私の感覚だと、システムの音の7割はスピーカーの音色が占める。スピーカーは「楽器」である。「スピーカーを鳴らす」といういい方があるが、それは「楽器を鳴らす」と同意だ。なので、システム作りでは、よく鳴ってくれるスピーカーを選ぶことから始める。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
今回のセレクトテーマ
(1)KEFの最新傑作同軸スピーカーの優秀音場を聴け!
(2)世界的スピーカー設計者の最終スピーカーは大傑作
(3)「イギリス×イタリア」のヨーロッパサウンドに陶酔する
(4)旧くて新しいJBLサウンドの奥深い魅力
(5)ジャパンブランドの最新傑作スピーカーを愛でる
(6)音のプロ御用達リファレンススピーカーによるハイレゾ対応デスクトップシステム
「魅惑のコンポ」麻倉怜士の推奨セット
システムで最も重要な要素がスピーカーである。スピーカー中心のセレクションをお届けしよう。
最近は音楽メディアが激増し、サブスクのような定額サービスも普及してきたが、どれほど事態が変わろうとも、ユーザーが家庭にて音楽を聴くためのオーディオの要素は、(1)CDプレーヤーなどの音源機器、(2)増幅機器のアンプ、(3)電気/機械変換のスピーカー(もしくはヘッドホン)の3点セットだ。
では、これらの中で、音楽を心から楽しむための最も重要な要素は何か。それは、「スピーカー」である。「スピーカーがいちばん大切」というのは、未来永劫変わらない原則なのだ。
信号的に、システムの始まりはレコードプレーヤー、CDプレーヤー、ネットワークプレーヤー、パソコン+USB DACなどの音源機器だ。アンプがネットワーク機能やDAC機能を持つことはあるが、それも、再生の始まりは音源回路になる。
音源からの小さな信号を増幅するアンプも大事。いかに信号においしい食事を与え、健康的に音の生命力をアップし、それをスピーカーに送り込むか。
そして、最も音質に責任を持つのがスピーカーで、私の感覚だと、システムの音の7割はスピーカーの音色が占める。
スピーカーは「楽器」である。「スピーカーを鳴らす」といういい方があるが、それは「楽器を鳴らす」と同意だ。なので、システム作りでは、よく鳴ってくれるスピーカーを選ぶことから始める。
次に、そのスピーカーを最もよく鳴らすアンプ、最後に、その組み合わせに合う音源機器という順番で選択するのが賢い。
スピーカーは、オーディオ的なクオリティというより好みで選ぶのがいい。本稿では、小型同軸スピーカーや世界的スピーカー設計者の名人芸など、スピーカー中心のセレクションをお届けしよう。
そのシステムの実力を知るための音源としては、女声ボーカルとオーケストラ作品が、最適だ。声で質感表現力が明確にわかり、オーケストラで楽器の音色再現性、音場感、音像感などがわかる。
今回は、UAレコード「情家みえ/エトレーヌ」から「チーク・トゥ・チーク」と、クルレンツィス&ムジカエテルナの「モーツァルト/フィガロの結婚」序曲で、各システムの音調を報告する。
■解説/麻倉怜士(デジタル・メディア評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。