【レコード盤の扱い方】プレーヤーにセットするだけではない!再生前の作法・正しい保管方法

家電・AV

現在流通しているレコードは、ビニール盤(ヴァイナル盤)と呼ばれる塩化ビニール素材を使ったものだ。たいへんデリケートで、盤面に傷が付いたり指紋が付いたりすると、そこからカビが発生してしまうので要注意。取り出してターンテーブルにかける際も、盤のフチ以外には指を触れないこと。

本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

[別記事:【レコードプレーヤーのセッティングと操作】林正儀がおすすめする「アナログ」の楽しみ方→]

レコード盤の扱い方

レコードの盤面に触れないようにして、両手で挟むように持ってプレーヤーにセットする

現在流通しているレコードは、ビニール盤(ヴァイナル盤)と呼ばれる塩化ビニール素材を使ったものだ。

A面とB面の両方に音溝が刻まれていて、サイズによって、30センチのLP盤と17センチのEP盤があるのはご存じのとおり。再生スピード(回転数)は、LPレコードの場合は33 1/3回転が標準で、EPは盤が小さいぶん、スピードの速い45回転と規定されている。

ジャケットの内カバーからレコード盤を取り出して手に持ち、ターンテーブルにかけるまでが扱い方の基本になる。

このとき注意すべきは、レーベルとレコード盤のフチ以外には指を触れないことだ。

レコードはたいへんデリケートなもの。盤面に傷が付いたり指紋が付いたりすると、そこからカビが発生してしまうので要注意。

持ち方は、片手持ちと両手持ちがある。袋から取り出した時点では、片方の手で下から支えるように持つのが一般的。親指をレコードのフチに掛けると、ほかの指は自然と中央のレーベル部を支える感じになる。

そのまま、もう片方の手を添えて、盤のフチを両側から挟むようにすれば両手持ちとなる。そして、かけたい面を上側にして、シャフト(軸)をねらってターンテーブルにセットすればいい。

レコードは、いちばん外側が1曲目で、そこから内側に向かって2、3、4曲目と進む。曲間の部分には太めの溝が入っているので、途中の曲をかけたいときは、そこに針を落とそう。

レコードの種類

サイズの違いで、30センチのLP盤と17センチのEP盤とがある。後者は、盤の中央に丸い穴があいているので、かける際にはEPアダプター(プレーヤーに同梱)を利用する。

レコードの持ち方に注意しよう

盤面には直接触れないことが重要だ。片手持ちの場合は、親指を側面に、ほかの指でレーベル部を支えよう。

左手と右手で挟むように盤を支える。くるっと回してA面かB面かを選び、そのままターンテーブルにかけよう。

ターンテーブルには丁寧にセット

両手でレコード盤を持った状態で、ターンテーブルにセットするのが基本スタイルだ。盤面を見ながら、中心にある穴に丁寧にシャフトを通そう。

レコード再生前の作法

基本はクリーニング。レコードをかける前に、クリーナーでホコリを拭き取ることが肝心

レコードは再生の前後など、ふだんのメンテナンスが肝心だ。それによって、レコードの音や盤質がデリケートに変わってくる。

その基本は、クリーニングで、レコードをかける前に、クリーナーでチリやホコリを拭き取ることが作法の第一歩になる。クリーナーには、ベルベット素材ブラシなどの乾式と、液を使う湿式とがあり、両方がセットになった製品もある。

気を遣いたいのが、盤を拭くときの方向だ。CDのように盤面の中心から外側に拭くのは絶対NG。レコードの場合は、溝に沿って円周方向に行うのが正解だ。

軽いホコリなら、プレーヤーを回転させながら盤面にクリーナーを当ててもいいが、トルクの弱いベルトドライブプレーヤーだと好ましくない。ちょっとコツがいるが、ターンテーブルを手で回しながら拭くと、ホコリがきれいに取れるのでお試しあれ。

また、シュッと一吹きのスプレー式クリーナーも便利だ。静電除去効果があるのでホコリを吸い寄せず、再生時のスクラッチノイズ(「パチパチ」という雑音)の低減に効果がある。

もう1つ、針先のケアについて解説しよう。

針先にゴミが付着したままレコードを再生することは、カートリッジだけでなくレコードにも悪影響がある。音質を著しく劣化させ、針の寿命も短くなるので要注意だ。

こちらも乾式と湿式の2タイプがあり、アナログリスナーなら必須アイテム。針先にブラシを当てる方向には特に気をつけ、こまめにケアしたい。ただし、湿式を使わないよう告知しているメーカーもあるので注意しよう。

レコードクリーナーでホコリを取ろう

レコードクリーナーをレコードの溝に沿って、円を描くように動かそう。ターンテーブルを手で回しながら拭くとホコリがきれいに取れる。

汚れが気になるときはスプレーを使おう

レコード盤から30センチ程度離して2~3秒、全体にムラなく噴射しよう。その後、乾式のクリーナーで拭き取ればいい。

カートリッジは、針先クリーナーでケアしよう

針先にたまったゴミ、チリは音質を下げ、針の寿命も短くなるので要注意だ。針先クリーナー(スタイラスクリーナー)で定期的にケアしよう。

レコードの保管方法

指紋を付けず、盤面をクリーニングしたらジャケットへ。これが保管前の作法だが、そのあとは、どんな場所にどう保管すればいいだろう。

まず、重ねずに立てた状態で収納すること。重ねると重みで変形する心配もあるし、通気性が悪くなると、紙製のジャケットは湿気を吸うためにカビが出やすい。斜め置きもレコードが反るので御法度。仕切りのあるレコードケースに、きちんと立てて保管しよう。

そのほか、直射日光を避ける、結露を避けるなど、置き場所にも要注意だ。

レコードは立てて保管する

レコードはまっすぐ立てて保管しよう。斜めに立てかけたり、平積みするのはレコード盤が反る原因となる。

■解説/林正儀(AV評論家)

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。

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