【ウイスキー飲み比べ】米国14年間の禁酒法時代に想いを馳せて…『カティサーク』のオリジナルとプロヒビションを試してみた

酒類

ウイスキーを選ぶとき、同じブランドでも、スタンダードよりもワンランク上のもののほうが、よりおいしくて、実はコストパフォーマンスも高いのでは? と思ったことはありませんか? そこで筆者が実際に試してみました。今回は「カティサーク オリジナル」と「カティサーク プロヒビション」です。

齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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100年の歴史を誇るスーパースタンダード「カティサーク オリジナル」

悪名高き禁酒時代の密輸の英雄をたたえる「カティサーク プロヒビション」

2023年に誕生から100年を迎えた「カティサーク オリジナル」。淡麗で軽い味わいのウイスキーとして多くの方に認識されているのではないでしょうか。

 

みなさんは晩酌用のお酒をどうやって選んでいますか? 筆者はだいたい1週間で700mlのボトルを1本飲んでしまうので、週に1度、今週飲むお酒を選ぶのが楽しみの1つです。基本的にはなんでも飲むのですが、炭酸水で割るのが好きなので、ウイスキーやジン、ウォッカといったスピリッツ類が中心になります。

 

円が強かった頃は1,000円もしくは1,000円以下のスコッチがたくさんあったので、それらを飲み比べたりして楽しんでいました。しかし、最近では1,000円スコッチの多くも1,000円を超え、近所で手に入る銘柄はだいたい飲み尽くしてしまったのです。

 

そこで、筆者が最近興味をもっているのが、同じブランドのワンランク上の銘柄です。ジョニーウォーカーでいうならば「ジョニーウォーカー レッドラベル」ではなく「ジョニーウォーカー ブラックラベル」。バランタインでいうなら「バランタイン ファイネスト」ではなくて「バランタイン 7年」といった銘柄。

2013年に登場した「カティサーク プロヒビション」。「カティサーク オリジナル」と異なり、濃厚でリッチな味わいが特徴です。

 

多くの場合、スタンダードボトルが1,000円前後だとワンランク上に銘柄が2,000円前後、スタンダードボトルが1,500円前後だとワンランク上が3,000円前後といったことが多く、ほとんどの場合「倍の値段を出すほど味は変わらない」と思い込んで試していないか、試したとしても高い方だけを購入して飲み、実際に比較まではしていないことがほとんどでした。

 

そこで筆者は2本のボトルを同時に入手して実際に飲み比べてみることにしたのです。そして、今回取り上げるのは軽い口当たりでさわやかなウイスキーの定番ともいえる「カティサーク オリジナル」と禁酒法廃止80周年を記念して発売された「カティサーク プロヒビション」です。入手時の価格はどちらも税抜で「カティサーク オリジナル」が980円、「カティサーク プロヒビション」が1,980円でした。

 

まずはそのままストレートで試してみた

まずはそのままストレートで試してみました。「カティサーク プロヒビション」は色合いも濃厚になっているのがわかります。

 

アルコール度50度の「カティサーク プロヒビション」のしっかりとした飲み応え

今回は「ストレート」「ロック」「ハイボール」「水割り」の4種類の飲み方で試してみました。そして、最初はそのままのストレート。

 

いまからちょうど100年前に「より軽いスタイルの新しいブレンデッドウイスキーを作る必要があるという結論」から生まれた「カティサーク オリジナル」。繊細でさわやかなウイスキーの代表格といます。これに対して、プロヒビション(禁酒法)という名前の由来となったアメリカの禁酒法が廃止されてから80年周年を記念して作られた銘柄である「カティサーク プロヒビション」とはまったく異なる味わいです。

 

1920年代のアメリカ禁酒法時代にカティサーク ウイスキーを密輸した伝説の船長ビル・マッコイに敬意を表したカティサーク・ファミリーの2番目のウイスキー「カティサーク プロヒビション」はリッチで力強い味わいを目指して作られたといいます。

 

両極端といってもいい味を目標に調整されたふたつのウイスキーは当たり前ですが、味わいも両極端。軽快でさわやかな「カティサーク オリジナル」に対して、重厚でどっしりとした味わいの「カティサーク プロヒビション」ではほとんど好みの世界です。

ただし筆者はストレートで飲むなら重厚でアルコール度も高い「カティサーク プロヒビション」が圧倒的に好きです。というよりも「カティサーク オリジナル」はストレートで飲むためのウイスキーという印象を受けないのです。

 

氷を加えてロックでゆっくりと楽しんでみた

氷を加えてロックで楽しんでみました。自宅での毎日の晩酌をイメージしているので氷も普通のものです。色合いの差がよりはっきりとわかります。

 

アルコール度が高く、味わいが濃厚でリッチな「カティサーク プロヒビション」が優位

100年もの歴史を誇るカティサークファミリーの2番目のウイスキーの名前がプロヒビション(禁酒法)なのか? なにせ日本語にするなら銘柄が「カティサーク 禁酒法」といえるのが「カティサーク プロヒビション」です。

この理由は約100年前に「カティサーク オリジナル」が生まれた背景にあるといいます。1920年代といえばアメリカの禁酒法時代、「カティサーク オリジナル」はこの禁酒時代のアメリカに密輸する前提で生まれたウイスキーだそうです。

 

そして、その密輸で大活躍したのが前出の船長ビル・マッコイ。マッコイ船長は、ギャングとは取引せず、最高級の混じりけのない酒を提供するという評判だったといいます。そんなマッコイ船長に敬意を表して、禁酒法廃止80年を記念して発売されたのが「カティサーク プロヒビション」だというわけです。それは骨太なウイスキーになりますよね。

 

