子供が学校に到着したか、学校を出たか。いまどこで遊んでいるのか。小学生の子供を持つ親は、常に気が気でない。そんな心配を解消できる手軽な方法が、GPSによる位置情報取得だ。今回は、実際に小学校3年生の子を持つ心配性の記者が、どこかなGPS(ソフトバンク)、GPS BoT(ビーサイズ)、みもり(マチコミ)、ファミリードット(ソースネクスト)、いまどこちゃん(楽天市場)などの中から、一番おすすめする最強のGPS追跡サービスを紹介する。ぜひ参考にしてほしい。(2020年4月10日更新)
子供用GPSの選び方
子供にスマホを持たせるのは不安。でも居場所は知りたい
まず、前提として、iPhoneでもAndroidでも、スマホにはGPS(Global Positioning System)が搭載されており、子供に格安スマホを持たせていれば、親は自分のスマホを使って、子供のスマホの現在位置を把握することができる。
しかし、小学生にフル機能のスマホを持たせること自体に不安を覚える人もいるだろうし、多くの小中学校では、スマホの持ち込みを禁止している。
そこで候補として挙がるのが、位置情報の取得を目的として開発された、子供用の携帯電話や専用のGPS端末である。
どこかなGPS (ソフトバンク)
一番おすすめは、安くてコスパ抜群のコレ!
一番のおすすめは、ソフトバンクが提供する、最新の位置情報サービスが「どこかなGPS(ジーピーエス)」だ。
特別な回線契約を必要とせず、本体を購入するだけで利用可能。本体価格1万3200円に、2年間の利用料金が含まれており、3年目以降は月額440円で使い続けることができる。ソフトバンクの製品だが、子供の位置情報をチェックする親のスマホはソフトバンクのものでなくてOK。ドコモでもauでも、各社格安スマホでも利用できる。
位置情報の取得は、GPS、準天頂衛星システム「みちびき」、携帯電話の基地局電波、Wi-Fi局の電波など、複数の情報を利用しており、従来の他社製品より高精度となっている。本体は約5センチ角で、他社の子供用GPS端末とほぼ同じ大きさだが、多機能である。


現在位置確認と移動履歴がわかる
子供用GPSのメイン機能は、現在位置の確認と移動履歴。
もちろん「どこかなGPS」は、それを備えており、親が自分のスマホで専用アプリを起動すれば「どこかなGPS」を持った子供がどこにいるか地図で表示される。位置情報の計測は、数分ごとに自動的に行われているので、移動履歴をみることも可能。計測頻度は設定で変更でき、計測感覚を長めに設定すれば、計測精度は下がるものの電池を長持ちさせることができる。
登録した場所の「到着」や「出発」を通知
あらかじめ登録した場所へ到着したときや、出発したときに親のスマホに通知する機能を搭載。学校や、よく行く公園、お友だちの家などを登録しておけば、子供の行動を自動的に把握できる。
「子供側」からも現在位置を通知できる
「どこかなGPS」本体についているボタンを押すと、その地点の位置情報を親のスマホに通知できる。つまり、子供の側から親に、「今いる場所」を教えることができるわけだ。これは、親側から位置情報をチェックするだけの機能しか持たない他社の子供用GPSに較べると、大きなメリット。初めていった公園から通知を出すとか、短時間で連続した位置情報を通知したら緊急事態、といった約束を決めておくことで、緊急連絡の手段としても利用できる。
「迷子防止」にも使える
親のスマホとBluetooth接続の設定をすれば、親のスマホから一定距離離れたときに、親のスマホに通知がくる。ショッピングモールなどに出かけたとき、迷子になるのを防ぐ機能として有効である。
親のスマホ1台で子供4人まで登録可能。子供1人の現在位置を家族4人でチェックできる。
親のスマホにインストールする専用アプリで、GPS端末4台まで利用可能。
逆に1台のGPS端末は、4人のスマホから位置情報をチェックできる。4人きょうだい全員にGPS端末を持たせて、母、父、祖母、祖父の4人で位置情報チェックができるというわけだ。

