注目の仮想アース機器。今回はアコースティックリバイブとKOJOテクノロジーの2モデルを持ち込み、どんな効果があるのか試してみた。CDとレコードを音源として、オーディオシステムのどの部分に対策するのがベターか、いろいろなパターンで音の変化を検証してみよう。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
[別記事:【仮想アースとは】サウンドが劇的に変わると大評判!電位を安定させてノイズを減少させる→]
アコースティックリバイブ(アコリバ)とKOJOテクノロジー。見た目が異なる仮想アース機器だが、どちらもアースケーブルが付属し、すぐに使える製品だ。今回は、この2モデルで試聴チェックを行いたい。
試聴に使うシステムを、ざっと紹介しよう。音声信号の上流側にはCDプレーヤーとプリアンプ、下流側にはモノラルのパワーアンプがあり、スピーカーは最新鋭のパラダイム・ペルソナBだ。
「RGC-24K」を試す!
アコースティックリバイブ
RGC-24K
実売価格例:10万6480円
トルマリンや水晶などの天然鉱石の粒子に貴陽石を加え、効果をさらに増強させたバージョンアップモデルだ。付属ケーブルにもこだわり、上級モデルと同様の素材や構造を採用。
付属ケーブル
ケーブルはテフロン絶縁のPCトリプルC楕円単線で、端子形状は、オーディオ機器側がYラグで、本体側は独自の機構を持つパナナプラグを採用。
本体側を接続
本体の丸い穴に付属アースケーブルのバナナプラグを差した状態で回転させると先端が開いて抜けなくなる。アコリバらしい工夫だ。
CDプレーヤーに接続
付属ケーブルのYラグをオーディオ機器のアース端子に接続する。アース端子がない場合は、付属のRCAアダプターを装着しよう。
音のきつさや雑味がスッと収まった
まず、RGC-24K。価格は10万円と少々で、本体、ケーブルとも最高級のグレードだ。円盤型の本体には貴陽石、トルマリン、水晶などの天然鉱石の粒子を調合して詰め込んでおり、大量のマイナスイオンを発するのが、長い伝統を持つアコリバの特徴である。
早速、CDプレーヤーにRGC-24Kをつなぎ、指定どおり、電源トランスの下にセットした。聴いたのは、私のリファレンスCD「Jazz Bar2011」から「The Letter」だ。
これが、仮想アースの効果なのか! 周辺が静かになり、S/Nが向上。きつさや雑味がスッと収まった。ノイズレベルが下がって、音楽が浮き上がってきた感じだ。しゃかしゃかした高音域が滑らかな質感に変わって、生き生きと闊達なピアノトリオが目の前に現れた。と同時に、密度やエネルギー感もグンと強化されたのだ。質感の緻密さ、滑らかさが素晴らしい。
クラシック、ロック、ポップスも、強弱の起伏がずっと大きく、輪郭も鮮明。わくわくする臨場感に感動した。レコード再生のデリケートな信号は、さらに仮想アースの効果がわかりやすい。
「Crystal E」を試す!
KOJOテクノロジー
Crystal E
実売価格例:3万7840円(1台)/6万8200円(2台セット)
KOJOテクノロジーの最新仮想アース機器だ。金属6層から8層へと拡張し、層の間隔をあけて、従来比1.75倍の表面積を確保している。2台セットのモデルも用意される。
付属ケーブル
専用のアースケーブルが2本付属する。ノーマルな4Nグレードで、先端は、「RCA-Y」と「Y-Y」とがある。いずれも金メッキ仕様だ。
本体側を接続
本機では「FROM EQUIPMENT」と「ADD E」と書かれた2つの仮想アース端子を装備。オーディオ機器とつなぐ際は、前者に接続する。
CDプレーヤーに接続
CDプレーヤーにはアース端子がないので、「RCA-Y」タイプのケーブルを使用。シャーシに接続する場合は、「Y-Y」タイプがおすすめだ。
スピーカーに取り付ける方法もある
仮想アースは、プレーヤーなど、音楽信号の上流側の機器につなぐと効果的といわれるが、本機では、スピーカーにつないだときの効果も劇的だ。オーディオ機器と本機の接続は「1対1」が原則なので、左右それぞれに1台ずつ、スピーカーの「-」側端子と本機の仮想アース端子をつなごう。
増設することも可能
増設する場合は、1台めの「ADD E」端子と、2台めの「FROM EQUIPMENT」端子をアースケーブルでつなげばOK。理論上、表面積が増えてアース効果が高まる。
プレーヤーはもちろん、スピーカーでも効果大
次に、KOJOテクノロジーのCrystal E。本機の特徴は、表面積を大きくアップした金属の板8層による高いアース効果だ。本体はコンパクトな箱型で、手ごろな価格がうれしい。アースケーブルも2本付属する。今回は、複数連結などを考慮して、3台を用意した。
まず、CDプレーヤーに接続すると、ナチュラルで癖のない、確実な音質アップの効果を見せた。仮想アースなしで聴いたときと比べると、固まりがほぐれて、平面的だった音が立体的になった。S/Nや純度感が高まり、視野がぱっと開けた感じだ。
「The Letter」や、新録音の女性ボーカル、クラシックも、実にみずみずしく、聴いていてうれしくなった。いい意味で派手さのない音色感だ。うるささが消え、落ち着いて音楽そのものに入っていける。と同時に立ち上がりの勢いがよく、エネルギー感がアップする。
大編成オーケストラの「幻想」や「巨人」は、緻密でありながら起伏の大きなDレンジ感を楽しませてくれた。LPレコードの再生では、さらに繊細で味わい深く、スリリングな瞬間だ。
続いて、左右のスピーカーそれぞれに、Crystal Eを接続してみた。なんと、ボトムの伸びがすごい。膨らみを抑え、よく締まったキレと弾力のある低域再現だ。低音が変わると音楽全体が変わるので、スピーカーがワンサイズ大型になったかと錯覚するような大変化にのけぞった。
では、スピーカーに2台つないだまま、1台をCDプレーヤーからプリアンプにつなぎ替えたらどうだろうか。すると、低音のキレに加え、中〜低音域まで厚みがアップした。より音のスケールを大きくしたいときに効果的だ。
なお、CDプレーヤーに本機を2台、3台と増設して、集中的に対策した場合も試したが、予想を超える大きな効果が得られることがわかった。
■解説/林正儀(AV評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。