レコードプレーヤーのメーカーによって、それぞれどんな持ち味があるのか。人気7ブランド「オーディオテクニカ」「ティアック」「テクニクス」「デノン」「プロジェクト」「ヤマハ」「レガ」をピックアップして、特徴やラインアップなどを見ていこう。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
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オーディオテクニカ
自社製カートリッジを搭載した製品をラインアップ
1962年の創業以来、フォノカートリッジを作り続けてきたオーディオテクニカ。1967年には独自のVM型カートリッジを開発するなど、アナログにゆかりのあるブランドだ。近年は、ベルトドライブ方式のレコードプレーヤーにも注力している。
最上位のAT-LP7、カジュアルなAT-LP60Xなどのラインアップがあり、自社製カートリッジを搭載。今注目なのが厚手のベースシャーシを採用したエントリーモデル、AT-LPW50BTだ。人気のVM型、VM95Eにフィノイコライザーを搭載してセッティングも簡単。初心者に優しいモデルだ。
ティアック
エントリークラスをメインに、20万円クラスまでカバー
ティアックは、プロ用録音機などを広く手がける総合オーディオメーカー。レコードプレーヤーは比較的最近の参入で、ベルトドライブ方式とダイレクトドライブ方式を使い分けている。エントリーをメインに、ハイファイリスナー向けの20万円クラスまでカバーしている。
TN-4D-SEはスタイリッシュなダイレクトドライブ方式で、サエクとコラボしたアームを備えた意欲作だ。TN-400BT-SEはBTトランスミッター内蔵のベルトドライブ方式。同じくTN-5BBはXLRバランス出力を搭載した高級仕様だ。重厚かつモダンなデザインが所有欲をそそる。
テクニクス
ダイレクトドライブ方式を得意とし、DJ用など製品も多彩
テクニクスは、パナソニックのオーディオブランドだ。2014年に復活。アナログプレーヤーでは独自のダイレクトドライブ方式を得意とし、DJ用プレーヤーのSL-1200シリーズが先行して登場。シリーズ発売50周年記念限定のカラーバージョン、SL-1200M7Lなど、さまざまなバリエーションがある。
最高峰のSL-1000RとアームレスのSP-10Rは、マニア間で人気が沸騰。往年の熟練エンジニアも開発に加わるほどの力の入れようだ。ハイファイエントリー機としては、シンプルな仕様のSL-1500Cの人気が高い。
デノン
110年の歴史を持つブランドで、DP-500Mがロングセラー
アナログ全盛時代から長く人気を博しているのが、110年の歴史を持つデノン。放送局用の大型ターンテーブルや、その流れをくむ高級機を歴代手がけており、テクニクスと並ぶダイレクトドライブの両横綱だ。
製品は、DP-500Mがロングセラー(DP-1300MKIIは生産完了)。カートリッジでは、110周年記念のDL-A110が話題になった。中堅プレーヤーにはDP-400/450USBがあり、これは往時の設計思想に回帰したデザインシリーズで、S字型アームをOBの協力で開発。フォノイコやUSBメモリー録音機能(450USB)を搭載する。
プロジェクト
CD全盛期の1990年に、あえてアナログに参入した
音楽の都、ウイーン生まれ。CD全盛期の1990年に、あえてアナログに参入したブランドだ。
12インチのロングアームと10キロ超のアルミ合金プラッターを持つXTENSION12RSを頂点に、一貫してベルトドライブ方式による高い音楽性を追求。XTENSION9TAは、9インチショートアームタイプだ。コンパクトにまとめられた、取り回しやすい筐体も魅力。
X2シリーズと弟分のX1は、オシャレなマット仕上げ(3色)で、MM型カートリッジがプリマウントされている。さらに、CLASIC EVOなどラインアップも豊富だ。
ヤマハ
往年の名機の思想を受け継ぐGT-5000が愛好家に人気
ヤマハといえば、往年の名機、GT-2000だろう。その「GT思想」を現在に受け継ぐのがGT-5000だ。
「フラッグシップHiFi5000シリーズ」の一員で、14.3キロの巨大な木質系キャビネットに、二重構造の大径プラッターを装備したベルトドライブ方式。カーボンパイプのピュアストレート・トーンアームとXLRバランス出力の装備が、アナログ愛好家の間で話題だ。
そのほかは、ベルト駆動の入門クラスで、ネットワークターンテーブルのMusicCast VINYL 500と、シンプルなフォノイコ内蔵型のTT-S303がある。
レガ
Planarシリーズで知られる、英国の老舗ブランド
45年の歴史を持つ、英国の老舗ブランドだ。ターンテーブルの生産、開発を続けてきた数少ないメーカーで、ダイナミックバランス型のトーンアームからカートリッジまでメイドインUKにこだわっている。
Planar10はシリーズの最高峰で、スケルトンデザインをさらに進化。プラッターはセラミックだ。高性能な別電源とカスタムモーター/ベルトで、スムーズな回転を得ている。MC型のApheta3カートッジを搭載した贅沢な仕様だ。
そのノウハウをPlanar8、同6など、下位モデルに展開している。Planar1 mk2は、レガの入門モデルだ。
■解説/林正儀(AV評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。