どこかなGPS
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GPS BoT (ビーサイズ)
次点は、ビーサイズ株式会社という、ベンチャー企業が提供する位置情報サービス「GPS BoT(ジーピーエスボット)」。
シンプルな角形GPS端末を最初にリリースした会社で、現在は登録者数ナンバー1となっているサービスだ。GPS端末は、5280円の「買い切り」で、サービスは月額528円。それ以外の料金は発生しない。
最近では、2年間の通信料込みの他社製品が登場したので、2年間のトータルコストでは負けるが、初期コストが安いという点では、まだまだメリットがある。


シンプルなGPS端末が特長
端末本体は、充電用のMicroUSB端子とインジケーターLEDがあるだけで、サイズも5センチ角とコンパクト。通話やメール機能がないので、「携帯電話持ち込み禁止」の学校でも、利用することができる。
GPS端末は第2世代となっており、準天頂衛星みちびきをはじめとして、複数のGPS衛星を利用、Wi-Fiや携帯電話の基地局情報なども利用して、かなり高精度な測定ができる。通信回線もLTEになり、通信エリアが拡大や安定性が向上している。
より使いやすくなった機能
機能は、「位置情報を取得すること」に絞られているが、現在位置の表示、過去一週間分の移動経路履歴の表示が可能。登録した地点への到着や出発を通知する機能もある。
また、普段の行動エリアをAIが判定し、行動エリアを逸脱した場合に通知する機能もある。位置情報は専用アプリをインストールしたスマホ(iPhoneとAndroid)で、地図として表示される。第2世代端末のバッテリーは最長で一カ月の連続使用が可能だ。
家族全員で子供の居場所を把握できる
サービスを契約した人が管理者となり、管理者が許可した人ならば、何人でも位置情報の検索が可能。子供に持たせた端末の現在位置や移動経路を、父、母、祖父、祖母といった家族全員で検索することができるわけだ。

GPS BoT 第2世代(最新モデル)
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みもり (マチコミ)
日本最大の不審者情報システム「マチコミ」が開発した見守りサービス「みもり」。
通知ボタンが装備された角形のGPS端末を使用する。端末価格は8580円、月額利用料は748円と、比較的使いやすい価格設定になっている。子供の現在位置確認、登録場所への到着・離脱通知、端末側ボタンを押したときの現在位置を通知、といった子供用GPSの基本的な機能はすべて装備している。


「危険エリア」や「不審者情報」を音声で警告
このサービス最大の特徴は、親で設定した「子供に近寄ってほしくないエリア」(危険エリア)に、子供が近づいたとき、また不審者情報が寄せられたエリアに近づいたとき、端末から音声で「この先に行ってはいけません」と警告が出ること。不審者情報サービスを運営している会社ならではの機能といえるだろう。

みもり GPS
ファミリードット
(ソースネクスト)
「機械は苦手」という人におすすめ
本体価格1万6368円に、2年間の利用料が含まれたサービスの「ファミリードット」。
角形のGPS端末は、位置情報取得機能だけのシンプルな構造で、子供の現在位置確認、登録場所への到着・離脱通知、乗り物移動時の通知機能を持っている。専用アプリを使って子供を見守る人は何人でも追加可能。「子供用GPSが初めて」という人も「機械はちょっと苦手」という人も使えるシンプルなサービスである



FamilyDot (ファミリードット)
いまどこちゃん (楽天市場)
端末をレンタルするタイプの位置情報サービス「いまどこちゃん」。
初期費用5500円、月額1980円で、位置情報通知ボタン装備のGPS端末がレンタルできる。
現在位置確認、登録場所への到着・離脱通知に加え、端末ボタンを押した場所の位置情報を通知する機能、スマホ側からの操作でGPS端末のブザーを鳴らす機能を搭載している。
スマホ側の操作は、専用アプリをインストールするのではなく、ウエブブラウザーを使って専用ページにアクセスするスタイル。家族ならだれでも専用ページにアクセスできる。


高齢者にも対応
「高齢者のみまもり」も強く意識したサービスであり、GPS端末を装着する専用の「靴」も販売されている。この靴を使えば、みまもりたい高齢者がGPS端末を持たずに出かけるという事態を防ぐことができるわけだ。

