ニコンの中級フルサイズから、ミラーレス一眼の「Z6」と一眼レフの「D750」の2モデルを比較した。単純な比較が難しい面はあるが、ミラーレス一眼と一眼レフの違いとして挙げられる点も多い。ここでは、サイズ、連写性能、手ブレ補正、高感度性能の4つのポイントでチェックしてみた。
ニコンの注目ミラーレス・一眼レフを実力対決!
中級フルサイズの「Z6」と 「D750」を比較検証
一眼レフ
ニコン D750
17万6660円(ボディ)
※価格はすべて実売価格例で、記事作成時のものです。
ミラーレス一眼
ニコン Z6
27万2700円(ボディ)
ニコンの中級フルサイズで比べてみよう。ミラーレス一眼は最新鋭のZ6。
一眼レフは2014年発売のD750。
画像処理エンジンのEXPEEDのバージョンが2世代違うし、発売時の実売価格はZ6のほうが6万円ほど高いので、こちらも単純な比較が難しい面はある。が、ミラーレス一眼と一眼レフの違いとして挙げられる点も多い。
ここでは4つのポイントについてチェックしてみた。
1. サイズは?
2. 連写性能は?
3. 手ブレ補正は?
4. 高感度性能は?
1. サイズは?
カメラ本体はミラーレス一眼のほうが小さいが、交換レンズはものによっては大型化しているので要注意だ。これは高性能化のための大型化でもあるので文句はいえないが、組み合わせしだいでは一眼レフのほうが軽くなることもある。ミラーレス一眼=小型軽量とは限らないのだ。
Z6
Z 50mm f/1.8 S
D750
AF-S 50mm f/1.8G
2. 連写性能は?
Z6が12コマ/秒、D750は6.5コマ/秒と段違い。
一眼レフで12コマ/秒以上の連写が可能なのは、ニコン・D5とキヤノン・EOS-1D X Mark IIだけで、重さはD750の1.7倍、価格も3倍以上になる。連写の速さを重視するならミラーレス一眼が有利だ。
Z6(12コマ/秒)
D750(6.5コマ/秒)
3. 手ブレ補正は?
Z6のボディ内手ブレ補正と、D750のキットレンズとで比較してみた。
スペックではZ6が1段分効果が高く、結果もやはり上。手ブレ補正がないレンズがあることも考えると、トータルではボディ内補正のZ6が有利となる。なお、ソニー機もボディ内補正を採用している。
焦点距離を70ミリに固定してカラーチャートを撮影。
1/2秒、1/4秒、1/8秒、1/15秒で各50枚ずつシャッターを切り、手ブレの有無をチェック。ピクセル等倍で見てもブレていない画像の率を算出した。
結果もスペックどおり、1段分ほどZ6が上だった。これが、どのレンズでも得られるのは強みだ。
シャッター速度を変えながら手持ち撮影
シャッター速度ごとの補正成功率
4. 高感度性能は?
ここは画像処理エンジンの性能差が出る部分で、最新のEXPEED6を積んだZ6が有利となる。同じ感度で見比べると、D750ではノイズ処理の関係でつぶれている細かい部分が、Z6ではしっかりと再現されている。大ざっぱには感度2段分ほどの差があるように思う。
Z6
D750
駆動する部分が少ないので高速連写を低コストで実現
ボディの大きさ、重さはやはりずいぶん違う。
D750はフルサイズ一眼レフとしては軽い部類に入るが、Z6はさらに165グラムも軽い。D750の光学ファインダーに使用されるペンタプリズムはガラス製でどうしても重くなる。Z6にはEVF(電子ビュファインダー)が搭載されているとはいえ、ガラスの塊が必要なわけではない。それに、一眼レフにはミラーを駆動するメカや動くスペースもある。
ミラーを動かすスピードには限界があって、高速で動かすには頑丈さや耐久性が必要になるし、そうすると重さや価格に跳ね返ってくる。また、ミラーが上がっている間は測距ができないので、AFの性能への影響も無視できない。
その点、ミラーレス一眼は駆動する部分が少ないので、比較的低コストで高速連写を実現できる。測距可能な時間も一眼レフより長くできるため(一眼レフはミラーが上がっている間は測距ができなくなる)、AF性能面でも有利となる。
実写では、Z6のAFはもう少しきびきび感が欲しいと感じたが(この辺はファームウェアのアップデートで改善される可能性が高い)、それでも明らかにD750を超えるハイパフォーマンスを体感できた。
極端に動きの速い被写体の場合には、わずかとはいえ表示遅れのあるミラーレス一眼は対応しきれないシーンもあるが、一般的なスポーツ撮影であれば、もはやミラーレス一眼を選ぶべき時代に突入していると考えたほうがいいだろう。
※価格は記事作成時のものです。
解説/北村智史(カメラライター)