というわけで、2杯目は氷を加えただけのロックで味わってみました。繊細でさわやか、そして飲みやすいという点では当然「カティサーク オリジナル」が優位。ですが、酒好きにとっては物足りないという印象も否めないのです。これに対してアルコール度が50度で、甘みを感じる複雑な香り、長めの余韻とスパイス的な印象も受ける「カティサーク プロヒビション」のほうが氷が溶けていく過程も含めて、その味わいがゆっくりと楽しめるのはいうまでもありません。

 

もっともよく飲むハイボールでも比較してみた

ウイスキーと炭酸水の割合は1:3。炭酸水の割合が多いのですが、それでも色合いの違いはしっかりとわかります。味わいもかなり異なります。

ハイボールでも筆者の好みはより力強い印象の「カティサーク プロヒビション」

帆船の名前っていくつ知っていますか? 筆者はカティサークと日本丸くらいしか知りません。しかし、日本丸は機関を搭載しているので、正確には帆船ではないのかも。それくらい有名な約150年以上前の帆船であるカティサークですが、現在でも保存されていることを知っていますか?

 

実はカティサークは1869年の進水し、約80年後1950年くらいまでは羊毛や石炭を運んだり、最終的には練習船になったりしながら活用され、1951年にカティーサークトラストに寄贈され、1954年にテムズ川に面するグリニッジに移され保存展示されることになったといいます。そして、いまでもグリニッジ天文台から徒歩で15分ほどのところに展示されているそうです。

 

ちなみに現存する唯一のティークリッパー船ともいわれているカティサークですが、いまやスコッチウイスキーの名前としてのほうが有名でしょう。その「カティサーク オリジナル」と「カティサーク プロヒビション」をハイボールでも比べてみたのですが、飲みやすさという点で、ハイボールは「カティサーク オリジナル」が優位かと思ったのですが、実際に飲んでみると、筆者は「カティサーク プロヒビション」が好き。

 

ウイスキーと炭酸水は1:3で作ったのですが、筆者には「カティサーク オリジナル」は味わいがスムース過ぎるように感じられるのです。それに対して「カティサーク プロヒビション」の濃厚な味わいは炭酸水で割ってもしっかりと残っており、飲み応えも感じられます。

 

スタンダードに水割りでも楽しんでみる

ウイスキーと水の割合は1:2です。気のせいか、色の濃さの差が縮まったように感じられます。筆者は意外と水割りも好きです。

ウイスキーと水の割合は1:2です。気のせいか、色の濃さの差が縮まったように感じられます。筆者は意外と水割りも好きです。

完全に意外ですが、水割りについては「カティサーク オリジナル」が好き

禁酒法時代の密輸から積極的にアメリカへの輸出を行っていた「カティサーク オリジナル」は1961年にはアメリカで売上ナンバーワンのスコッチウイスキーになったそうです。またアメリカで100万ケースを売り上げた最初のスコッチウイスキーも「カティサーク オリジナル」です。

 

ある意味伝説的なウイスキーの1つである「カティサーク オリジナル」ですが、カティサークファミリーの2番目として「カティサーク プロヒビション」が生まれたのが2013年と結構最近。そんな歳の離れたきょうだいともいえる「カティサーク オリジナル」と「カティサーク プロヒビション」を水割りでも比べてみました。

 

水割りのウイスキーと水の割合は1:2です。ロックでも、ハイボールでも筆者は「カティサーク プロヒビション」が好きなので、水割りでも当然「カティサーク プロヒビション」に軍配が上がると思っていました。ですが水割りについては筆者は「カティサーク オリジナル」が好きです。水との親和性が高いというのか、「カティサーク オリジナル」を水でのばしたような、スムースな飲みやすさがすごくいいのです。逆に「カティサーク プロヒビション」は骨太の味わいが薄まることで本来のよさが発揮されていないように感じました。最近はあまり飲まないのですが、水割りなら筆者は「カティサーク オリジナル」のほうをおすすめします。

 

実売価格にもよるが味わいの方向性が違うので、気分で飲みわけたい

どちらもコストパフォーマンスが高いので両方常備するのもあり

「カティサーク オリジナル」と「カティサーク プロヒビション」はどちらもコストパフォーマンスの高いウイスキーに仕上がっています。

 

「カティサーク オリジナル」と「カティサーク プロヒビション」を4種類の飲み方で比べてみたのですが、どちらもコストパフォーマンスが高いのにびっくりです。100年以上愛されている「カティサーク オリジナル」の実売価格は場所にもよりますが、いまどき税抜なら1,000円を切っていることも珍しくありません。ただし1,400円近い価格で売られていることもあるので、実勢価格の振れ幅が大きいともいえるでしょう。

 

一方「カティサーク プロヒビション」の実勢価格は1本税抜2,000円前後。「カティサーク オリジナル」が1,000円切るようなお店と比べると価格は倍ですが、1,300円前後のお店で比べると、その差はかなり小さくなります。またアルコール度50%で実勢価格が2,000円を切るウイスキーはかなり少数派なので、低予算で濃厚でパンチのある味わいが楽しめる数少ないウイスキーといえるでしょう。

 

なによりも端麗でスムースな味わいが特徴の「カティサーク オリジナル」に対して、濃厚でパンチのある味わいが楽しめる「カティサーク プロヒビション」は、まったく特性の異なるウイスキーです。両方買っても税込で3,000円ちょっとと考えると両方ストックして、気分で飲み分けると、味わいの幅も広がって2本の平均価格が1,500円前後になるので、コストパフォーマンスも非常に高いといえます。

 

食前、食中は端麗な「カティサーク オリジナル」の水割りやハイボール、食後や寝る前は濃厚でしっかりとした味の「カティサーク プロヒビション」のロックやストレートを楽しむのもありでしょう。気分で使い分けるのがおすすめといえます。

カティサーク公式サイト

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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