スピーカーは、イタリアの風土が生んだソナス・ファベール・Sonetto I。このクラスのスピーカーでは抜群に音楽性が高い。たたずまいも”美”だ。弦楽器のリュートを思わせる後部を絞り込んだエンクロージャー、ダークオークの木目、人工皮革の天板など、まさにイタリアテイストである。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
[別記事:【麻倉怜士推奨】おすすめコンポ6セットはコレ!スピーカー中心でセレクト→]
スピーカー ソナス・ファベール「Sonetto I」
イタリア
実売価格例:21万7800円(ペア)
●幅219mm×高さ359mm×奥行き315mm
●7kg(1本)
北イタリア・ヴィチェンツァの工房で生産される同社の入門的スピーカー。150ミリ・コーン型ウーハーと29ミリ・ドーム型ツイーターの2ウエイ・バスレフ型。
SACD/CD/ネットワークプレーヤー アーカム「CDS50」
イギリス
実売価格例:14万3000円
●幅433mm×高さ87mm×奥行き283mm
●5.3kg
SACDが再生できるヨーロッパブランドのCDプレーヤーは珍しい。 192kヘルツ/32ビットのD/Aコンバーターを搭載し、USBメモリー、ネットワーク再生にも対応する。
プリメインアンプ マランツ「MODEL 30」
日本
実売価格例:31万1300円
●幅443mm×高さ130mm×奥行き431mm
●14.6kg
かつてのマランツの名機をオマージュした、懐古調デザインの最新プリメインアンプ。流行のDACやネットワーク機能は搭載しない。音楽性を濃厚に感じさせるサウンドだ。
組み合わせ価格:67万2100円
「イギリス×イタリア」のヨーロッパサウンドに陶酔する
スピーカーがイタリア、SACDプレーヤーが英国のヨーロッパサウンドを聴く。
スピーカーは、イタリアの風土が生んだソナス・ファベール・Sonetto I。このクラスのスピーカーでは抜群に音楽性が高い。北イタリア・ヴィチェンツァの自社工房での生産によるピュアなメイド・イン・イタリアだ。ユニット素材は、ウーハーとスコーカーが繊維系、ツイーターがシルクドームで、同ブランドが好みのデンマーク製。
そして、たたずまいも、”美”だ。弦楽器のリュートを思わせる後部を絞り込んだエンクロージャー、ダークオークの木目、人工皮革の天板など、まさにイタリアテイストである。
SACDプレーヤーは、英国・アーカムのCDS50。1976年に創業されたメーカーで、ヨーロッパでは根強い人気を持つ。ヨーロッパ製のプレーヤーは多いが、SACD再生可能はたいへん珍しい。USBメモリー、ネットワーク再生にも対応する。
入り口と出口をヨーロッパで固め、スピーカーを駆動するプリメインアンプは、デザインも音も音楽的な日本製のマランツ・MODEL 30だ。昔のマランツの名機をオマージュした、人間的な温かみを感じさせる懐古調のデザインは、カリフォルニアのデザイナーの手によるもの。
音調も大いに違うのである。これまでのマランツの直截的なサウンドとは異なり、雰囲気のある情緒的な音で、グラデーションが細やかな音楽性の高い音とも形容できよう。クラシカルなパネルデザインと歩調を合わせたサウンドトーンだ。
このMODEL 30とSonetto Iは、音楽的相性が抜群にいい。品質感が高く、情報量と情緒量がウェルバランスし、表現性も濃い。
「情家みえ/エトレーヌ」を唄わせると、ボーカルの立体感や質感が素敵で、音の躍動感、倍音感もリアルだ。音像がしっかりとイメージされ、1つ1つの音像が持つ優しさや、人間性といった奏者の表情まで見えてくるのが感動の理由だ。アーティストのところまで行って、「あなたはどういう意図で歌ったのか?」と尋ね、その思いがわかるようなヒューマンな再現性ともいえよう。
■解説/麻倉怜士(デジタル・メディア評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。