❶スマホをWi-Fi経由でインターネットにつなぐと、ものすごく遅い!
NTTドコモなど大手キャリアのモバイル回線はCA(キャリアアグリケーション)などで高速化されており、コンディションがよければ100Mbpsを超える速度が出る。
これに対し、Wi-Fiは、自宅のネット回線(光回線)の実効速度が上限となる。
つまり、そもそも光回線の実効速度がモバイル回線より遅いという場合は、Wi-Fiのトラブルではないのだ。
試しに、有線接続のパソコンで光回線の速度を測り、スマホのWi-Fi速度はネット速度計測アプリで測ってみて、Wi-Fiが遅いのかどうかを判断するといい。
Speedtest.net
提供元:Ookla
対応OS:iOS、Android
Wi-Fiが遅い場合、最初に考えるべきは、近隣のWi-Fi電波との干渉だ。
スマホのWi-Fi設定画面に、何十ものSSID(接続先のID)が並ぶ場合、Wi-Fi速度の確保はあまり期待できない。
SSIDが少ないのに速度が遅い場合は、ルーターの設定で使用チャンネルを変えたり、MIMOや使用周波数幅を増やす設定(クワッドチャンネル)をチェックしたり、高速化関連の設定を確認したりする必要がある。
❷家の中で、つながる場所とつながりにくい場所があるのはなぜ?
Wi-Fiのつながる、つながらないが決まるのは、電波の強さである。
Wi-Fiの電波は、ルーターと端末間の距離が長かったり、障害物があったりすると減衰する。
つまり、ルーターと端末の間が見通せる場所では、減衰がほとんどなく、つながりやすい。ルーターが設置してある部屋で、目視できる場所ならば、電波が途切れることはまずないだろう。
逆に、ルーターを設置した部屋から遠い部屋で、電波が壁や天井を何枚も通過しなければならない場所は、電波が弱くなり通信はつながりにくくなる。
また、電波を遮断する物、例えば金属板に囲まれているユニットバスや金属シャッター、スチール棚に囲まれたガレージのような場所は、電波が届かないので、つながらない。
電波を届かせる対処方法としては、届かせたい場所にルーターを近づけるといい。理想的には、家屋の中心にルーターを設置したい。
それが無理なときは、ルーターと届かせたい場所の中間に「Wi-Fi中継機」を設置するのがいいだろう。
例えば、ユニットバスの場合、電波が通る唯一の場所はドアなので、ドアの前に中継機を設置すれば、ユニットバス内部に電波を導くことができる可能性が高い。
❸Wi-Fiによる通信は、盗聴・傍受される危険性がある?
Wi-Fiの盗聴・傍受の危険性は、もちろんある。
暗号化なし(パスワードが不要な接続)は盗聴され放題といっていい。
また、古い暗号化規格であるWEP方式の場合も、裏社会で流通しているアプリを使えば簡単に傍受されてしまう。
現在、最も安全といわれているWPA2方式も、昨年、脆弱性が発見され、そこを突かれると傍受されるおそれがある。
いずれも、悪意を持つ者が、自分のWi-Fi端末の電波が届く範囲にいる場合に起こりうるものだ。
ただし、アクセスするサイトがSSL暗号化されているのであれば、その内容が読み取られる危険性はほとんどないといえる。
WPA2の脆弱性は、Wi-Fi機器のファームウエア(内蔵プログラム)を更新することで対策可能ということで、メーカー各社の対応が始まっている。
スマホやパソコンの場合は、OSのアップデートでの対応となり、iPhone、Windows10はすでに対応済み。Androidもバージョン6以上のほとんどの機種でセキュリティアップデートが登場している。
Wi-FiルーターやWi-Fi子機に関しては、製品のファームウエア更新機能を使って、最新版にすればいい。
解説/福多利夫(フリーライター)