極上の写真が撮れる!プロの直伝テクニック マクロ撮影編〈その2〉

文具・ホビー・カメラ

デジカメでもっときれいに写真を撮りたいと誰もが思うもの。実はちょっとした工夫で、写真はワンランクアップするのだ。前編に続き、後編をお届けしよう。

(4)二つの花を、どちらも生かして撮りたい

多重露出を使って両被写体をはっきり見せつつ、ボケに包まれたソフト感も演出

レンズを絞り込むと、近景から遠景までシャープに描写できる。だが、これは広角や標準のレンズで、被写体(ピント位置)が離れている場合の話。被写体が近いマクロ撮影では、近景から遠景までシャープに描写するのは不可能である。

だが、複数の画像を重ねて一つの画像を完成させる「多重露出」なら、画面全体はシャープにできなくても、奥行きのある(距離が異なる)複数の被写体にピントが合った写真を作ることができる。

これは、各露光ごとにピント位置を変えて撮影する手法で、出来上がった写真はシャープな像にボケが重なり、ソフトフォーカス効果が得られるのだ。

通常、この多重露出を行う場合は、重なりのズレを防ぐため、三脚を使用する必要がある。しかし、液晶ビューファインダーを搭載するミラーレス一眼の中には、直前に撮影した映像が半透過の像として残る機種もある。そういったカメラ機能を利用すれば、手持ちでも多重露出撮影が楽しめる。

【before】
手前の花にピントを合わせると、奥に見える花はボケる

マクロレンズで手前のベゴニア(画面右下)にピントを合わせる。当然、奥に見える花はボケてしまう。いわゆる、普通の撮り方である。

【このワザを使え!】
「多重露出撮影」をOffから2コマに変更。「自動ゲイン補正」Onで通常と同じ明るさに合成される

【完成】
構図を一定に保ちながら、ピント位置を変えた2枚を合成

1コマめで右下の花にピントを合わせて撮影し、そのコマの半透過像を頼りに構図を一定に保つ。続いて、奥に見える花にピントを合わせて2コマめを撮影し、両コマを合成した。
撮影DATA●オリンパス・E-M1 MarkII●60mmレンズ●絞り優先AE●1/250秒●F2.8●露出補正+0.3●WB晴天●ISO200

▲これは失敗!

1コマめの画像と2コマめの画像がずれた状態で合成されると、不自然な仕上がりになる。

(5)離れた場所にある小さな花を撮りたい

望遠ズームを使い、望遠側の画角で被写体をアップにする

マクロレンズは、一般のレンズよりも最短撮影距離が短く、小さな被写体を大きく写すことができる特徴を持つ。

だが、撮影場所によっては、思うように被写体に接近できない状況も多い。そして、多くのマクロレンズは、焦点距離が標準から中望遠(90ミリ前後)のため、被写体に近づかないと大きく写せないのである。

こんな場合には、マクロレンズではなく、望遠ズームレンズを使って撮影するといい。そうすれば、被写体から離れていても、けっこうな大きさに写すことができるだろう。

もちろん、マクロレンズのような高倍率を得ることはできないが、中望遠の画角では難しい、大きく臨場感のある被写体の様子をとらえることができるのは魅力だ。

【before】
中望遠域の画角ではいま一つ

花壇や水面の花などの場合は、近づける距離が限られる。そういう状況だと、中望遠域の画角では大きく写せない。

【完成】
300ミリの望遠ズームで大きく写せた

どんなに近づいても1メートル以上は離れているスイレンの花。ズーム全域1.2メートルまで接近できる望遠ズームで大きく写せた。

撮影DATA●ニコン・D7500●70-300mmレンズ(300mm)●絞り優先AE●1/500秒●F5.6●露出補正+0.7●WB晴天●ISO125

(6)普通に撮ったら色が平凡だった……

外付けストロボを活用して、花に透明感や立体感を出す

その場の光を生かして撮影するのが写真としては理想だが、外光が入らない屋内や、夜間、薄暗い物陰などでは、光にメリハリのない、単調な描写になりやすい。

また、光量が少ないため、シャッター速度も遅くなりがちで、手ブレも起こしやすい。かといって、ストロボを発光させて撮ると、のっぺりと平板的な描写になってしまう。

こういった状況では、外付けストロボを使って、カメラから離した位置で発光させるといい。普通にストロボを発光させるのとは違う、変化に富んだ描写が得られるのだ。

使用するストロボには、ワイヤレス発光機能が必要。撮影時は、専用スタンドに装着したり、手持ちで腕を伸ばしたりして、立体感や透明感が出るように工夫しよう

【before】
はっきり写るが人工的な写真に……

カメラ(E-M1 MarkII)に付属の外付けストロボを装着して発光。はっきり写るが、平板かつ人工的な描写になる。

【このワザを使え!】
ストロボをカメラから離し、手持ちで発光させる

手持ちでストロボ光を当て、透明感を演出

上のイラストのように左手で外付けストロボを持って、赤い部分(仏炎苞)の後ろ側から光を照射し、花の透明感を演出してみた。

撮影DATA●オリンパス・E-M1 MarkII●60mmレンズ●絞り優先AE●1/60秒●F8●露出補正なし●WBオート●ISO200

撮影・解説/吉森信哉(フォトグラファー)
イラスト/松沢ゆきこ

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