GPS いまどこちゃん
キャリアのキッズ携帯は?
ドコモ、au、ソフトバンク
携帯電話会社(キャリア)が発売する「キッズ携帯」は、小学生に持たせるGPS端末としては、最も知られている存在だ。
この記事の執筆時点では、ドコモは「キッズケータイSH-03M」、auは「mamorino5」(マモリーノファイブ)、ソフトバンクは「キッズフォン2」が最新機種となる。どれも、2年契約をすると月額料金は500円前後で、これに24カ月割賦の端末料金が加算される。

ドコモ「キッズケータイSH-03M」
www.nttdocomo.co.jp
au「mamorino5」(マモリーノファイブ)
www.au.com
ソフトバンク「キッズフォン2」
www.softbank.jpサービスは多機能だが、手軽さではGPS端末に負ける
キャリアのサービスは、防犯ブザー機能や、帰宅お知らせ機能など、他社のサービスに比べて比較的多機能であるが、手軽さという点ではやや劣る。
例えば、どの機種にも位置情報を確認する機能が搭載されているが、位置情報を確認できる端末が同じ「キャリアのスマホ」に限定されていたり、位置情報確認のための有料サービスに「別途加入が必要」だったり、位置情報を確認するたびに「料金が発生」するなど、あまり手軽なサービスではない。
また、通話・メール機能を有した携帯電話なので、携帯電話持ち込み禁止の学校では、通学・帰宅の確認には利用できないのも大きなデメリットとなる。
ココセコム (セコム)
ホームセキュリティの大手「セコム」が提供している位置情報サービス。
子供に持たせる専用端末は、携帯電話より小型で重量53g。フル充電で最大240時間の連続使用が可能となっている。この端末は、通話やメールの機能を持たないので、携帯電話持ち込み禁止の学校でも利用可能。ランドセルに端末を忍ばせておけばいい。


「通報ボタン」でセコムが現場に急行
端末の本体中央には「通報ボタン」がついており、これを押すと保護者はセコムに位置情報が通知されると同時に、セコムから緊急対処員が現場に急行する。
現在位置確認は、手軽とはいえない
小学生に端末を持たせる場合の料金は「月額990円から」と、金銭的負担はさほどでもないが、このプランの場合、親が子供の位置を確認するのが「10回までは無料」で、それ以降は「110円/回」の料金が発生するので、頻繁に現在位置確認ができないのが大きなネックとなる。
また、緊急対処員が現場に急行した場合は1万1000円/回の料金が発生。加入料金も必要で、インターネットで申し込んだ場合で4950円と、それなりにコストがかかる。
auのキッズケータイサービスと提携
auのキッズケータイである「mamorino5」(マモリーノファイブ)には、緊急時にセコムが急行するサービスがオプション設定されており、セコムの安心感を確保したいなら、auのキッズケータイを使うという方法もある。

まとめ
シンプルでコスパ良しは「どこかなGPS」と「GPS BoT」
子供用のGPS端末には、「万が一の緊急時」に子供の安全を確保することを重視しがちだが、実際に使い始めてみると、もっと日常的な使い方に利便性を感じるようになる。
例えば、「学校の帰りにどこに寄り道しているのか」「今日はどの公園で遊んでいるのか」「どのお友だちの家にお邪魔しているのか」「公園を離れて帰路についた」といった行動自体を逐次確認できること、スマホに自動的に通知するといったいった機能を、毎日使うようになる。

この使い方だと、現在位置確認を何回利用しても追加料金が発生しないサービスであることが重要。その点で、現在は、シンプルでコストが低いサービスに人気が集中している。
私が一番オススメする、ソストバンクの「どこかなGPS」も、次点のビーサイズ「GPS BoT」も、そこを重視したチョイスだ。
◆福多利夫(フリーライター)
デジタル家電関連の記事を得意とする、モノ系ホビー系のフリーライター。一般財団法人家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。長年にわたり月刊「特選街」で執筆。パソコン関連の著書も多い。