が求められており、前に迫り出した時代があります。
2010年代中頃、各社、断熱材の開発に力を入れ、約半分の厚みで、それまでと同等の効果を示す断熱材を開発採用しました。同じ外寸でも内容量が上がります。
しかし、ユーザーのニーズは、より厳しい「薄型化」でした。このニーズを見事に捉えたのがアクアのパノラマ型冷蔵庫。これは思い切りが良かったのでインパクトも大きく、ファンもつきました。ただ、そこまでのトリッキーさは求めなくても、面一でのキッチンで冷蔵庫だけ飛び出ているととても使いにくいものです。この形へのニーズが一つ。
もう一つは色です。現在は、黒を好む人がすごく多いです。道路を走っている車は、黒ばっかり。20世紀後半、白ばっかりだったことと180°違います。白物家電とは、家事=白というイメージから付けられた名ですが、今ではすっかり黒に侵食されています。
シャープもそこは抜かりなく、ダーク系を中心にまとめ上げてあります。また、ガラスドアモデル、メタルドアモデルを双方とも展開するなど、デザインが大きな魅力になっいています。
清潔設計の野菜室抗菌お手入れトレーと取り外せるチルド棚
冷蔵庫の製造は結構面倒です。トレイを外せるものは外して洗うのですが、シンクだと不自由分なところもあり、お風呂場を使うこともあります。しかし、まだ外せるものはいいのです。チルト室の上棚。チルド室は温度も違えば、湿度も違う。そして特殊な機能を設けているメーカーもあり、ここの棚はほとんどの場合外せません。余った鍋料理を置くなど汚れやすいにも関わらずです。布巾で拭いて綺麗にするわけですが、隅にはどうしても汚れが残ってしまったりします。
今回は、野菜室のクズを簡単に取り出すことができる抗菌お手入れトレーとチルド棚を取り外せるように設計してあります。コロナ禍で色々なところの清潔度が見直しされていますが、とてもいい感じです。
当然、プラズマクラスターは搭載されており、カビ、臭い対応もバッチリです。
AIoTも強化
お話しできるAIはいくつかありますが、シャープの最大の特徴は、かわいい声で極めて流暢な日本語を喋ることです。Amazon Echo などとはすごーく違います。
この会話できるAIですが、ユーザーの評判もよく、さらにできることを増やしていくとか。今回は、理三この掃除で忘れがちになるパッキンの掃除アピール(半年に一度)も搭載されています。
その他の強化ポイント
そして庫内のLEDには「おやすみモード」が設けられました。常に白色で高校と照らすのではなく、優しくテラスわけです。
そして作り置きルームでは、アジ7日間、牛もも12日間と、保存も見直されています。
そしてメガフリーザー、雪下シャキッと野菜室、冷蔵室・冷凍室の仕切り、トレーなども見直しされています。
細かいところまで手が入っており、かなり使い勝手が改善されています。
未来へのステップ
(1)蓄電池連携
さて、冷蔵庫で一番困ることはなんでしょうか? それは単純に使えなくなることですね。故障、停電、原因はなんでもいいのですが、冷蔵庫はストップすることが最大の問題。氷、冷凍食品は溶け出し、水浸し。冷蔵品、特に肉、魚は傷みますし、夏場だと臭気を発するかも知れません。
シャープは、この冷蔵庫を蓄電池連携にしてしまいました。電池技術が大幅に進んだ現在、色々なメーカーが蓄電池システムを市場に送り込んでいます。シャープもその一社。JH-WB9621で、「冷蔵庫/野菜室は約10℃、冷凍室 約-15℃で、3.3日、冷凍室のみ10℃の設定で約4日です。
私は、蓄電池での自衛は考えるべきという考えでいます。しかし、できれば、それを納める専用スペースが欲しかったですね。蓄電池は道具ですからね、。結構置き場に困ります。そこまで考えてもらえると嬉しかったです。
(2)ストックアシスト
ストックアシストというのは、よく使う特例の食材下に重量センサーを設置。重さで在庫管理を行うものです。シャープが初めてではありません。パナソニックが商品化しています。今回シャープはこのシステムをキャンペーンで試します。システムに盛り込むかどうかを検討するためでしょうね。
最後に
2022年モデルは、このように、今まで至らなかった部分を修正。次のステップの基礎を固めたモデルになると思います。ある意味、今までの集大成。今後は、やはりAI中心に開発が進められると思います。2022年モデルは、ある意味、お買い得なモデルと言えます。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。